R.K 様
東京大学法学部 卒業
令和6年司法試験 合格
総合 830点台 1100番台
論文 400点台 1100番台
友人に勧められて総まくり論証集を購入したところ、内容が非常に充実しており、司法試験の過去問を踏まえた分析も豊富に載っていたことから、過去問講座の質も高いのではないかと思い、購入するに至りました。
選択科目の経済法についても、通っていた予備校のテキストが簡素で近年の司法試験対策としては不安があったことから、加藤ゼミの講座を選択しました。
過去問講座の教材は司法試験の過去問と出題趣旨及び解説、模範答案(年度によっては中上位答案も)からなります。目次等はないので、年度の境目の頁に折り目を付けて使っていました。
解説は出題趣旨を引用しつつ、その内容をかみ砕いて具体的に記述されているので、作問者の出題意図を高い精度で理解でき、きちんと消化することができました。
また、基本書や判例集でのリサーチが丁寧になされており、自分で調べる手間が省けました。試験直前期に持病で入院してしまい起案する時間がほとんど取れなかったのですが、問題を読みつつ頭の中で答案構成してから解説を読むだけで過去問を消化できたのは大変ありがたかったです。
経済法速修テキストは経済法の予備校教材としては随一の情報量で、他の類似教材には載っていないものの司法試験で出題された/出題可能性のある知識が網羅されており、さらに問題演習等で当てはめも学習することができます。
基本書や判例、ガイドラインの情報が条文の文言や行為類型別に整理整頓されているため、インプットした内容を論文に活かしやすく、インターンで経済法の課題を検討した際にも助けになりました。
使い方としては、総まくり論証集と同様、目次に論点の名称や頁数等が記載されているので、そこにチェックを付けて覚えきれていない論証を潰していきました。
経済法過去問講座は重要度別にランク付けされており、目次には各年度の設問ごとに問題となった行為類型が記載されているので、A・Bランクの問題を優先的に消化しつつ、Cランクのうち演習不足を感じる類型の設問を確認しました。速修テキストと完全に対応しているため当然整合性にも問題ありませんでした。
令和6年度の問題のうち、事前のインプットが特に問われた設問について、加藤ゼミのテキストとの関連性を記します。
憲法の設問1は職業の自由についての問題で、法案の規制目的がいわゆる積極目的/消極目的のいずれにも属さないという特殊性がありましたが、「規制の態様と規制の目的を考慮して当該規制に関する立法府の裁量の広狭を明らかにすることにより判断するべき」という論証集における薬事法判決の理解で全く問題なく対応できました。
設問2は営利広告の自由の問題であり、自分はいわゆるセントラル・ハドソン・テストを用いたのですが、論証集の営利的言論の項目の内容で全く問題なかったと思われます。
行政法は特に設問1⑴の処分性が話題になりましたが、出題趣旨で参照を求められている2つの判例のうち、最判平20.9.10は「中間的行為」として解説されるとともに、「後続行為との連動制」というトピックでも挙げられているため、それで十分対応することができたと思います。
民事訴訟法の設問1は明文なき任意的訴訟担当についての最判昭45.11.11についての知識を問うものであり、出題趣旨によると、非潜脱要件については「単なる訴訟代理権だけではなく実体上の管理権も併せ有していた」点を考慮すること、合理的必要性については「非潜脱要件を満たす場合には特段の事情がない限り合理的必要性を欠くものとはいえない」ことを踏まえつつ具体的事情を検討することを求めていたようです。
この点について論証集では言及がありませんが、他社教材も同様であるため差はつかなかったと思われます。自分は判例集等でこの点を把握して論証集に書き込んでいたのですが、そうしたリサーチの時間的余裕があったのも、他の論点についてリサーチが行き届いていたからこそだと思います。
設問2は裁判上の自白の撤回についての現場思考を問うものでした。自分は論証集の「審判排除効と撤回禁止効の関係」を参考に、撤回禁止効の根拠は証明不要効による証明不要に対する信頼を確保することである等と立論したのですが、出題趣旨15頁の構成と類似しており、高い評価を得ることができたと考えられます。
設問3については遮断効についての期待可能性説が掲載されていたため手早く処理することができました。
経済法の設問1は入札談合についての問題であり、不当な取引制限の各要件について入札談合の場合の書き方が掲載されていたので参考になりました。
設問2で問われた行為のうち(c)は取引妨害であり、過去の出題例が少なく、類似教材の解説も大雑把で書きにくい分野なのですが、速修テキストでは5頁を割いて詳細に解説されており、過去問講座でも解答例が提示されていたため、臆せずに書くことができました。
予備試験は科目によりますが、司法試験については全体的に、年々内容が高度になりつつあり、判例や学説についての深い理解が問われることが多くなっています。
その中で、旧司時代の傾向から脱しきれていないテキストを使い続けることは、慢性的なインプット不足の原因になるだけでなく、そもそも試験対策として非効率であると思います。
加藤ゼミのテキストは判例・学説の更新や司法試験の出題に対応して都度修正・追加され続けており、厚い信頼に足り得るものです。
総まくり論証集は7科目セットの26穴タイプが3万円前後で購入できるため(執筆時点)、一度試してみる価値はあると考えます。