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司法試験・予備試験合格を目指すうえで判例百選は必須か?

2025年10月05日

判例百選に書かれている情報の一部は司法試験・予備試験合格のために必要ですが、だからといって判例百選を読むことが必須というわけではありません。

確かに、論文試験でも短答試験でも、条文の解釈に関する知識の一環として、判例知識が出題されます。したがって、合格のためには、判例学習は必須です。

しかし、合格に必要とされる判例知識は、基本書や予備校テキストから得ることも可能です。

判例百選は、①事案、②判旨及び③解説の3部構成ですが、判例百選に掲載されている①~③を全て読んで理解・記憶しなければいけないわけではありません。

合格に必要とされる判例知識は、判例百選に掲載されている①~③のごく一部です。

例えば、①事案については、一部の判例を除き、②判旨の意味を理解するために読めば足りますから、複雑な事実関係の全てに目を通す必然性はありません。また、②判旨についても、最初から最後まで読むべきものもあれば、理論・当てはめのうち理論だけ理解・記憶すれば足りるものや、理論の一部だけで足りるものもあります。さらに、③解説については、基本的に、②判旨を理解するために必要な限度で読めば足り、発展的な議論に関する解説まで読むべき判例はかなり限られてきます。

そして、質の高い予備校テキストでは、判例百選に掲載されている情報を試験対策という観点から取捨選択して、必要な情報だけコンパクトに集約してくれているので、判例百選を読むことなく必要な判例知識を効率的に吸収することができます。

これは判例百選に限ったことではありませんが、ある書籍を読むことは目的を達成するための手段にすぎません。

試験対策という観点からどういった知識が必要で、それを得るためにはどの書籍・教材を使うのが最も効率的であるのかという視点をもって勉強しましょう。

くれぐれも、ある書籍を読むこと自体を目的化しないように気を付けてください。

 

執筆者

加藤 喬

加藤ゼミナール代表・弁護士

青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院 修了
総合39位・労働法1位で司法試験合格
基本7科目・労働法・実務基礎科目の9科目を担当