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司法試験合格者が司法修習後に選択できる進路と就職活動方法を解説

司法試験について

司法試験を目指す方の中には、どの分野で活躍したいか明確な方から法曹への憧れを持ちながらも具体的な指針は定まっていない方までいらっしゃると思います。

そこで今回は司法試験合格者が試験に合格し、その後の修習も終えた後どのような進路があるのか、またその進路を目指すためにはどのように動く必要があるかを解説していきます。

試験合格から実際に法曹の世界で活躍するまでの具体的なイメージを持つ参考にもなりうるのでぜひご一読ください。

司法修習後の主な進路

まず、司法修習を終えた後進むことのできる法曹界の進路について大まかに分けて説明します。

検察官

検察官の採用については検察官法第18条により、司法修習を終えた者の中から任命されます。「二級検察官」という階級からキャリアがスタートします。

判事補(裁判官)

裁判所法第43条により、判事補は司法修習生の中から採用されます。「判事補」は裁判官の役職の一つで、3人以上の裁判官で審議を行う合議審を扱います。

原則として10年間判事補を務めた後、最高裁判所の任命を受け「判事」となると単独で審議ができるようになります。

弁護士(事務所所属)

検事や裁判官にならず弁護士としての進路を進む上で最も一般的なのが、就職活動を行いどこかの事務所に所属するキャリアです。

事務所に雇用されている弁護士を「アソシエイト弁護士」と呼びます。弁護士はいずれ独立するケースが多いため、雇用されている状態は一時的、という慣例から「イソ弁(居候弁護士)」といった通称もあります。

アソシエイト弁護士は事務所の代表弁護士や、共同経営者にあたる「パートナー弁護士」といった上司(「ボス弁」とも呼ばれます)の指示のもとに実務にあたります。

アソシエイト弁護士として経験を積んだ後、自身の事務所を構えたり、パートナー弁護士になるような「独立」の道を辿るキャリアも一般的です。

弁護士(組織内弁護士)

従来、法曹の進路と言えば検察官、裁判官、事務所所属弁護士の3パターンが一般的で、 狭義にはそれらのキャリアを「法曹三者」と呼んでいました。 

しかし、近年民間企業や官公庁などの組織に役員または社員として所属し、組織内で法律業務を中心とした業務に従事する組織内弁護士(インハウスローヤー)も増えています。

一般的な会社員に近い働き方となるため、ワークライフバランスが充実させやすい点や、法の専門家として企業の大きなプロジェクトに関われる点などが魅力として挙げられます。

弁護士(「即独」)

多くの弁護士が事務所に所属するか、組織内弁護士として実績を積む道を選びますが、そういったキャリアが義務付けられるわけではなく、すぐに独立することも可能です。一般的に修習後、即独立することから「即独」と呼ばれているキャリアです。

自身で小さな事務所を構えるケース、他の法律事務所に雇用されるわけではなく間借りして活動するケース(軒先弁護士、通称「ノキ弁」と呼ばれることもあります。)、そもそも事務所を構えないケースなどがあります。

修習を終え、弁護士登録したばかりの弁護士は当然実務経験がなく、実績もありません。それゆえ、顧客の獲得にも不利な点も否めませんが、そういった課題をクリアできる場合は、登録後すぐに独立することも選択肢として考えられます。

 

法曹職の就職活動の時期や方法

上記の進路の内、「即独」を除いた進路では希望の就職先から採用される必要があります。それぞれの道について、どのような形で就職活動をするのか簡単に解説します。

裁判官・検察官への就職活動

裁判官、検察官になるためには、 それぞれ最高裁判所・検察庁からの任命を受ける必要 があります。

司法修習前、司法修習中に教官への意志開示を行った上で、司法修習の最終関門である考試(2回試験)の成績と試験後の面接をもって採否が決定されます。

考試は通過率の高い試験ですが、とりわけ裁判官になるためには特に優秀な成績を修めている必要があります。

裁判官や検察官を志望する場合でも、任官されないケースに備えて法律事務所等の就職活動を行うことがリスクヘッジとなります。

法律事務所への就職活動

多くの法曹志望者が最初のキャリアとして選択するのが法律事務所への就職活動ですが、早いと司法試験の合格発表前からサマークラークや事務所説明会などの活動が行われています。大手事務所への就職を考えている場合は早期からの活動も重要です。この時期の就職活動は特に 予備試験合格者が優遇 される傾向にあります。

合格発表から司法修習が始まるまでの間も法律事務所の採用活動は活発になります。とりわけ、試験での成績優秀者には積極的に声がかけられるケースもあるようです。

しかし、上記の時期だけでなく司法修習が行われている間も積極的に採用が行われています。分野別実務修習を始め、実地での直接のコネクションを作ることも可能です。修習内外で積極的に動くことが、希望するキャリアを歩むに相応しい就職先を選定するポイントです。

インハウスローヤーへの就職活動

インハウスローヤーの需要は高まってきていますが、事務所への就職活動に比べると大々的に採用活動が行われているケースは多くありません。エージェントに登録したり、自分でインハウスローヤーの求人などを積極的に探す努力が必要です。

 

まとめ

司法試験はあくまで通過点であり、司法修習を終えた先にはさまざまな非常にやりがいのある進路が広がっています。

ぜひ早い段階からご自身がどのような道に進みたいのかを意識しながら、後悔のない進路を取れるよう意識しながら動いてみてください。