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明日から令和4年司法試験を受験される皆様へ

加藤ゼミナール代表をしております、弁護士の加藤喬でございます。

いよいよ、明日から司法試験が始まります。

今年は、東京の試験会場に立たせて頂きます。

5月11日(水)は東京五反田TOC、5月12日(木)は東京市ヶ谷TKP、5月14日(土)は大阪のマイドームおおさかに立たせて頂きます。5月15日(日)は、司法試験の試験会場ではなく、予備試験の試験会場に立たせて頂きます。

※天候及び業務スケジュールを踏まえ、5月14日(土)にマイドームおおさかに立つ予定は、取りやめさせていただきました。

以下では、明日から令和4年司法試験を受験される皆様へ、私からメッセージを送らせて頂きたいと思います。

 

論文全科目に共通する重要事項 

①自信をもって試験に臨む

自信がないと、問題文を読んだ際のファーストインプレッションを信じることができず、深読みしすぎてしまう危険があります。例えば、論点Aが問題になっているという心象を頂いたものの、この心象を信じることができず深読みしすぎた結果、問われていない論点Bを書いてしまうなどです。

自分を追い込むのは、試験前日までです。試験当日は、これまで司法試験合格に向かって勉強をしてきた自分を信じて、自信を持って問題を解いて欲しいと思います。

②「これさえできれば合格」という目安をもって試験に臨む

自分が点を取るための手段の優先順位が明確になり、どんな問題が出題されても答案の最低水準を維持できるようになります。

私の場合、①問題文のヒントと設問・会話文の指示に食らいつく、②最後まで書き切るという2点でした。

③問題文のヒント、設問・会話文の指示に食らいつく

問題文には、何について、どのように、どれくらいの分量で書くべきかのヒントがあることが多いです。

設問・会話文における指示では、特に、論述の形式と方向性に気を付けましょう。

これらを守るだけ相対的にだいぶ浮きます。

④現場思考問題のコツ

法律論の前に、まずは、問題文のヒントから問題の所在(=何がどう問題となっているのか)を把握しましょう。

その上で、条文(又は概念)→論証(理由+規範)→あてはめという論述形式に従って、解答します。

論証を書く際には、問題文のヒントから出題者が求めている当てはめと結論を把握し、それを導ける規範を書く(=当てはめから逆算して論証を導く)という方法が有効です。

⑤答案全体の出来を重視する

特定の設問の出来よりも、答案全体の出来を重視しましょう。

例えば、何を書けばいいのか分からない設問で立ち止まりすぎた結果、何を書けばいいのかが分かる設問について書く時間が無くなってしまうという事態に陥らないよう、分からない設問に時間を書けすぎないという勇気が必要です。

また、書けそうな設問に時間を書けすぎてしまい、他の設問に時間を書けることができなくなるという事態を避けるために、書けそうな設問で書きすぎないという勇気を持つことも必要です。

⑥答案の向こう側にいる貴方が見られている

答案の内容が正解筋に乗っていることも大事ですが、それと同じがそれ以上に、自分なりに最初から最後まで一本の筋を通すことが大事です。簡単に正解筋を見つけることができない、あるいは正解筋が複数あり得るといった具体的事例を目前にして、限られた時間の中で、法律知識と思考力を総動員して一本の筋を導き出し、それを分かりやすい文章で答案に示すことが大事です。その意味で、答案を書いている皆さん自身が見られています。

憲法における重要事項

①何について・論じるのかを問題文のヒントから判断する

近年の司法試験では、被侵害権利として取り上げるべき人権、規制ごとの規制目的、規制の仕組み(何のために、何を、どう規制しているのか)、規制の問題点について、問題文で分かりやすく誘導してくれています。

したがって、人権選択から目的手段審査による当てはめに至るまで、何をどう論じるべきかについて問題文のヒントに従って考えることが極めて重要です。

②違憲審査の基本的な枠組み

近年の司法試験では、保障→制約→違憲審査基準の定立→当てはめ(目的手段審査)という違憲審査の基本的な枠組みが重視されていますから、問題文のヒントと参考判例を違憲審査の枠組みに落とし込んで答案で使いまくりましょう。

特に、問題文のヒントについては、使い方が分からなくても、なんとかして違憲審査の枠組みを前提とした答案にねじ込みましょう。

③判例理論に引きずられすぎない

判例理論に引きずられすぎないようにしましょう。例えば、判例は利益較量論に立っているため、判例を答案で使う際には学説の違憲審査基準論に引き直してから使う必要があります。

また、論文試験で求められているのは法令や処分の憲法適合性の検討であるため、論文試験では法令や処分の憲法適合性に関する結論を直接的に導くことができる判断枠組みを用いる必要があります。したがって、判例が裁量論により適法・違法についてしか判断していない事案であっても、裁量論ではなく違憲・合憲の結論を直接的に導くことができる判断枠組み(通常は、保障→制約→違憲審査基準の定立→当てはめによる目的手段審査)を用いる必要があります。

行政法における重要事項

①設問及び会議録における論述の形式・方向性に関する指示に従う

行政法では、設問や会議録において、論述の形式(主張反論型、三者間形式など)、論述の方向性について指示されることが多いです。

ここで間違えると大失点につながる危険があります。

②重要な指示・誘導を落とさない工夫

事案、設問、会議録において重要な指示・誘導が出てきたら、その都度、構成用紙にメモするという工夫が有効です。

③論述の中身に関する指示・誘導との向き合い方

行政法では、設問や会議録において、何について・どう論じるかについて誘導されるので、どれだけ誘導に従って答案を書くことができるかが肝になっています。

もっとも、細かい誘導まで拾おうとした結果、法律構成全体が歪んでしまう危険がある場合には、答案戦略上、細かい誘導を飛ばすのもありです。無理に枝・葉レベルの誘導まで答案に反映しようとした結果、幹レベルのことまで崩れてしまうのでは、本末転倒です。幹レベルの誘導についてしっかりと論じることができれば、少なくとも合格水準には到達します。

④処分の違法事由に関する法律構成

処分の違法事由の検討において、法律構成が分からなくても、行政裁量や要件解釈による規範定立など、何らかの法律構成を示しましょう。

問題文中の事実の摘示・評価は、法律構成という皿の上でしなければ、ほとんど評価されません。

大事なことは、法律構成の内容ではなく、法律構成を示した上で事実の摘示・評価をするという論述の形式を守ることです。

労働法における重要事項

①第1問と第2問の時間配分

第1問と第2問の時間配分に気をつけましょう。

開始1~2分で各問題にざっと目を通し、点の取りやすさや所要時間等を確認した上で、第1問に入るというのもありです。

②紙面不足にも気を付ける

労働法では、人によっては、時間ではなく紙面が足りなくなることもあるので、基本7科目に比べて字を小さくしたり詰めて書くなどの工夫を要することもあります。

③規範を失念した場合の対処法

規範を失念しても、とりあえず、規範を書きましょう。

論文試験の採点方式は原則として減点方式ではなく加点方式ですから、書かないよりも書いたほうが点に繋がります。

規範を書かないと、いかなる法的観点に従って事実を摘示・評価しているのかが読み手に伝わりませんから、間違った規範でも構いませんから書いた方が点に繋がります。

④現場思考問題の対処法

近年、毎年のように、第2問では、現場思考論点が出題されています。もっとも、難しいことは問われておらず、問題文のヒントから問題の所在と当てはめを把握して、求められている当てはめをすることができるような規範をその場ででっち上げることにより、合格水準の答案を書くことができます。

司法試験は、文系最高峰の国家試験であり、受験資格を得るだけでも膨大な時間・費用を要するうえ、受験回数制限まであります。

自分の可能性を信じることができたからこそ、受験を決断し、合格に向かって今日まで本気で勉強してこれたわけです。

人生のいついかなる場面においても全力を尽くして下さいとは言えませんが、人それぞれ、人生の中で、ここは絶対にやり切らなければいけない時があります。

今年、司法試験を受験される皆さんにとっては、今がその時です。

明日からの5日間、やり切りましょう。

とにかく、最後まで受け切ることです。

皆様のご健闘をお祈り申し上げます。

加藤ゼミナール代表 弁護士・加藤喬