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令和3年予備試験解答速報-行政法-

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講師作成の参考答案

解説

設問1

本件条件に不満を持っているAが提起することが考えられる取消訴訟は、本件条件の取消訴訟及び本件許可の取消訴訟の2つです。

1.本件条件の取消訴訟

(1) 附款の法的性格

附款とは、行政行為の効果を制限するために意思表示の主たる内容に付加された従たる意思表示を意味します(塩野「行政法Ⅰ」298頁、櫻井・橋本「行政法」98頁)。

本件条件は、講学上の負担として、附款に該当します。

附款もそれ自体として相手方の権利義務を左右する法効果を持つから行政行為に当たるといわれているので、本件条件にも「処分」性が認められます(曽和「行政法総論を学ぶ」213頁)。

(2) 取消訴訟の対象としての附款の独立性

問題は、本件条件が本件許可から独立して取消訴訟の対象となる「処分」に当たるかです。

基本書では、附款が違法であるとして争う方法について、①本体たる行政行為と附款が不可一体分である場合には、当該附款が違法であれば本体たる行政行為も違法になるから、本体たる行政行為の取消訴訟を提起するべきであり、②本体たる行政行為と附款が分離可能である場合には、附款だけの取消訴訟を提起して附款の違法を争うことができる、と解されています(曽和「行政法総論を学ぶ」213頁)。

そして、その附款がなければ本体たる行政処分がなされなかったであろうことが客観的にいえる場合が①に当たり、その附款がなくても本体たる行政行為に関連して一定程度以上の公益上の障害が生じない場合が②に当たると解されています(北村ほか「事例から行政法を考える」95頁、塩野「行政法Ⅰ」204頁、中原「基本行政法」146頁)。

上記の考え方を踏まえて、本件条件と変更許可との分離可能性という観点から、本件条件が本件許可から独立して取消訴訟の対象となる「処分」に当たるのかを検討することになると思われます。

(3) 処分性以外の訴訟要件

他の訴訟要件についても簡潔に言及するのが望ましいですが、問われていることの本質ではありませんから、現実的な答案を示すという意味で、私の参考答案では言及していません。余力があるのであれば、言及したほうが良いです。

2.本件許可の取消訴訟

本件許可の取消訴訟では、Aには、自己に対する授益的行政処分である本件条件付きの本件許可の取り消しを求める訴えの利益(9条1項参照)が認められるかが問題となります。

取消判決の形成力(32条参照)により申請に対する応答未了という状態に戻る(B県知事の審査応答義務が復活する)→B県知事は本件条件が違法であるという理由中の判断に従って許否及び条件の要否・内容について判断する(33条2項)→本件条件が付されていない変更許可がなされる可能性がある→本件条件のない変更許可を受けるというAの権利利益の実現可能性がある→訴えの利益が認められる、ということを論じます。

ここでは、取消判決の形成力及び拘束力を使って上記の一連の流れについて説明することが重要です。

3.2つの取消訴訟の比較

設問1では、「本件条件に不満を持つAは、どのような訴訟を提起すべきか。」という大きな問いがあり、小さな問いの1つとして「考えられる取消しの対象を2つ挙げ、それぞれの取消判決の効力を踏まえて検討しなさい。」とあります。ここから、本件条件の取消訴訟と本件許可の取消訴訟の双方の適法性(訴訟要件充足性)を検討した上で、どちらの訴訟が「本件条件に不満を持つA」が提起する訴訟としてベストであるのかについてそれぞれの取消判決の効力の違いに着目して検討することまで求められていると考えられます。

原告の目的を達成する手段としての実効性という観点から複数の訴訟を比較検討させるという出題は、予備試験では珍しいですが、初期のころの司法試験では頻出でした(平成19年、平成20年、平成23年)。

設問2

設問2では、本件条件の違法性について、Aの主張→B県側の反論→Aの再反論という構成で論じることになると考えられます。

メインはAの主張・再反論ですから、B県側の反論は、争点形成のために必要な限度で簡潔に示すにとどめるべきです。

Aの言い分は、①「Aは、近隣の県では本件条件のような内容の条件は付されていないのに、B県においてのみ本件条件が付された結果,当初予定していた事業の効率化が著しく阻害されると考えている。」(問題文32~34行目)、「Aは、本件条件が付されることについて、事前連絡を受けておらず、事前協議が無に帰してしまい裏切られたとの思いから、強い不満を持っている。」(問題文34~36行目)という2点です。これらの言い分を法的に構成した上で、Aによる違法主張を展開することになります。

Aの言い分の法律構成が悩ましいですが、私は、裁量論を採用した上で、①については平等原則を媒介とした考慮不尽、②については事前協議の過程に着目して考慮不尽として論じています。

なお、法施行規則所定の許可基準は、Aの言い分との関係では、あまり関係がないのではないかと思い、参考答案では言及していません。

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