加藤 喬
加藤ゼミナール代表・弁護士
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院 修了
総合39位・労働法1位で司法試験合格
基本7科目・労働法・実務基礎科目の9科目を担当
合格者と不合格者の違いは、頭の良し悪しではなく、問題文の見え方にあります。
問題文の見え方の違いは、問題分析に要する情報の量で決まります。つまり「記憶」です。
私が受かった時もそうですが、確実に合格できるくらいの状態だと、試験本番で初見の問題文を見た時、問題文の一部が浮いて見えます。
過去問分析により試験傾向を熟知している上に、分野論点ごとの処理手順も定着しているため、これらの知識で照らしながら問題文を読むことができるので、正解筋に直ぐに気が付き、問題文のどの部分をどう使うべきかをイメージしながら問題文を読み進めることができます。
例えば、平成26年司法試験行政法設問1では、裁量基準に従った裁量処分の適法性が出題されました。
当時は、あまり知られていない論点であったため、問題の所在すら分からずに、行政裁量を認めた上で要綱を裁量基準に位置付けるべきところを、要綱を附款の一種である条件に位置付けて論じるというトンデモ答案が続出しました。
一方私は、平成23年司法試験行政法設問2(2)でも同種論点が出題されてもいたし、それを踏まえて事例研究行政法で処理手順を確立していたので、直ぐに正解筋に気が付き、迷うことなく問題分析と答案作成を進めることができました。
誤解を恐れずに、極端なことを言うと、司法試験は頭の良し悪しで合否が決まる試験ではありません。
無関係だとは言いませんが、記憶するべきことはさほど多くないですし、試験で要する読解力・思考力・文章力はいずれも限定的であり、天才的な閃きが求められているわけでもありませんから、少なくとも合格できるかに限って言えば、頭の良し悪しよりも、試験傾向に沿って覚えるべきことを覚えることのほうが遥かに重要です。
ここでいう「覚えるべきこと」とは、条文判例学説といった法律知識だけでなく、事例と法律知識の結びつき、処理手順・答案の書き方、読解・思考のコツなども含みます。
基礎知識や重要知識を頭に叩き込む、過去問演習を含む事例演習を通じてパターン認識で解ける幅を広げるとともに問題処理のコツの定着を図る、これが一番重要です。