加藤 駿征
加藤ゼミナール専任講師・弁護士
立命館大学法学部 卒業
中央大学法科大学院 修了
総合5位・経済法1位で司法試験合格
ニューヨーク州司法試験合格
大手企業法務系事務所に勤務する実務家弁護士
経済法講座を担当
1. はじめに
今回は、試験対策として百選の読み込みが必要か否かという点についての私の考えをご紹介します。
2. 規範を覚えて書けるようにしておけば十分であること
結論からお伝えしますと、試験対策との関係では百選の開設部分の読み込みはマストではなく、重要な判例についての規範部分を書けるようにしておけば十分であると考えています。
経済法の私見では、見解の対立や学説を問うような問題は出題されておらず、基本的には公取委(通説)の見解にたって事案を処理することを求めるような問題が出題されています。
したがって、試験対策として、判例百選掲載の重要な判例が述べる規範についてはもちろん覚えていただく必要がありますが、それ以上に百選の解説を読み込んで見解の対立軸や判例を深いところまでおさえる必要まではないのではないかと思います。
また、重要判例の規範部分についてのみであれば、市販の入門書や予備校のテキスト等にも記載がありますので、あえて判例百選を使う意義は大きくはないと考えられます。
3. 判例百選の使い方
もっとも、試験問題を作る側としては、一般的なロースクールで教材として採用されている判例百選をベースにしながら問題の作りこみを行う可能性は高いです。なぜなら、司法試験のような長文の問題を全く架空の事実関係をもとに作成することは難しく、何等か事案のベースが必要になるところ、百選掲載判例をベースにした出題であれば、ロースクールの学生が一般的に利用しているものであるということで、公平性が保たれると考えられるからです。
したがって、余裕がある方は、百選判例のうち、重要なものについては、事案の概要と条文として何が選択されているのかを確認しておくと、百選掲載判例のベースにした問題が出題された際に適切に条文の選択ができるようになると考えられます。
経済法は、条文選択が難しいといわれることが多く、判例百選等で事案においてどのような条項が適用されているのかを意識すると相場感も次第に養われていくのではないかと思います。
今回、加藤ゼミナールの企画において、判例百選のうち重要なものについてAランクと整理しましたので、Aランクについてはざっとで結構ですので、事案の概要と適用序文を意識して読んでみるといいのではないかと思います。