加藤ゼミナールについて

早期卒業者の試験対策方法を深堀り

早期卒業や在学中受験など、短期間に法曹になることができる制度が設けられ、なるべく早期の合格を目指して学習を続けている方もいらっしゃるかと思います。

国立大学を早期卒業し、ロースクールの既修コースに通いながら令和6年の司法試験に在学中合格を果たした受講生に、早期卒業のメリットや注意点など、受験の体験談を聞きました。

早期卒業を目指した理由とメリット、注意点

大学に入学した時点で弁護士を目指す気持ちがありましたので、より早く法曹になれる早期卒業に興味を持ち、「するかどうかは別として、早期卒業をできるような状態でいよう」と気持ちのもと、早期卒業に向けての取り組みを始めました。

私の出身大学の早期卒業制度は、大まかに①一定程度の水準の成績を収めていること、②早期卒業時点で、学部が定める全単位を取得済み(見込み)であること、③当該大学の法科大学院に合格していること、という3つの要件が課されておりました。

より具体的にいえば、2年生が終わった時点での、一定水準の成績、および単位修得数を条件として、「早期卒業候補者」として認定された上で、上記①~③の要件を充足し、早期卒業が認められることとなります。

このような条件がありますので、早期卒業の選択肢を残すためにも、大学1年、2年の時期も、成績には注意して勉強していた記憶があります。

私個人としては、早期卒業を最終的に決心したのは3年生の冬頃とかなり遅かったのですが、早期卒業を目指されるのであれば、1年生の頃から単位や成績に注意しておくことが必要かと思います。

早期卒業制度を利用する際の最大のメリットは、やはり法曹になるまでの時間的負担、経済的負担を軽減できることにあると思います。

もちろん、予備試験に合格すれば早期卒業+ロースクールの5年間よりも短い期間で法曹になることはできます。しかし、予備試験のような高倍率の試験をパスせずとも、早期卒業を利用すれば比較的簡単に合格率50%弱の司法試験にチャレンジできるというのは、比較的低リスクかつ堅実な方法と評価できると思います。

一方、早期卒業で注意しなければならないのが、司法試験合格という目標に照らしたときの、学習量の確保の難しさです。

当然ですが、大学を1年早く卒業するということですので、ロースクールに進学した際には、その分のディスアドバンテージをある程度感じることになると思います。私個人としては、特に訴訟法や行政法などの学習の面で、他の学生と大きく差をつけられており、追いつくことが大変でした。

労働法を選んだ理由と学習方法

ロースクールに入学してから、まず悩んだのが、「選択科目は、何を選ぶべきか」です。

ロースクール入学から司法試験まで1年と3ヶ月程度しかないというタイトなスケジュールの中で、何を基準に選ぶべきかを考えるのは難しかったのですが、「受講者数が多く、偏差値的に沈みにくく、浮きにくそうだ」という理由で、労働法を選択することにしました。

これは、早期卒業との関係で、とにかく時間が足りず、基本7科目の学習が不足している自覚があったため、まずは基本7科目にしっかり取り組もうと思ったことが影響しています。労働法は、いわゆる「守りの答案」を書いて、他で高得点を揃えることができればいいな、というイメージでした。

実際に労働法を学習し始めてまず驚いたのは、抑えておくべき判例の多さです。

最高裁の判決だけでなく、高裁や地裁の判決等の規範も暗記して試験で書き起こせるようにならなければならないというのは、かなり負担の大きい課題でした。

しばらくは自学自習で頑張ったのですが、司法試験まで残り3ヶ月程度になった時点でも答案が上手く書けるようにならず、このままでは間に合わないと思ったので、加藤ゼミナールの労働法過去問講座を受講することに決めました。

具体的な取り組み方としては、まずはAランクに指定されている年の問題に優先的に取り組み、その後解説を読んだうえで、加藤講師の解説動画を見ることを繰り返しました。B、Cランクの問題は、答案構成程度にとどめ、解説を読むこと、および動画をしっかりと見ることを意識しました。

勉強をする中で私が実感した加藤ゼミナールの教材の良さは、他の予備校にはない、基本書をベースにした質の高い論証です。判例の規範をただ貼り付けるだけでなく、判例の当てはめに使われている考慮要素の抽出や、当てはめの視点などが、過不足なく記載されており、典型論点との関係では、ほぼ完璧な作りになっていたと思います。

上述した通り、私は「守りの答案」で十分というスタンスでしたので、論証集をマスターすることまではせず、司法試験頻出であり、「これは覚えなければいけない」と加藤講師が指摘した規範を頑張って覚えたくらいにとどまりましたが、加藤ゼミナールの論証集を使いこなすことができれば、上位答案を狙うことも、十分に可能であると思います。

実際に司法試験を受験した結果、労働法は52.64点であり、一応狙い通りの結果を得ることができました。正直、労働法が偏差値的に沈みにくく、浮きにくい科目だという実感は得られませんでしたが、受講者数が多いこともあり、加藤ゼミナールの労働法講座など、良質な教材等が充実している科目であることは間違いなく、勉強がしやすい科目であったことは間違いありません。勉強がしやすい労働法を選んだことで、学習の効率化を図ることができ、基本7科目の学習に時間を割くことができたので、結果としては労働法を選んで正解だったと思います。

私の受験生活を全体的に振り返ると、概ね戦略通りに進んだ感じがありますが、もう少し早く労働法の取り組み方を見直していれば、もっと楽に受験勉強を進められたのではないか、という印象はあります。早期卒業を目指す方もそうでない方も、勉強を始めて遅すぎるということはないので、早い段階から選択科目についても意識して学習を進めるとよいかと思います。

執筆者情報
近藤涼介さん
広島大学法学部 卒業
京都大学法科大学院(既修) 在学
令和6年司法試験合格者
法学部を早期卒業、司法試験に在学中合格