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【拘禁刑導入】115年ぶりの刑罰変更!懲役・禁錮を拘禁刑へ一本化

2025年04月05日

改正の概要

現行刑法下では、自由刑は「懲役刑」、「禁錮刑」及び「拘留」の3つに分類されており、「懲役刑」と「禁錮刑」の違いは刑務作業の義務付けの有無にありましたが、令和7年6月1日施行の改正刑法により、「懲役刑」と「禁錮刑」が「拘禁刑」に一本化されます。

これにより、従来は自由刑として懲役刑が定められていた犯罪における受刑者の刑務作業が義務ではなくなります。

刑罰の種類の変更は、刑法が1907年(明治40年)に制定されてから初めてであり、115年ぶりとなります。

改正の趣旨は、主として、

①懲役刑と禁錮刑を分ける実益が乏しいこと(受刑者の大部分は懲役刑であることと、禁錮刑の受刑者のほとんどが任意で刑務作業をしていることが理由)

②服役後の再犯防止を図るためには刑務作業の義務を撤廃して受刑者ごとの特性に応じた柔軟な処遇を図る必要があること

③受刑者の高齢化により刑務作業が困難であるケースが増えていること にあります。

特に重要なのが②であり、今回の改正により、刑罰の目的が「懲らしめ」から「立ち直り」を重視したものに大転換すると考えられます。再犯防止のために、受刑者の処遇を一層充実させ、立ち直りを後押しするための改正であるといえます。


【関連資料】

 

司法試験・予備試験における出題

平成18年司法試験から令和5年司法試験までの間、「司法試験は、試験時に施行されている法令に基づいて出題する。」(平成22年司法試験までは「新司法試験は、現行司法試験において行われているのと同様、試験時に施行されている法令に基づいて出題する。」とされています)という平成17年5月31日司法試験委員会決定が維持されていました。

しかし、上記決定は、令和5年11月7日付で、「各年における司法試験については、当該年の1月1日現在において施行されている法令に基づいて出題する。」という内容に変更されています。

したがって、令和6年以降の司法試験については、原則として、「当該年の1月1日現在において施行されている法令に基づいて出題する。」ということになります。

よって、令和7年司法試験・予備試験では、特段の指示のない限り、懲役刑・禁錮刑を前提とした出題がなされ、令和7年6月1日施行の拘禁刑導入を前提をした出題がなされるのが令和8年司法試験・予備試験からとなります。

【変更前】

【変更後】

執筆者

加藤 喬

加藤ゼミナール代表・弁護士

青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院 修了
総合39位・労働法1位で司法試験合格
基本7科目・労働法・実務基礎科目の9科目を担当