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令和3年予備試験解答速報-商法-

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講師作成の参考答案

解説

設問1

設問1は、平成26年司法試験設問2に非常に似ています。

乙社が甲社に対して、取引基本契約に基づく本件代金を請求するためには、Cが甲社の代表取締役として締結した取引基本契約の効果が甲社に帰属すると主張する必要があります。

具体的には、①Cは適法な選任手続を経た代表取締役であること、②仮に①が認められなくても不実登記の効果により乙社との関係ではCが代表取締役であると擬制されること(会社法908条2項)、③会社法354条の適用により乙社との関係ではCが代表取締役であると擬制されることを主張することになります。

①では、10%株主であるCと80%株主であるAがCが代表取締役として行動することについて同意していることから、90%の株主の同意をもって、Cが適法に代表取締役として選定されたといえるかが問題になります。その前提として、株主が代表取締役を選定できることが必要となるため、「代表取締役は取締役会決議によって定めるものとするが、必要に応じ株主総会の決議によって定めることができる」旨の定款規定の有効性を検討することになると考えられます。これについては、平成29年の最高裁判例(最判H29.2.21・H29重判6)に従って論じることになります。

②では、908条2項の趣旨を踏まえて「善意」として不実登記を信じたことまで必要であるかどうかを論じることになります。禁反言説からは不実登記を信じたことまでは不要ですが、権利外観法理説からは不実登記を信じたことまで必要とされます。

③では、「名称を付した」については代表取締役BがCの僭称を知らなかったこととCの僭称について90%の株主が同意又は関与していることを踏まえて論じ、「善意」については善意・無重過失を意味することを示した上で問題文33~35行目の事情を使って論じます。

なお、④取引基本契約が「その他の重要な業務執行」(会社法362条4項柱書)に当たるにもかかわらず取締役会決議を経ていないのではないかという点については、言及する必要はないと考えます。理由は、④は乙社にとって不利な事柄であるから④について乙社が積極的に主張するのは不自然であること、取引基本契約が「その他の重要な業務執行」に当たるかどうかを判断できるだけの事情が問題文にないこと、民法93条1項但書類推適用における善意・無過失を判断できるだけの事情が問題文にないことの3点です。

設問2

甲社は、返還請求の根拠としては不当利得返還請求権(民法703条・704条)を主張し、その要件のうち「法律上の原因」の不存在を基礎づけるために、本件慰労金について定款の規定も株主総会決議による決定(会社法361条1項)もないことを主張します。後者では、①退職慰労金も「報酬等」として取締役の報酬規制に服すること(最判S39.12.11・百61)、②「内規に従って決定された退職慰労年金が支給される場合であっても、取締役が退任により当然に…内規に基づき退職慰労年金債権を取得することはなく、…株主総会決議による個別の判断を経て初めて、…退任取締役との間で退職慰労年金の支給についての契約が成立し、当該退任取締役が具体的な退職慰労年金債権を取得するに至る」こと(最判H22.3.16・H22重判3)について言及することになります。

Bの反論としては、③社会通念上相当な金額であれば、定款の規定や株主総会決議を欠いても退職慰労金請求権が発生すること、④甲社による全額返還請求は信義則違反(民法1条2項)・権利濫用(同法1条3項)であることの2点が考えられます。③まで問われているかは定かではありません。メインは④です。

③については、取締役の報酬規制に遡り、最高裁判例(最判H15.2.21・百A17)を踏まえながら論じます。

④については、本件と同種事案において会社による退職慰労金全額の不当利得返還請求を信義則違反・権利濫用として否定した最高裁判例(最判H21.12.18・百A18)を踏まえながら、本件の事実関係を摘示・評価して論じます。

なお、②及び④に関する2つの最高裁判例は、やや細かいところから出題してきたなという印象ですが、総まくり講座ではいずれの判例も事案及び判旨を掲載する形で取り上げておりました。

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