蛭川 ゆい 様
立命館大学法学部 卒業
立命館大学法科大学院(既修)修了
令和7年司法試験 合格
総合 500番台
論文 500番台
公法系 A・A
民事系 A・A・A
刑事系 B・A
私は、在学中受験を経て、二回目の受験に臨む際に加藤ゼミナールの総まくり論証集を購入しました。
一回目の受験の合否発表後、「このままでは合格できない」という強い危機感を覚え、使用教材の根本的な見直しが必要だと感じました。
そこで、以前から受験生の間で評判の高かった加藤ゼミナールの論文対策教材に注目し、基本7科目分の総まくり論証集をまとめ買いで購入しました。
*憲法・民法・商法・民事訴訟法について
私は主に憲法・民法・商法・民事訴訟法の4科目について、加藤ゼミナールの論証集を中心に学習を進めました。
以下、その具体的な使い方と工夫を記します。
まず、これら4科目の論証集全般については、1周目は理解を重視しました。初めのうちは読むだけでも非常に時間がかかり、同じ箇所を何時間もかけて何度も読み返してようやく理解できる部分も多くありました。
そのため、暗記よりも「理解すること」を主眼に置き、難しい表現については自分の言葉で言い換えを書き加えるなどの工夫をしました。この段階では急がず、丁寧に一つ一つの内容を自分の中に落とし込むようにしました。
なお、論点ごとの重要度のランク付けはあまり意識せず学習を進めていましたが、Cランクのうち一部と昨年度の司法試験で出題された論点で出題頻度が高くないものについては、自己判断で学習範囲から除外していました。
2周目以降は暗記を中心に進めましたが、単に一言一句を覚えるのではなく、「論証集に書かれている内容と同じことを、自分の言葉で表現できるようになる」という意味での暗記を意識しました。単に覚えたことで満足してしまうと、実際の答案でその知識を再現・応用することができないからです。
もっとも、初めのうちはあえて一字一句を暗記するようにしており、周回を重ねるうちに自然と趣旨から理解できるようになっていきました。理解が進むにつれて1周にかかる時間が格段に短縮されるため、「試験〇ヶ月前なのにまだ〇周しか終わっていない」と焦る必要はないと感じました。
なお、試験1週間前からは、特にAランクの論点を意識しながら、最終確認をしていました。
実際の学習ペースとしては、
① 憲法
2024年12月以降は、加藤ゼミナールのブログで公開されていた「重要度ランクA・B」に該当する司法試験過去問(および一部予備試験過去問)を対象に、法科大学院の友人と自主ゼミを組み、2週に1回のペースで解いていました。
ゼミでは大学院教授に解説を依頼し、特に規範部分は論証集記載の論証を用いて答案を書きました。教授から規範部分の添削を受けることはほとんどなく、論証集の完成度を実感しました。
ゼミで指摘を受けたあてはめ上の留意点などは論証集の余白に書き加え、自分だけの「オリジナル論証集」を作り上げていきました。
② 民事系(民法・商法・民事訴訟法)
民事系科目については、司法試験過去問を解かずに、この論証集の理解と暗記に徹して試験に臨みました。
一回目の受験前には民法・民事訴訟法について予備試験の全年度過去問を解き、大学院教授から添削を受けていたので、その際に指摘を受けた留意点や大学院の授業で教わった内容などは論証集の余白に書き込んでいました。
特に民法の論証集については、論点の網羅性が非常に優れているので、細かい判例・裁判例の知識を少々書き加えることで、短答式試験の対策としても流用していて、これが非常に役立ちました。
商法についても、一回目の受験の際に使用していた教材に書かれている内容や大学院の授業で教わった内容を、加藤ゼミナールの論証集の余白に書き加え、「オリジナル論証集」を作り上げていきました。
* 行政法・刑法・刑事訴訟法について
これら3科目については、以前から使用していた基本書等を引き続き利用しました。加藤ゼミナールの論証集については、それらの教材でカバーしきれていなかった論点を補う形で活用し、必要に応じて加筆を加えることで、自分仕様の教材に仕上げていきました。
このように、加藤ゼミナールの論証集は「理解から始め、暗記を通じて自分の言葉で再現できるようにする」という学習サイクルを確立するうえで、非常に有用な教材だったと感じています。
さらに、参考文献や、各論証がいつの判例・裁判例を参考にしているかもしっかりと明記されているため、理解を深めるために必要がある場合は、それらの文献等を調べて確認することができ、効率的な学習を進めることが可能であったとともに、論証集の内容の信用性は担保されていると感じました。
また、軽量で持ち運びにも便利なサイズであるため、日常的に復習しやすい点も魅力的でした。
加藤ゼミナールの論証集は、単なる知識の暗記教材にとどまらず、試験本番での「出題予測」や「時間配分」にまで役立つ実践的な教材でした。
各分野ごとに、過去の司法試験・予備試験においてどの年度にどの論点が出題されたのかが細かく記載されていたため、学習を進めながら「そろそろこの分野が出題されそうだ」という予測を立てることができました。この出題傾向の把握が、試験に臨む際の戦略づくりに非常に有効でした。
憲法では、選挙権の分野が出題されましたが、ちょうど論証集で重点的に整理していたテーマでした。
本番では、論証集に記載されている内容をほとんどそのままの流れで答案に書き起こすことができ、その分、あてはめに十分な時間を割くことができました。論証集の記述が自分の中に自然に定着していたことで、焦ることなく答案構成に集中できたと思います。
また、商法や民事訴訟法においては、他の予備校の教材では触れられていない論点についても、加藤ゼミナールの論証集には丁寧な解説がありました。
実際、試験本番でまさにその論点が出題され、思わず笑みをこぼしながら、暗記していた規範を自信を持って答案に書き込んだことをよく覚えています。
このように、加藤ゼミナールの論証集は単に知識を整理するだけでなく、実際の試験での再現力・応用力を高めるうえでも大きく貢献してくれたと感じています。
私は、一回目の受験の合否発表を受けて、二回目の受験に臨むにあたり、次の試験まで残りわずか8ヶ月という時期に加藤ゼミナールの論証集を購入しました。
学習を進める中で、「もっと早くこの教材に出会っていればよかった」と何度も感じました。遅くとも法科大学院に進学したタイミングで手にしていれば、授業の理解度も格段に高まり、在学中受験での合格も十分に可能だったのではないかと思います。
それほどまでに、この教材は体系的で実戦的な内容が凝縮されており、学習の軸として非常に優れています。
一方で、書かれている内容は初学者にとってやや難解な部分もあります。そのため、ある程度学習が進み、基本的な理解が固まった段階で早めに購入し、繰り返し使い込むことを強くおすすめします。
もっとも、私のように時間が限られている方でも、今から取り組めば十分に間に合います。
実際、私は残り8ヶ月の時点からこの教材を使い始め、短期間で知識を整理し、理解を深めながら自分の言葉で再現できるレベルまで仕上げることができ、結果として一回目の受験時の成績より1200番ほど順位を上げることができました。
この教材は、努力の方向性を正しく導いてくれる羅針盤のような存在です。
焦らず、しかし着実に向き合えば、必ず成果に結びつくと確信しています。