司法試験の対策を行うにあたって、どのような科目がどのような形式で出題されるか、またどの程度の比重を占めるかは限られた時間の中で対策を行うにあたり重要です。
今回は司法試験における出題科目や、科目ごとの配点や試験時間といった情報を網羅しています。また、司法試験に存在する「足切り」の制度についてもそれぞれの基準を解説します。
Contents
司法試験の科目ごとの配点と時間配分
司法試験は短答式試験、論文式試験ごとに、配点や時間配分は下記のように設定されています。
短答式試験
短答式試験は民法・憲法・刑法の3科目で実施されます。民法が75点、憲法と刑法が各50点の計175点満点です。
科目 | 配点 | 試験時間 |
---|---|---|
民法 | 75点 | 75分 |
憲法 | 50点 | 50分 |
刑法 | 50点 | 50分 |
短答式試験は最終的な合格点の判定にも判断されますが、 短答式試験での成績が低いとその時点で不合格となり論文試験は採点されません。
また、合否判定は総合点で判断されますが、1科目でも40%を切った場合はその時点で不合格とされます。
なお、短答式試験の合格者平均点は全体の7割程度、短答式試験の通過率は受験者全体の65%~75%程度です。
通過率は比較的高いと言えますが、司法試験の受験資格を得ている層が一定数この段階で振り落とされていると考えると油断はできません。
論文式試験
論文式試験は8科目それぞれが100点満点で採点されます。試験時間は選択式科目のみが180分、それ以外の科目は120分です。
科目 | 配点 | 試験時間 |
---|---|---|
選択科目 | 100点 | 180分 |
公法系科目第1問(憲法) | 100点 | 120分 |
公法系科目第2問(行政法) | 100点 | 120分 |
民事系科目第1問(民法) | 100点 | 120分 |
民事系科目第2問(商法) | 100点 | 120分 |
民事系科目第3問(民事訴訟) | 100点 | 120分 |
刑事系科目第1問(刑法) | 100点 | 120分 |
刑事系科目第2問(刑事訴訟法) | 100点 | 120分 |
司法試験の最終合否判定
司法試験は短答式試験と論文式試験の総合点で判断されますが、単純に合計点を加算するわけではなく、 論文式試験の点数に14/8をかけた数字(×1.75倍)に短答式試験の数字を足し合わせて合否を判定 します。
従って、見た目の点数よりも論文式試験が重視される合否判断をされることを念頭に置いて試験対策を行う必要があります。
また、1科目でも得点が25%を下回った場合は、他の科目の得点に関わらず不合格となります。
論文式試験の合格率は短答式試験合格者の内の30~50%程度です。合格最低ラインは短答式試験の得点にもよるため一概にはいえませんが、基本的には60%程度の得点ができていると安全圏と言えそうです。
(参考)司法試験予備試験(予備試験)の配点・科目
司法試験を受験するためには法科大学院を修了するか、予備試験に合格する必要があります。
予備試験は年齢や学歴といった受験資格が一切ない試験ですが、 そのハードルは非常に高く、一方で予備試験通過者の司法試験合格率は非常に高い数字を記録しています。
予備試験は短答式、論文式、口述式の3つの試験が段階式に実施され、各試験の通過者が次のステップに進むことができます。
また、予備試験は各ステップの総合成績のみで判断され、特定の科目における足切りラインは設けられていません。
予備試験の短答式試験の科目と配点
予備試験における短答式試験は以下の科目、配点で実施されます。
科目 | 配点 |
---|---|
憲法 | 30点 |
民法 | 30点 |
刑法 | 30点 |
商法 | 30点 |
民事訴訟法 | 30点 |
刑事訴訟法 | 30点 |
行政法 | 30点 |
一般教養 | 60点 |
予備試験の論文式試験の科目・配点
論文式試験は以下の科目、配点で実施されます。
なお、論文試験における一般教養科目は2022年度以降廃止され、「選択科目」が導入されることが公表されています。選択科目は司法試験と同じ科目の中から選択を行います。
科目 | 配点 |
---|---|
憲法 | 50点 |
民法 | 50点 |
刑法 | 50点 |
商法 | 50点 |
民事訴訟法 | 50点 |
刑事訴訟法 | 50点 |
行政法 | 50点 |
実務基礎(民事) | 50点 |
実務基礎(刑事) | 50点 |
一般教養 | 50点 |
予備試験の口述試験
口述試験は民事実務、刑事実務の2科目から出題されます。60点を基準点とし、2科目の合計点で判断されます。口述試験は論文試験通過者の9割以上が通過する試験ですが、ここで落ちても翌年度以降の再受験に優遇はないため、最後まで気を抜かずに臨む必要があります。
まとめ
司法試験において出題される科目、およびその配点や試験時間についてまとめました。司法試験においては幅広い分野から出題されるだけではなく、苦手な分野において一定の点数を下回ってしまうと無条件に不合格となる「足切り」の制度が導入されています。
科目の比重なども考慮に入れながらバランスよく、手堅く得点できるように対策を行いましょう。