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司法試験受験に資格制限(年齢・学歴・前科等)はある?注意点を解説

司法試験について

司法試験を目指すにあたり、学歴や年齢など何らかの制限があるのではないかと不安な方もいらっしゃるのではないでしょうか?

結論としては司法試験の受験資格を得るためには、特段の制限は設けられていません。

ただし、方法によっては実質的な制限がある場合や、司法試験自体は受験できても合格後に法曹界に入るにあたって制約が出るケースもあります。

今回は司法試験の受験を中心とした資格の制限について注意点を解説します。

 

司法試験の受験資格

司法試験の受験資格やその有効期限について解説します。

司法試験の受験資格は法科大学院修了か予備試験合格で得られる

司法試験の受験資格は

  1. 法科大学院に入学し、既定のコース(既習コース2年、未修コース3年、もしくは夜間制の法科大学院の場合最大5年)を修了する
  2. 司法試験予備試験(予備試験)に合格する

のいずれかの条件を満たすことで得られます。

司法試験の受験資格の有効期限

法科大学院修了、予備試験合格いずれの場合であっても、得られた司法試験の受験資格の有効期限は資格を得た年を含め5年間です。5年間の間であれば何度でも受験することができ、試験は1年に1回開催されるため、受験資格を得てから 最大で5回の機会 が得られます。

この5年間の間に合格できなかった場合は受験資格は失効します。再度資格を得るためにはもう一度法科大学院に入学しカリキュラムを修了するか、予備試験に合格する必要があります。

 

司法試験の受験資格には特別な制限はない

司法試験の受験にあたっては法科大学院のカリキュラムの終了、ないしは予備試験への合格が条件となりますが、 いずれかの条件を満たした場合はその他一切の制限なく司法試験を受験することが可能 です。

例えば年齢や国籍、前科の有無といった受験制限がつくことはありません。

法科大学院の受験にあたっては大学卒業(早期卒業を含む)が要件として求められるため実質的には年齢や学歴による資格制限が設けられていますが、予備試験の受験には一切の制限が設けられていません。

従って、予備試験合格を経て司法試験を受験するルートは誰にでも開かれていると言えます。

 

司法修習や法曹資格職につくにあたっての制限

司法試験の受験自体は必要なプロセスを踏めば誰もが受験できますが、合格後に実際に法曹の職に就くにあたっては制限が設けられます。具体的には司法修習の段階と、修習を修了し実際に職に就くにあたっての制限が存在します。

司法修習を受けるにあたっての制限

司法試験合格後、裁判官、検察官、弁護士の職に就くためには1年間の司法修習を修了し、考試(二回試験)と呼ばれる試験に合格する必要があります。

この司法修習生の期間は国家公務員として扱われることになりますが、この時国家公務員法38条(国家公務員の欠格事由)に該当する場合は、そもそも司法修習生の身分を得ることができません。

・禁錮以上の刑に処せられ,その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
・懲戒免職の処分を受け,当該処分の日から2年を経過しない者
・日本国憲法施行の日以後において,日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し,又はこれに加入した者

例えば「懲役2年、執行猶予3年」の刑罰を言い渡されている場合、執行猶予の3年間を終えることで「執行を受けることがなくなる」を満たすため司法修習の申し込みが可能となります。

もしくは「禁固2年」等の刑が既に執行された場合、刑の執行終了から10年間、罰金以上の刑に処されることがなければ刑は消滅し上記の欠格事由から外れます。

なお、司法試験合格には期限は存在せず、合格の翌年以降の司法修習に申し込むことが可能です。従って、執行猶予中の場合や、前科がある場合その内容に伴う欠格事由が消滅した後であれば司法修習生の身分が得られます。

検察官・裁判官の資格制限

検察官および裁判官は国家公務員の身分であるため、司法修習生と同様に国家公務員法38条の欠格事由による資格制限が設けられています。

弁護士の資格制限

弁護士は国家公務員にはあたらないため、国家公務員法38条の制約は受けませんが、弁護士法7条に別途欠格事由が設けられています

一 禁錮以上の刑に処せられた者
二 弾劾裁判所の罷免の裁判を受けた者
三 懲戒の処分により、弁護士若しくは外国法事務弁護士であつて除名され、弁理士であつて業務を禁止され、公認会計士であつて登録を抹消され、税理士であつて業務を禁止され、又は公務員であつて免職され、その処分を受けた日から三年を経過しない者
四 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

従って、例えば禁固以上の刑に処せられた場合、執行猶予が就いた場合であれば執行猶予期間を終えるまで、刑が執行された場合は執行修了から10年間は弁護士として登録することができません。

また、自己破産などの手続きを行った場合も全ての手続きを終え、復権するまでは弁護士の業務を行うことはできません。

 

まとめ

司法試験の受験資格は、法科大学院修了もしくは予備試験の合格により得られ、その他の制限は設けられません。特に予備試験は実質上の年齢制限や学歴などの制限も一切ありません。

予備試験合格は平たんな道ではありませんが、誰にでも門戸が開かれている試験であると言えます。

また、司法試験合格後も司法修習生やその後の資格を得るにあたっては欠格事由があるため、職務上だけでなく 日常生活も含めて高い倫理観を保つことが求められます。