冨本 尚吾 様
広島大学法学部 卒業
神戸大学法科大学院(既修) 在学
令和5年 司法試験合格
総合 917.39点 747位
論文 443.65点 771位
公法系 92.40点(B、D)
民事系 167.30点(B、B、A)
刑事系 120.65点(B、A)
選択科目 63.29点
私が選択科目として労働法を選択しようとしたきっかけは、教材の数が多いのと、労働法が一番自分にとって身近な科目だったからです。ただ、私は学部時代に労働法のゼミに入っていたこともなく、法科大学院入学当初は完全に初学者の状態だったので、何らかの講座をとるべきだと考えていました。そして、過去問講座を見つけた際、加藤先生が労働法で1位をとってらっしゃって、加藤ゼミナールの労働法の講座がものすごくいいという話も聞いていたので、受講を決意しました。
法科大学院入学時点で全く知識はなく、まずは知識を入れるために速修テキスト講座から始めていきました。もっとも、基本7科目の総まくり講座を受けきりたかったこと、労働法の前期期末試験が、水町先生の事例演習労働法で出た論点から出題されることもあり、これらの勉強を中心にしていたことから、受講を始めたのは9月からでした。前期の期末試験対策である程度の知識は入っていましたが、その範囲以外の知識はほとんどない状態に等しく、受講しながらアウトプットもできるよう、単元ごとに重要問題100選講座も受講していくという形をとりました。
速修テキスト講座では、労働法は覚える論証の数が多いものの、とりあえず1周を早く見ることを重視していたので、速修テキスト講座を受講しながら暗記まではせず、大体こんな論点あったなという程度で次々進めていきました。それと並行して、重要問題100選講座の方も進めていました。重問は100問と決められており、勉強時間が限られている中でやりきれる量であったこと、過去問の問題を流用して作成されていることから、過去問をやる負担を軽減できると考えて、重問をメインで回していくことにしました。1周目はとりあえず問題を読んですぐに模範答案を見て講座を受講し、2回目は答案構成をして講座を受講するという形をとりました。重問を1回目はインプット教材のように使い、2回目はアウトプットの教材として使いました。
重問の2周目が終わったのが2022年の年末で、これ以降は過去問をするか、重問と速修テキストの復習をするかを考えましたが、より網羅的に学習をできる後者の方を選びました。また、3Lの前期からゼミ形式で労働法の過去問を扱える授業が法科大学院で開講され、それを受講する際に過去問をしようと考えたのも、後者を選んだ理由です。労働法は基本7科目に比べ、勉強期間が短かったため、なるべく毎週労働法の勉強をすることを心掛けていました。
3Lの4月以降は前述した労働法の過去問を扱える授業をとり、そこで取り組んだ過去問について答案構成→講義視聴→法科大学院の授業という形で過去問に取り組みました。3L前期で7年分の過去問を解いたのですが、全ての年度の起案は他の授業との関係でできず、答案構成にとどまりました。しかし、重問を繰り返し解いていたので、既視感のある問題も多く、まったくわからない状態ということはなく、過去問をたくさんやるより重問を繰り返したことの成果が出ていると感じました。
3Lの中間試験後は専ら論証集を回し知識を入れることに努め、上述した重問と過去問7年分をやった中で補充しておくべきと思ったことを復習もかねて論証集にまとめ、またそれを読むという繰り返しでした。本試験までで、論証集を毎日1周読むことを目標に繰り返して知識を入れることに専念していました。
労働法についても、加藤先生のテキストと重問をやりこめば答案は書けると思っていたこと、先生が講義の中で労働法は論点主義になってもよい、重問をやりこめば過去問をやりこむ必要性はあまりないとおっしゃっていたことから、過去問はやりこまず、速修テキスト・論証集で知識を入れ、その使い方を重問で確認するという勉強法を繰り返していました。
以下、私が今年の司法試験の労働法で実際に感じたことを記述していきます。
試験前
選択科目は司法試験の最初の科目であるため、一番緊張している中で受験する科目でもあります。そのため、これまでたくさん回してきた論証集のみを試験前に読み、ここまでまとめて読んできたから大丈夫と言い聞かせていました。また、選択科目は3時間と他の基本7科目よりも1時間長く時間には比較的余裕があることも意識しながら試験に臨みました。
第1問
第1問は私傷病による休職と復職に関する問題が出題されました。この論点は論証集でも取り上げられており、比較的わかりやすい論点だと感じたのですが、設問間で問題の設定が代わっていたため、これは論点が複数ある問題ではなく、事案の違いも踏まえながら論点少なめで書く問題という風に捉え、丁寧に論じていきました。また、少し現場思考的なものも含まれているのかなと思い(休職扱いのまま会社の違う部署で働いた場合の賃金請求など)、そこを取り上げて丁寧に論じていきました。体感としては、論点は少ないものの、そこまで正解筋とずれていないだろうという印象でした。
第2問
第2問は団交拒否絡みの問題で、使用者性が特に問題となること、さらに労働協約の不利益変更の問題であることは問題を読んで理解し、それと同時に典型論点であるため受験生がしっかり書いてくるだろうと考え、団交の要件を特に丁寧に検討しました。また、労働協約絡みの問題では2つの協約が締結されていたことから、その2つの事案の違いに着目して論じることを意識しました。体感としてはしっかり書けたかな、というイメージでした。
労働法は、法科大学院に入学後初めて触れた科目だったので、1年後の司法試験に間に合うのか本当に不安でした。しかし、加藤ゼミナールの講座をとり、受講していく中で、労働法は覚えることが多いけど、正しい知識を覚え、それを使いこなせることができれば、失敗は少ないという風に感じました。論証集をひたすら回すという直前期の勉強はしんどかったですが、本試験では上位10%の成績をとることができ、加藤ゼミナールのテキストを完璧にするという方法をとってよかったと感じています。
労働法を選択し、加藤ゼミナールの講座を受講される受験生の方に、この合格体験記が参考となれば幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。