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令和3年予備試験解答速報-民法-

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講師作成の参考答案

解説

設問1

1.本件ワイン売買契約の解除

Aは、本件ワイン売買契約については、「本件ワインは飲用に適さない程度に劣化してしまった」(問題文27行目)ことに着目して、Bの引渡債務の全部履行不能を理由とする無催告での全部解除(542条1項1号)を主張することになると考えられます。

検討過程では、①Bの引渡債務の「全部の履行が不能であるとき」との関係は、㋐Aの債権の性質決定(特定物債権か制限種類物債権か)、㋑改正民法下では契約責任説が採用されているため仮に特定物債権であってもBは契約内容に適合する品質の本件ワインを引渡す義務を負うこと、②解除権の発生障害事由として、Bの引渡債務の履行不能が「債権者の責めに帰すべき事由によるもの」(543条)であるかが問題となります。

③改正民法下では債務不履行解除の要件として債務者の帰責事由が不要とされていますから、債務者Bの無責についてBの反論として論じることは失当であると考えられます。

なお、本問では、制限種類物債権であると認定した場合には、567条1項は適用できないと思われます。私の参考答案では、制限種類物債権であると認定しているため、567条1項には言及していません。

2.本件賃貸借契約の解除

冷蔵倉庫甲は、いったんは、冷蔵設備が故障して契約内容に適合しない状態になったものの、その日の深夜までに空調機能が復旧し、その使用には何らの支障がない状態に戻っています。このように、本件賃貸借契約に基づくBの使用収益させる債務の不履行は軽微なものですから、542条1項各号のいずれにも当たらないですし、541条1項に基づく催告解除も同項但書該当性により否定されます。そうすると、本件賃貸借契約に基づくBの債務の不履行を理由とする解除は認められません。そこで、Aは、本件賃貸借契約が本件ワイン売買契約を前提としたものであることを根拠として、後者におけるBの履行不能をもって後者とともに前者も解除できると主張することが考えられます。

ここでは、2つ以上の契約の一方の債務不履行をもって契約全部を解除することの可否について、債務不履行解除の趣旨・目的に遡った上で、最高裁判例(最判H8.11.12・百Ⅱ44)も踏まえながら、契約全部を解除することができる要件を示し、本件賃貸借契約締結に至る経緯等の事情を使って要件充足性を検討することになります。

設問2(1)

まず、本件譲渡担保契約は、集合動産譲渡担保であり、一物一権主義の内容である物権の単一性との関係で、その有効性が問題となります。これについては、集合動産譲渡担保の有効性について判断した最高裁判例(最判S62.11.10)を踏まえて論じることになります。

次に、本件ウイスキーが本件譲渡担保契約締結及びそれに基づく占有改定の後に倉庫丙内に搬入されていることから、本件ウイスキーにも、搬入前における当初の占有改定による譲渡担保契約権の対抗要件が及ぶかが問題となります。これについては、前掲昭和62年最高裁判例を踏まえて、論じることになります。

設問2(2)

本件ウイスキー売買契約には、代金完済を所有権移転の停止条件とする所有権留保特約たる②があります。そうすると、Aが本件ウイスキーの代金を支払っていない状況下では、原則として、本件ウイスキーの所有権はDからAに移転せず、その結果、Cも譲渡担保契約に基づいて本件ウイスキーの所有権を取得できない。まず初めに、このことを原則論として示します。

次に、「DはAに対して、本件ウイスキーの引渡日以降、本件ウイスキーの全部又は一部を転売することを承諾する。」(問題文62~63行目)との特約③があることに着目して、代金完済前であっても転売する際にはAに処分権限が認められる(その意味で、所有権留保特約②の効力が制限される)ことにならないかを検討することになります。ここでは、特約③の意味について、特約②との関係も踏まえながら、当事者意思の合理的解釈により導くことになります。

最後に、特約③について、転売する際に処分権限まで付与することは意味しないと解釈した場合には、Cは無権利者Aから本件ウイスキーについて譲渡担保を受けたことになるので、即時取得による譲渡担保権の取得に基づく本件ウイスキーの所有権取得の可否が問題となります。これについては、占有改定(183条)による即時取得(192条)の成否が問題となり、最高裁判例(最判S35.2.11・百Ⅰ68)の立場からは即時取得の成立が否定されます。

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