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司法試験の法学部出身者と非法学部出身者の合格率を比較

司法試験について

現行のいわゆる「新司法試験制度」は法学部出身者など専門的に法律の勉強をしてきたわけではない層にも法曹界の門戸を広く開かれ、その知見を法曹の実務の中で活かすことを大きな目的としています。

しかし、実際に法学部出身でない受験者がどの程度司法試験を突破できているのかは特に非法学部出身で法曹界を目指す方にとっては興味の大きいところだと思います。

そこで今回は法務省が公表しているデータを元に法学部出身者と非法学部出身者の合格率の数字を比較します。また、非法学部出身者が法曹で活躍するアドバンテージについても解説します。

 

法科大学院の既習者コースは法学部卒レベルの知識が必要

司法試験の受験資格を得るためには法科大学院を修了するか、もしくは司法試験予備試験(予備試験)に合格する必要があります。法学部出身であるか否かの影響が大きく出るのが法科大学院のコース選択です。

法科大学院を受験する場合、法学既修者の2年間のコースと、法学未修者向けの3年間のコースのいずれかを選択するのが一般的です。(社会人向けの夜間コースなどの場合3年以上のカリキュラムが組まれている場合もあります。)

既修者コースは大学の法学部を卒業している程度の法学の知識があることを前提としたカリキュラムが組まれ、選考の段階においても法学の知識が一定水準であることが前提とされます。(法学検定試験アドバンスト上級コースと呼ばれる試験を求める法科大学院も存在します。)

既修者コースの入学に法学部卒であることは絶対条件として定められているわけではありませんが、 法学部以外の学部出身者が既習者コースの選考に合格するためには別途相当な学習を自力で行う必要 があります。(ただし、実際には一定数が非法学部出身でありながら既習コースを修了しています。)

一方、未修者コースであれば法学の知識がない状態から3年間で司法試験の受験資格を得られる程度までの法学教育が行われることを前提にカリキュラムが組まれているため、選考においても法学の知識は必須とはされていません。なお、法学部出身者が法科大学院の未修コースを選択することには一切の制限がなく、実際に未修コースを選択する法学部出身者も少なくありません。

 

法学部出身者と非法学部出身者の司法試験合格者数の比較

法務省の公式ホームページには年度ごとの受験者・合格者の情報が公開されています。このうち法科大学院修了に基づき出願を行った受験者について法学部、法学部以外のデータが公表されています。

予備試験合格者を含まないデータなので全体の比較ではありませんが、傾向を把握することは十分可能です。

令和3年度

受験者数 合格者数 合格率
法学部出身 2,741 915 33.3%
非法学部出身 587 132 22.5%

令和2年度

受験者数 合格者数 合格率
法学部出身 2,995 955 31.9%
非法学部出身 671 117 17.4%

令和元年度

受験者数 合格者数 合格率
法学部出身 3,681 1,054 28.6%
非法学部出身 825 133 16.1%

法学部出身者の合格率は30%前後で推移しているのに対し、 非法学部出身者の合格率は15~20%前後 です。

 

非法学部出身者でも司法試験合格は困難ではない

データを見ると、司法試験合格者の中で法学部出身者と非法学部出身者で合格率には一定の差があると言えます。

法学部出身者の方が有利である点は否めませんが、法学部出身でなければ合格が不可能というわけではありません。

そもそも法科大学院の既習コース(基本的には大学の法学部出身者)を選択できる層の法学の知識は法学部卒業者全体の中でもかなり高い水準にあると言えます。とりわけ、それだけの学力を持ち、かつ司法試験を見据えて法科大学院ルートを選択している受験者は大学在籍時の早い段階、もしくは大学受験以前の段階から漠然とであっても法曹界を意識していることも珍しくありません。

そのような受験者が大学4年間で法律の基礎知識を網羅し、その上で法科大学院で2年間学んだ状態に、ゼロにからの未修コースの3年間の学習で追いつくことは簡単ではありません。

 そもそものスタートラインの違いが合格率の違いに現れていますが、逆に言えば着実に学習を重ねていくことで合格を目指すことは十分に可能 です。

 

非法学部出身者が法曹の道を目指すアドバンテージ

スタートラインの違いが司法試験合格において不利である点は否めませんが、法学部出身者ではない人材に法曹界の門戸を開くことはまさに司法士試験制度が改革された重要な趣旨の一つであり、司法試験合格後はむしろ優位になる可能性もあります。

非法学部出身者が司法試験に合格後有利になりうる点について解説します。

非法学部であることが評価される可能性がある

司法試験合格はスタートラインで言えば法学部出身者の方が有利ですが、だからこそ、その壁を乗り越えて司法試験に合格した非法学部出身者はその努力や能力が司法試験合格後、就職活動などの場において好意的に評価される可能性があります。

法学以外の専門知識が実務で有利に働くことがある

法学部出身者、特に大学卒業後すぐに法科大学院に入学する学生は司法試験に向けて専門的に法学の学習を行っているケースが多いですが、非法学部出身者は法学とは別に専門性の高い分野を学習していることが期待されます。

こういった 法学以外の専門性 を持っていることで、法曹のプロフェッショナルとして社会に出た際に実務において強みになる可能性が十分にあります。また、社会人経験がある場合はその実務経験も法曹の仕事にあたっても有利になりえます。

 

まとめ

法務省が公表しているデータを見ると、法学部出身者と非法学部出身者の間の合格率には差があるのは事実であり、非法学部出身者は試験において不利である点は否めません。

しかし、この不利はそもそもの学習のスタート地点が異なることに起因するため、 適切な学習を積み重ねることで挽回することが十分に可能 です。

また、法学部出身でないのに司法試験を突破したからこそ、合格後に高い評価を得られる可能性があることや、法学以外の専門分野や社会経験などが実務においても大きく評価される可能性も十分にあります。

非法学部出身で司法試験突破を目指す方はそういった点も念頭に置きながら学習のモチベーションを高めてみてください。