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令和3年予備試験解答速報-民事訴訟法-

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講師作成の参考答案

解説

設問1(1)

1.どちらに共同訴訟参加するべきか

Yは、「Xの主張する本件貸付債権は既に弁済しており、XY間には債権債務関係はないと考えている」から、XY間における債権債務関係の存否という点でXY間の利害が対立しています。

もっとも、Yは、「本件不動産のZの持分の登記については、遺産分割協議に基づいて、自己に登記名義を移転してほしいと考えている」から、ZからYに対して遺産分割を原因とする所有権移転登記手続をすることを求めたいという本質的な点において、XY間の利害が一致します。

そして、Yが自分に登記名義を移転することを望んでいる以上、本件訴訟の被告であるZの側に共同訴訟参加するべきではありません。

したがって、Yは、Xの側に共同訴訟参加することになります。

2.当事者適格

共同訴訟参加の要件は、①参加人が他人間の訴訟に当事者適格を有することと、②「訴訟の目的が当事者の一方及び第三者について合一にのみ確定すべき場合」であることの2点です。

①当事者適格については、改正民法下では債権者代位権が行使されても債務者の被代位権利についての処分権限は制限されない(同法423条の5前段)ことを指摘した上で、Yの原告適格を肯定します。

3.「訴訟の目的が当事者の一方及び第三者について合一にのみ確定すべき場合」

「訴訟の目的が当事者の一方及び第三者について合一にのみ確定すべき場合」とは、第三者が訴訟参加した場合における当該訴訟が必要的共同訴訟であることを意味します。必要的共同訴訟のうち原告側の類似必要的共同訴訟は、固有必要的共同訴訟の場合でないことに加え、共同原告の一部が訴えを単独提起した場合に当該訴訟の確定判決の効力が他方に及ぶという関係が成り立つ場合に成立すると解されています(平成23年司法試験出題趣旨参照)。

債権者代位訴訟は代位債権者と債務者による訴訟共同が必要とされる固有必要的共同訴訟ではありません。問題は、Xの債権者代位訴訟における確定判決の既判力が債務者Yにも拡張されるか(つまり、類似必要的共同訴訟に当たるか)です。

まず、債権者代位訴訟が法定訴訟担当であるか否かについて論じます。債権者代位訴訟の性質については法定訴訟担当説のほかに固有適格説もあり、固有適格説からは115条1項2号による既判力の拡張が認められないからです。

次に、法定訴訟担当説の内部には、法定訴訟担当を対立型と吸収型に区別して対立型の場合には被担当者にとって不利な判決の既判力の拡張を否定する見解と、対立型と吸収型という区別をすることなく有利不利を問わず被担当者に既判力が拡張されるとする見解とがあります。両説の対立は、おそらく、設問1(1)ではなく設問2で論じることが求められていると思われます。理由は、設問2では「本件判決の効力はAに及ぶか、本件判決の既判力がYに及ぶか否かの検討を踏まえて答えなさい。」という指示があることと、対立型と吸収型を区別する見解でも少なくとも債権者勝訴判決の既判力が債務者に拡張されることには争いはないという意味で判決効が拡張される関係を肯定し得ることにあります。そこで、私の答案では、「債権者代位訴訟における民訴法115条1項2号の適用態様については争いがあるものの、少なくとも債権者勝訴判決の既判力が債務者に拡張されることには争いはない。そうすると、Xの債権者代位訴訟における確定判決の既判力がYにも拡張される。」という論述にとどめています。

設問1(2)

1.独立当事者参加の態様

Yは、「Zに対して登記名義の移転を求めるつもりはない」一方で、「XY間に債権債務関係はないと考えている」から、Zに対して遺産分割を原因とする所有権移転登記手続請求を定立することにはなりません。

Yは、Xに対して本件貸付債権に係る債務の全部不存在の確認請求を定立し、Zに対しては請求を定立しないことにより、片面的独立当事者参加をすることが考えられます。

民訴法47条1項では「訴訟の当事者の双方又は一方を相手方として」と定められているから、「訴訟の当事者の…一方」のみを相手方として請求を定立する片面的独立当事者参加も認められます。

独立当事者参加には「訴訟の結果によって権利が害されることを主張する」詐害防止参加と「訴訟の目的の全部若しくは一部が自己の権利であることを主張する」権利主張参加とがあります。債権者代位訴訟に債務者や他の債権者が独立当事者参加する場合は権利主張参加をするのが通常ですが、本問では、YがZに対して登記名義の移転を求めるつもりがないため、権利主張参加ではなく詐害防止参加をすることになります。具体的には、Yは、XY間の債権債務関係はないと考えており、XZ間のなれ合いにより理由中の判断でXY間の本件貸付債権の存在を認定する認容判決が下されることで自己の「権利が害されることを主張」して詐害防止参加をすることになります。

この意味で、本問は、典型事例を捻った出題であるといえます。

2.当事者適格

債務者が自己に対する金銭支払い・動産引渡し・登記移転を求めて債権者代位訴訟に権利主張参加をする場合には、債務者の原告適格は被代位権利(金銭支払い・動産引渡し・移転登記を求める権利)についての債務者の管理処分権によって根拠づけられることになりますから、債権者代位権が行使されても債務者の被代位権利についての処分権限は制限されない旨を定める改正民法423条の5前段を根拠として、債務者の原告適格を肯定することになります。

しかし、本問のように、債務者が債権者に対する被保全債権に係る債務不存在確認請求だけを定立して片面的に詐害防止参加をする場合には、債務者の原告適格は、被代位権利ではなく、被保全債権に係る債務についての管理処分権によって根拠づけられることになります。このように、本問では、債務者の原告適格についても、典型事例とは異なる論じ方をすることになります。

3.詐害防止参加の要件

詐害防止参加の要件である「訴訟の結果によって権利が害されることを主張する」の解釈については、①第三者に不利な判決効が及ぶ場合に限り詐害防止参加は許されるとする判決効説、②当事者に詐害意思がある場合(すなわち、当事者の馴れ合いによって事実上不利益が生ずる場合)には判決効の拡張の有無にかかわらず詐害防止参加が認められるとする詐害意思説、③参加人の法的地位が当事者間の権利関係の存否を論理的に前提としているため、当事者間の判決の結果の影響を事実上受ける場合に詐害防止参加が認められるとする利害関係説があります。②詐害意思説が多数説です(三木浩一ほか「リーガルクエスト民事訴訟法」第3版583頁、高橋宏志「民事訴訟法重点講義[下]第2版補訂版」501頁)。

②詐害意思説では、内面の意思の立証困難にかんがみ、当事者の訴訟追行の外形態様から十分な訴訟活動の展開が期待できないと判断される場合には詐害意思が認められると解されています(高橋宏志「民事訴訟法重点講義[下]第2版補訂版」501頁)。

なお、本問ではXとZの訴訟追行の態様が明らかでないため、XとZの訴訟追行の態様を仮定した上で詐害意思の有無について論じることになると思われます。

4.重複起訴禁止(民訴法142条)への抵触

理論上、重複起訴禁止への抵触も問題となります。

Yによる独立当事者参加がZに対して登記名義の変更を求めて権利主張参加をするという形態である場合には、当事者だけでなく訴訟物の同一性もあるとして「事件」の同一性を認めた上で、独立当事者参加の場合には重複起訴禁止の弊害がないため「更に訴えを提起」に当たらないとして重複起訴禁止への抵触を否定することになります。

しかし、本問におけるYの独立当事者参加は、Xに対する被保全債権に係る債務不存在確認請求だけを定立して片面的に詐害防止参加をする形態であるため、訴訟物の同一性を欠き、「事件」の同一性は認められません(債権者代位訴訟における訴訟物は被保全債権ではなく被代位権利であるため)。

このように、本問では、重複起訴禁止への抵触の有無についても、典型事例とは異なる論じ方をすることになります。


設問2

1.本件判決の既判力の生じ方(客観的範囲)

まず初めに、Xが提起した債権者代位訴訟における棄却判決により、YのZに対する遺産分割を原因とする本件不動産についての所有権移転登記請求権の不存在について既判力が生じている(民訴法114条1項)ことを指摘します。

2.本件判決の既判力がYにも拡張されることを経由してAにも反射的に及ぶか

次に、本件判決の既判力がYにも拡張されることを経由して他の債権者であるAにも反射的に及ぶと考えることができるかについて検討します。

この考えは、本件判決の既判力が115条1項2号によりYに拡張されることを前提としたものですから、初めに、本件判決の既判力が115条1項2号によりYに拡張されるかについて論じる必要があります。ここで問題になるのが、法定訴訟担当を対立型と吸収型に区別した上で対立型における既判力拡張を判決が被担当者にとって有利である場合に限定する見解の適否です。

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司法試験過去問との関連性

民事訴訟法は、刑事訴訟法の次に、司法試験過去問との関連性が強い科目です。

設問1(1)では、債権者が債務者に対する移転登記を求めて提起した債権者代位訴訟に「債務者」が共同訴訟参加することの可否が問われており、債権者が債務者に対する移転登記を求めて提起した債権者代位訴訟に「債権者」が共同訴訟参加することの可否が問われた平成23年司法試験設問2との関連性が非常に強いです。

設問2では、債権者代位訴訟における判決の既判力が債務者に拡張されることを経由して他の債権者にも反射的に及ぶかが問われており、これは平成23年司法試験設問2で正面から問われています。

このように、令和3年予備試験の民事訴訟法の問題は、平成23年司法試験との関連性が非常に強いです。

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