
令和6年司法試験の論文基本7科目と選択科目(労働法・経済法・倒産法)の出題分野・論点一覧を公開しています。
傾向分析などの参考にしていただければと思います。
【憲法】犬猫の販売業における許可制と広告規制
〇職業の自由(22条1項)
- 薬事法事件(最大判S50.4.30・百Ⅰ92)
- 酒類販売免許制事件(最判H4.12.15・百Ⅰ94)
- 医薬品ネット販売規制事件(最判H25.1.11・百ⅡA19)
- 要指導医薬品指定事件(最判R3.3.18)
〇営利表現の自由(21条1項)
- あん摩師等法事件(最大判S36.2.15・百Ⅰ54)
【民法】
設問1(1)ア
- 他人物賃貸借の賃借人を所有者が単独相続した場合(最大判S49.9.4の射程)
設問1(1)イ
- 他人物賃貸借の賃借人が所有者の目的物返還請求に対して賃貸人の債務不履行による損害賠償債権を被担保債権
とする留置権を主張することの可否(最判S51.6.17の射程)
設問1(2)ア
- 不当利得返還請求権(703条、704条)
- 賃借物の一部の使用収益の不能を理由とする賃料減額(611条1項)
設問1(2)イ
- 必要費償還請求権(608条1項)
- 賃借人の修繕権(607条の2)と必要費償還請求権(608条1項)の関係
- 必要費償還請求権(608条1項)における償還するべき「必要費」の範囲
設問2
- 離婚に伴う財産分与に対する95条1項の適用可能性
- 動機の錯誤を理由とする意思表示の取消し(95条1項2号)
- 共通錯誤(95条3項2号)
- 95条4項の「第三者」
- 95条4項の「第三者」における権利保護資格要件としての登記の要否
- 95条4項の「第三者」と表意者からの譲受人との優劣(最判S42.10.31の射程)
【刑法】
〇正当防衛(36条1項)
- 予期された侵害の「急迫」性(最決H29.4.26・百Ⅰ23)
〇不能犯
〇共同正犯(60条)
- 共謀共同正犯(練馬事件・最大判S33.5.28・百Ⅰ75)
- 共謀共同正犯の場合に誰を基準として正当防衛の成立要件を判断するべきか
〇幇助犯(62条1項)
- 狭義の共犯における要素従属性(「正犯なき共犯」の肯否‐正犯が正当防衛の成立要件を満たす一方で、共犯が正当防衛の成立要件を満たさない場合)
〇暴行罪(208条)
〇窃盗罪(235条)
〇傷害罪(204条)
〇1項強盗罪(236条1項)
- 事後的奪取意思を生じて財物を奪取した場合(東京高判S48.3.26、大阪高判H元.3.3)
〇2項強盗罪(236条2項)
- キャッシュカードの暗証番号の聞き出し(東京高判H21.11.16・H23重判4)
【商法】
〇株主平等原則(109条1項)
- 少数株主を締め出す目的に基づく株式併合は株主平等原則に違反するか(札幌地判R3.6.11)
〇利益供与(120条1項)
- 少数株主が自らの負担において行う利益供与にも類推適用できるか
〇株式併合(180条以下)
- 少数株主を締め出す目的に基づく株式併合
- 株式併合の無効を主張するための会社法上の手段
〇株主総会決議の取消しの訴え(831条1項3号)
- 株式併合による株主たる地位を失った元株主の原告適格(831条1項柱書後段括弧書)
- 利益供与を手段として議決権を行使させたことを理由とする取消事由(東京地判H19.12.6・百31)
- 少数株主が自らの負担において利益供与又はその約束をしている状況下で成立した株主総会決議には「決議の方法が…著しく不公正なとき」(831条1項1号)という取消事由が認められるか(さいたま地判R2.10.29)
- 特別利害関係株主の議決権行使(831条1項3号)
- 商品券欲しさに乙社提案の各議案に賛成しようと考える株主は「特別の利害関係を有する者」に当たるか
- 少数株主を締め出す目的に基づく株式併合の承認を内容とする議題について、少数株主を締め出す目的を有する多数派株主は「特別の利害関係を有する者」に当たるか
- 少数株主を締め出す目的に基づく株式併合を承認する株主総会決議は「著しく不当な決議」に当たるか(札幌地判R3.6.11)
〇株主総会決議の無効確認の訴え(830条2項)
- 少数株主を締め出す目的に基づく株式併合は株主平等原則に違反するか(札幌地判R3.6.11)
〇監査役による違法行為等の差止め(385条1項)
- 少数株主が裁判所の許可を得て株主総会を招集する場合にも類推適用できるか(さいたま地判R2.10.29)
【民事訴訟法】
〇任意的訴訟担当
- 明文なき任意的訴訟担当(最大判S45.11.11・百12)
〇裁判上の自白
- 裁判上の自白の意義(通説VS有力説)
- 先行自白
- 弁論準備手続における自白の成否(又は弁論準備手続において成立した自白の撤回可能性)
〇既判力
【刑事訴訟法】
〇犯人を特定するためのビデオ撮影・録画
- 強制処分該当性
- 任意処分の限界(最大判S44.12.24、最決H20.4.15・百9)
〇行政警察活動
- 職務質問の要件
- 所持品検査(米子銀行強盗事件・最判S53.6.20・百4)
〇違法収集証拠排除法則
- 証拠排除の判断基準(最判S53.9.7・百88)
- 違法性承継論(最判S61.4.25・百89、最判H15.2.14・百90)
- 毒樹の果実論(最判S58.7.12・伊藤正己裁判官の補足意見)
【行政法】都市再開発法に基づく組合施行の第一種市街地再開発事業を巡る紛争
〇違法性の承継(最判H21.12.17・百Ⅰ81)
〇手続的瑕疵
- 事業計画変更認可の申請があった場合における事業計画の縦覧及び意見書提出手続(現場思考問題)
- 手続的瑕疵と処分の取消事由(最判S50.5.29・百Ⅰ115)
〇実体的瑕疵
- 先行行為である土地計画変更の違法性は後続処分である事業計画変更認可の取消訴訟において主張できる
- 施行地区を変更する都市計画の違法事由(現場思考問題)
〇処分性(事業計画変更認可)
- 都市再開発法上の再開発事業計画の決定(最判H4.11.26)
- 土地区画整理法上の土地区画整理事業計画決定(最大判H20.9.10・百Ⅱ147)
【労働法 第1問】
〇時間外労働についての割増賃金
- 管理監督者(労基法41条2号前段、日本マクドナルド事件・東京地判H20.1.28)
- 違法な時間外労働に対する割増賃金請求権(小島撚糸事件・最判S35.7.14)
〇賞与
- 賞与の法的根拠
- 賞与の支給日在籍要件(大和銀行事件・最判S57.10.7、医療法人佐藤循環器科内科事件・松山地判R4.11.2)
〇退職金
- 退職金の法的根拠
- 懲戒解雇を理由とする退職金支給制限(小田急電鉄事件・東京高判H15.12.11)
【労働法 第2問】
〇チェック・オフ
- チェック・オフの要件(済生会中央病院事件・最判元.12.11)
〇ユニオン・ショップ協定
- ユニオン・ショップ協定の有効性(三井倉庫港運事件・最判H元.12.14・百83)
〇団体交渉拒否の不当労働行為
- 法的手段(行政救済)
- 義務的団交事項
- 誠実交渉義務違反(山形大学事件・最判R4.3.18・R4重判10)
- 誠実交渉義務を尽くした後の交渉打切りについての「正当な理由」(池田電器事件・最判H4.2.14)
〇支配介入の不当労働行為
- 法的手段(行政救済)
- 使用者の中立保持義務(日産自動車[残業差別]事件・最判S60.4.23・百107)
【経済法 第1問】
〇不当な取引制限(談合)
〇手続関係(課徴金)
【経済法 第2問】
〇拘束条件付取引(取引拒絶)
〇取引妨害
〇私的独占
【倒産法 第1問】
〇法人の役員の責任追及等
- 役員の責任の査定手続(破178条1項)
- 役員の財産に対する保全処分(破177条1項)
〇破産者の義務
- 説明義務(破40条1項1号)
- 重要財産開示義務(破41条)
〇破産者の資産状況等に関する情報収集手段
- 破産管財人の調査権(破83条1項)
- 裁判所による郵便物等の破産管財人への配達嘱託(破81条1項)
〇事業譲渡についての相当価格による財産処分行為の否認(破161条1項)の可否
- 事業譲渡と相当価格による財産処分行為の否認(東京高判H25.12.5・百32)、若しくは特定の債権者に対する弁済をする意思をもって隠匿等の処分をする意思があったといえるか(現場思考問題)
〇事業譲渡についての故意否認(破160条1項1号)の可否
- 「破産債権者を害する…行為」(破160条1項1号)の意義
【倒産法 第2問】
〇再生計画案の決議
〇議決権の有無及び議決権額の算定方法
- 再生債権(民再84条1項、同条2項2号)該当性
- 議決権の有無及び議決権額の算定方法(民再87条1項3号ニ、同項4号、同条2項)
〇再生債務者等が届出がされていない再生債権があることを知っている場合に関する規律
- 再生債務者等が届出がなされていない再生債権について自認する内容等を記載したとき
- 届出がなされていない自認債権の議決権(民再170条2項、171条1項参照)
- 再生計画の定めに従った権利変更(民再179条1項)
- 再生債務者等が届出がされていない再生債権について自認する内容等を記載しなかったとき
- 届出も自認もなされていない再生債権の議決権
- 再生債権免責の原則(民再178条1項本文)
- 再生債権の免責の例外(民再181条1項3号)
- 再生計画の権利変更の一般的基準に従った権利変更(民再181条1項柱書)
〇再生債権の確定手続
- 再生債権査定決定手続(民再105条1項)
- 査定決定に対する異議の訴え(民再106条1項)
- 再生債権の確定に関する訴訟の判決等の効力(民再111条1項、同条2項)
〇違約金条項の適用の有無
執筆者
加藤 喬 加藤ゼミナール代表・弁護士
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院 修了
総合39位・労働法1位で司法試験合格
基本7科目・労働法・実務基礎科目の9科目を担当