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予備試験の合格率、予備試験合格者の司法試験合格率を考察

予備試験について

司法試験を受験するための資格は法科大学院を修了する他、「予備試験」という試験に合格することでも得ることができます。

予備試験は旧司法試験に匹敵する難易度とも言われる関門ですが、受験に資格制限もなく司法試験の最短ルートとも言えます

今回は予備試験について試験の合格率や、予備試験合格者の司法試験合格率などのデータをまとめています。

 

予備試験とは

予備試験とは、法科大学院を修了した者と同等な「学識」、及びその「応用能力」、並びに「法律に関する実務の基礎素養」を有するかどうかを判定するための試験です。

司法試験を受験するには一般的には法科大学院修了が条件とされますが、 予備試験合格のメリットも数多く挙げられます。 

正式名称は「司法試験予備試験」ですが,一般的には「予備試験」と呼ばれています。

 

予備試験の合格率

予備試験は、

  1. 短答式試験
  2. 論文式試験
  3. 口述式試験

 3つの試験で構成されており、各試験の合格者が次の試験を受験する形式が取られます 。最終的に口述式試験の合格者が予備試験通過の資格を得られます。

それぞれの試験の合格率を順番に見ていきます。

短答式試験の合格率

年度 受験者数 合格者数 合格率
令和3年度 11,717 2,723 23.2%
令和2年度 10,608 2,529 23.8%
令和元年度 11,780 2,696 22.9%
平成30年度 11,136 2,661 23.8%
平成29年度 10,743 2,299 21.3%

短答式試験の合格率は例年20%強。例年8割弱の受験者が第一関門で脱落します

論文式試験

年度 受験者数 合格者数 合格率
令和3年度 2,633 479 18.2%
令和2年度 2,439 464 19.0%
令和元年度 2,580 494 19.1%
平成30年度 2,551 459 17.9%
平成29年度 2,200 469 21.3%

論文式試験の合格率は例年20%前後です。短答式試験の合格者が更に大きく絞り込まれます。

口述式試験の合格率

年度 受験者数 合格者数 合格率
令和3年度 476 467 98.1%
令和2年度 462 442 95.7%
令和元年度 494 476 96.4%
平成30年度 456 433 94.9%
平成29年度 469 444 96.5%

口述試験は例年95%前後が合格しています。論文式試験を突破した受験者の多くは口述試験にも合格しています。

最終合格率

年度 受験者数 合格者数 合格率
令和3年度 11,717 467 4.0%
令和2年度 10,608 442 4.2%
令和元年度 11,780 476 4.0%
平成30年度 11,136 433 3.9%
平成29年度 10,743 444 4.1%

上記のような三段階の試験を経た予最終合格率は例年4%前後です。合格率2~3%台前後で推移していた旧司法試験に準ずるレベルの非常に狭き関門であることがわかります。

 

予備試験合格者の司法試験合格率

年度 受験者数 合格者数 合格率
令和3年度 400 374 93.5%
令和2年度 423 378 89.4%
令和元年度 385 315 81.8%
平成30年度 433 336 77.6%
平成29年度 400 290 72.5%

 予備試験通過者の司法試験合格率は高く、特に近年はその傾向が顕著です 。令和3年度には89.4%と9割近くにまで上昇しています。

法科大学院ごとの合格率データと比較しても、一定の受験者が出願している場合の合格率は高いところで70%程度なので、予備試験合格者はどの法科大学院修了者よりも高い確率で合格していることがわかります。

予備試験から司法試験合格を目指すメリット

予備試験は非常にハードルの高い試験ではありますが、 予備試験合格のメリットも数多く挙げられます。 重要なものを4つ紹介します。

1. 司法試験との共通点が多い

予備試験と司法試験は、試験制度・試験内容・採点形式が非常に似ています。問題を作成する試験委員が司法試験・予備試験で共通していることが大きな理由として挙げられます。

そのため、予備試験合格者にとって司法試験は予備試験の延長線上であり、予備試験の対策がそのまま司法試験の対策にもなっています。このことも予備試験合格者の司法試験合格率が高い理由の1つといえるでしょう。

2. 個々の事情に合わせた受験計画が立てられる

予備試験には受験資格や受験回数の制限はありません。従って、個々の事情に応じて受験計画を立てることができます。

例えば仕事が非常に忙しく学習時間の確保が難しい場合、数年スパンで無理のないペースで学習を進め、合格を目指す計画を立てるのが現実的です。

一方、学習時間が十分に確保できる場合、法科大学院の修了を待たず司法試験受験の資格が得られるため、最短ルートでの司法試験合格を目指すことも可能です。

3.費用の大幅な節約になる

法科大学院を修了するには入学金が10~30万円程度、年間の授業料が50万~140万円と幅はありますが、いずれにせよ高額の費用が発生します。加えて司法試験合格のために予備校に通うケースも少なくありません。

法科大学院を経ずに予備試験ルートで合格する場合、予備校に通う方は多いですが、かかる費用はトータルで数十万円~100万円ほど。法科大学院に通うよりもかなり費用を抑えることができます。

4. 就職活動に有利

弁護士を目指す人の多くが志望する大手法律事務所は、予備試験合格者を優先的に採用しているといわれています。

司法試験よりも狭き関門である予備試験を勝ち抜いた合格者は司法試験合格者の中でも特に優秀であると判断されているのかもしれません。

また、法律事務所によっては予備試験合格者を対象にインターンを募集しており、そういった制度を活用することにより、より早い段階から実務経験を積みながら就職活動を行うことにも繋がります。

 

まとめ

予備試験は3段階に分かれる試験で、その難易度は旧司法試験に匹敵する狭き門と言っても過言ではありません。

しかし、予備試験合格者は司法試験にも高確率で合格していることに加え、 予備試験合格のメリットも数多く挙げられます。 

ぜひ予備試験合格を見据えた学習計画を立ててみてください。