しほうフレンズ(@Sihou_friends) 様
中央大学法学部法律学科 卒業
東京都立大学法科大学院(既修) 2022年卒業
令和4年司法試験 合格
総合 約860点 700位台後半
論文 約420点 700位台前半
公法系 約115点(A、A)
民事系 約140点(B、B、C)
刑事系 約100点(B、A)
租税法 約60点
私は、学部1年のときに他の予備校で司法試験入門講座を受講しました。その予備校は、法律問題全てに用いることができる思考手順を教えてくださり、論文を全く書けない状態から何かしら書ける状態になるのは容易でした。しかし、その予備校はあえて、法律論の中身、細かいあてはめのやり方、三段論法を教えていませんでした(私が吸収できなかったのかもしれません)。
同予備校で学んだ思考手順は本試験でも使いましたが、同予備校で教えてくれなかった上述のことはロー入試段階で大きな痛手になりました。私は、法律論・あてはめの手順・三段論法を軽視した結果、中大生ならほとんど合格する中央ローに不合格になりました。
先輩や同期の力を借りて上述した問題点を改善し、その後の都立大ロー入試は突破しました。ですが、このまま司法試験を1発で合格するには更なる改善が必要でした。司法試験本番では、上述した点ができるのを前提に、それより上のレベルの要素で上位ロー生・予備試験経由受験生と戦うことになるだろうと考えたからです。
私は、もう一段階上の突破口はどこだろうと考えつつ、ロースクールに入学しました。
本試験の過去問を見たことがある方はわかると思いますが、司法試験は問われていること自体は明確なことが多いです。ですが、司法試験の問題は基本的な論点についての深い理解を問うているので、論点自体に気づいて答案作成したとしても点が稼げるわけではありません。さらにいえば、問題文の事実はあてはめの要素を前提に作成されているので、論点の存在を知っていてもあてはめの要素を知らないと、問題文の事実及び誘導の意味を理解できないまま問題文を読み始め、構成が崩壊したり、指示を無視して構成したりして、点が稼げないどころか全くもらえなくなるおそれもあります。
例えば、今年の行政法設問1(1)は“原告適格が認められるか”と論点を明示しており、論点自体は明確です。しかし、原告適格を“不利益の把握→行政法規による保護→個別的利益としても保護→規範を立ててあてはめ”という型に従って書き、さらに誘導のいうことをしっかり聞きながら、個別法をシステマチックに拾える受験生はあまり多くいないと思います。同じ行政法の処分性については、判例の規範をそのまま使って、同規範に無理やりあてはめている受験生もいると思いますが、これでは問題文の事情をうまく使えないでしょうし、誘導自体が理解できない場合があります。
私も、ロースクール入学直前に司法試験過去問に着手しましたが、論点はわかるがどうやって書けばいいか全くわからないという状態でした。これでは周りの受験生を追い抜けないとしばらく悩んでいました。そこでいろいろな予備校で過去問解説講座を探しました。ですが、どの予備校も論点抽出方法や論点の解説をして、あてはめの事情は思考過程を示さずに提示するだけで私のニーズにはあっていませんでした。そんなときに見つけたのが加藤ゼミナールの過去問講座でした。
加藤ゼミナールの講義は、加藤先生が無料で提供していた令和3年司法試験リアル解答速報で初めて受講しました。加藤先生は、論点の解説がわかりやすいだけでなく、問題文を読むときまず何をすべきか、問題文の事実をどう読んでいくのか、構成をうまくやるコツなどを、非常に丁寧にしつこく説明していました。加藤先生は受験生が六法だけで試験会場にいるときにどう行動すべきかを細かく考えていると思います(センスで片付けていない)。特に、私が感動したのは憲法の解説で、加藤先生の講座をしっかり吸収すれば水物といわれる憲法も安定して合格点がとれると確信しました。
私は、加藤ゼミナールの過去問講座を消化すれば点を稼げる答案を書けるようになると考え受講し始めました。過去問講座受講開始後、私の理解力では過去問講座だけでは足りないと思ったので総まくり講座も受講し始めました。
講座の受け方についてですが、講座の前にテキストの予習はしていません。講座を見るとき倍速機能は使いませんでした。加藤先生の講義は情報量が多く、速くしたらわからなかったからです。一度聞いてわからないところは巻き戻して聞き直していました。何度聞いてもわからないところはメモをしておいて放置しました。その部分については過去問を解いたり復習したりしていると急にわかることもありました。
講座を見て大事だと思ったことはメモをしていました。このとき判例・学説部分についてはあまりメモをせず、問題を解くときに重要なことを中心にメモしていました。さらに、自分の起案スピードだと書ききれないと思った論証については、マーク指示を参考に論証を短くする作業をしました。論証を短くする作業は、文全体の意味が変わらないよう強く意識して行っていたため、結果的に論証の核を理解し記憶する勉強にもなりました。過去問演習以外の時間はほぼこの作業に費やしていました。
総まくり講座・過去問講座は加藤先生の計画に従い、科目別に、公法→刑事→民事の順に消化していました。私は学習の進みが遅く民事系に着手したのが1月でした。総まくりと論証集の双方ともにメモを反映することはできないので、商法・民訴法については論証集を使いませんでした(民法は総まくりテキストが分厚かったので論証集も使用)。
ABランクの過去問までしかできませんでした。Cランク過去問については、総まくりだけで理解できない論点があったときにその論点を理解するために答案を参照しました。
【手順】
①過去問を2時間で起案する
②テキストの解説・模範答案をただ読む
③解説動画を見て思考過程をチェック
④模範答案と自分の答案を比較し文章表現をチェック
⑤型ができていないなら写経しつつ総まくりを復習する
⑥縮小コピーした答案を総まくりに貼り付け隙間時間に復習
(⑤´型ができているならあてはめで何が足りないのかチェック)
(⑥´あてはめで気を付けることを論証集に反映)
【手順の詳細】
①:答案構成だけだと問題の細かい仕掛け(基本事項を理解した上での応用など)に気づけないことがありました。また、司法試験は説得力の試験だから文章表現能力が一番重要であると考えていました。そのため、時間が許す限り必ずフルで起案していました。
②:解説講義をスムーズに聞くための準備として解説や模範答案をななめ読みしていました。論点抽出レベルの間違いや採点実感でのダメな答案例をチェックしました。
③:その問題だけでなく初見の問題を解くときにも役に立つような思考過程をチェックしていました。大事なところやミスしてしまったことは論証集等にメモしました。
④:答案の流れ、問題提起の方法、できるだけ短い表現、事実を引用する順番、評価の方法を自分の答案と模範答案を比較して抽出していました
⑤:答案を書くと、型が全くできていないゆえに構成も論述の書き始めも上手くできず、混乱してしまいダメダメな答案を作成してしまうことがありました。そんなときは、諦めて音楽を聴きながら答案を写経していました。写経すると、答案の書き始め、構造、拾うべき事実を体で覚えることができました。写経でなんとなく覚えたことを、総まくりに記載されているあてはめのコツと照らし合わせて復習しました。写経後は同じ問題を問題文だけ見て起案し、わからなくなったらまた模範答案と照らし合わせながら復習していました。
⑥:写経対象の答案は縮小コピーして論証集に加えました。通学時に型をチェックして記憶喚起しました。
⑤´⑥´:型ができているならあてはめ部分だけチェックしました。主に、引用する事実の順序、うまい評価の方法をチェックしていました。
・行政法論証集の原告適格の箇所です。
右上の赤字①②は検討の手順です。右下の赤字※マークには加藤先生が授業で注意していたことを反映させています。
・左上の赤字の※マークは過去問の模範答案でいいなと思った表現をメモしたものです。右側の青字は加藤先生が注意していたことです。
・民法論証集の94条2項類推の箇所です。
Post-itの大きい付箋を切って貼り付けています。趣旨と規範の順番を変えて文章を短くなっています。色んな論証集や再現答案を調べてそれを真似したりもしました。
司法試験は論文8科目に加えて短答3科目の11科目が4日間で同時にやってきます。直前期(試験3か月前)は、この大量の科目を同時に回すことになります。この時期に毎日起案したりすべての論点の論証を暗記したりするのは無理でした。そこでとるべき手段は、起案を週1にしてABランクの論点を高速で回転させるという手段でした(直前期前は週5で起案していました)。ですが、この手段をとるためには①近年の出題論点を研究したうえでのランク付けがあり②規範だけでなくあてはめの指針まで書いてあり③今までの自分の学習の成果が記載されている一元化教材が必要です。③は自分でやるとして、①②を満たす一元化教材は私が知る限り、加藤ゼミナールの論証集しかなかったです。ほとんどの論証集は過去問の出題履歴を根拠にしないランク付けと、あてはめのやり方が説明されていない抽象論だけの記述に終始していました。
直前期に効率的に総復習するには加藤ゼミナールのテキストが一番効率的だと思いました。また、本番で合否を決めたであろう論点もすべてテキストに載っていました。
私はただの受験生で法曹ではありませんが、法曹の仕事においては人を説得させる能力が一番重要だと思います。法律は自然科学・数学的に不変なものではなく、世の中の常識感覚に近い形で規定されています。不変でない常識感覚を条文や規範として規定し、それを具体的な事件に適用するには1+1=2と述べるだけでは理屈が通りません。令和3年の刑事系トップのぶんせき本の刑法再現答案は成立させた犯罪が正解筋と違いました。それでもなぜトップなのかというと、結論までに至る説得力が一番あったからだと考えます。司法試験受験業界で、三段論法を教えられること、文章のわかりやすさが異様に重視されること、これらもすべて説得力のためです。
加藤先生は「司法試験は何を書くかではなく、どう書くかで決まる」と言っていました。加藤先生はどう書くかについて徹底した説明をしています。どう書くかに至るまでの問題文の読み方まで説明しています。現場思考問題の考え方や書き方についても丁寧に説明しています。加藤ゼミナールのサイトにある無料体験講義を憲法だけでも聞いていただければ、その徹底した説明は体験できます。
本試験では、典型的な問題だけでなく未知の問題も出ました。典型的な問題は講義で学んだあてはめの手順を思い出しながら着実に論述しました。未知の問題(令和4年でいう憲法や民訴法)は、わからなくてもいいから三段論法や科目ごとの型を守ろうと考えて逃げ切りました。書き方が一番重要なのだと加藤ゼミナールで確信して勉強しつづけた結果、合格なんてありえないと考えていた3年前から大きく成長して合格できました。
私は、本格的ではないにしても学部1年から中央大学で勉強していました。ですが、私は勉強法を間違えており、4年生の頃には中央ロー不合格でした。周りの友達は中央だけでなく慶應、東大、一橋に合格していました。本当に悔しかったです。さらに、私が入学する時点でも中央ローの合格率は芳しくなかったので、私は司法試験に一生受からないし、今更就活もできないと思い追い詰められ、1週間で10kg痩せました。
ですが、周りの支えがあり諦めず、自分の弱点(法律だけでなく性格も)をすべて受け入れて、都立大ロー入試以降3年間不安になりながら頑張ってきました。その結果、合格点から100点余裕を持って合格できました。私は、司法試験は誰でも受かる試験だとは思いません。本当につらい試験でした。ですが、つらい試験だからこそ学ぶべきことも多かったし、周りの人の大切さに気付くことができました。
合格後はしばらく会ってない人と会うきっかけにもなります。今勉強されている方で勉強に限らず本当につらい方も多いと思いますが、つらいからこそ得られるものもあると思います(私のつらさなど生ぬるいものですが)。つらいことの方が多いですが、最後まで頑張って欲しいです。