弁護士谷口 陸
加藤ゼミナール専任講師
加藤ゼミナール講師の谷口陸です。連載第3回となる今回は、予備校の基礎講座を一通り終えた後、私がぶつかった予備試験論文式試験の壁とそれをどのように乗り越えていったのか。その「合格のターニングポイント」についてお伝えします。
1年間のインプット講座での学習を経た後、その後の1年で何とか予備校の論文講座を受講し終えました。当時の予備試験対策の論文講座は旧司法試験の過去問をメインに扱うものでした。2~3行の短い事例問題から論点を見つけ出し、論証を吐き出す。私は予備校の講師や合格者の先輩から言われた「旧司法試験の問題を完璧にすること。これが本試験までに何周できるかが勝負だ」という教えを、狂信的なまでに守りました。
実際に、講座で扱われた問題は10周以上繰り返し、問題文を見た瞬間に論点と論証がスラスラと口から出てくる、いわば「暗記レベル」まで仕上げていたのです。
しかし、いざ予備試験の論文過去問を目の前にした時、私は凍りつきました。
予備試験の問題文は、A4用紙1枚分ほどの長さがあります。短文の旧司法試験とは情報量も違います。 「旧司の問題なら完璧に解けるのに、予備試験の問題になると、どの知識を、どの程度の分量で書けばいいのかが全く分からない」。
そんな状態で臨んだ、最初の予備試験。 短答式試験については、過去問の全選択肢について理由付けと正誤を言えるまで徹底的に追い込んだ結果、合格基準点+10点ほどで突破できました(※短答対策については、連載コラムの第2回をご参照ください。)。
しかし、続く論文式試験は惨敗でした。順位は約2,200人中1,700位前後。 旧司法試験の回答をいくら暗記していても、予備試験の具体的な事例を前にしては、その武器は全く使い物にならなかったのです。
何より辛かったのは、同じように旧司法試験の過去問をこなすカリキュラムで学んでいた同期たちが、あっさりと予備試験に合格していく姿を見ることでした。 「同じことをやっているのに、なぜ自分だけ解けないんだ?」 悔しくて堪りませんでした。しかし、今なら分かります。彼らは論文講座の旧司法試験の事例問題に加えて、予備試験の形式に近い問題演習を多数こなすことを通じて予備試験における論点抽出の方法を会得していたのに対し、私は単に旧司法試験の事例問題の「問題と解答のペア」を暗記することに終始してしまっていたのです。
このままでは一生受からない。そう確信した私は、旧司法試験の周回は一旦ストップし、予備試験に特化した実戦演習(=答練の機会)を徹底的に増やすことにしました。
私は自習室にこもり、予備試験の形式に特化した答練を2校分受講し、解いた問題は全て「旧司の問題と同じレベル」で完璧に復習しました。この「予備試験形式の事例」を解きまくる過程で、私の視界は一気に開けました。
そこで気づいたのは、以下の2点です。
上記のように、答練を通じたアウトプットを徹底したことで、最大の副産物が得られました。それは、「インプットの質が劇的に変わった」ことです。
以前はテキストをただ漫然と読んでいるだけだったものが、答練を多数こなした後には、テキストの一行を読む際にも「この論点は、あのアウトプットの場面で出てきたな」「この事例なら、このように論点が顕在化するはずだ」と、常に具体的な事例をイメージしながらインプットできるようになったのです。
これこそが「アウトプットを通じたインプット」の本質です。論証を暗記して点数にするためには、その論証が「どんな場面で顕在化するのか」、これを理解していなければなりません。このことを理解して臨んだ年の予備試験、私は晴れて合格を勝ち取ることができました。