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経済法のおすすめの基本書

2025年08月19日

司法試験対策のみであれば、予備校が作成するテキスト等でも十分合格レベルに到達することは可能であり、基本書等を読むことはマストではありません。

他方で、予備校のテキストは、わかりやすさを重視して作成されているために、説明が淡白になっている部分や難しい議論が割愛されていたりしますので、重要分野において予備校のテキストを補完するために基本書を利用することは司法試験にとっても有意義だと考えています。

今回は経済法のおすすめの基本書を何冊かご紹介したいと思います。

「独占禁止法」第5版(編著:菅久修一)

公取委に所属する(過去にしていた)メンバーが執筆した本で、公取委の運用実務を理解するにはもっとも適切な本だと考えています。

公取委の運用ベースで記載がなされているため、学説の対立等の議論は記載が薄い部分がありますが、実務的にも参照する機会が多く、極めて参考になる書籍だと思われます。

「独占禁止法」第6版(編著:金井貴嗣他)

最近改訂がなされていない点にやや問題はありますが、もっともオーソドックスないわゆる基本書です。学説の対立点等の細かな議論も補足されています。

他方で、ややボリュームがありますので、通読用として使うというよりは、理解を深めたい分野にしぼって参照していただけるといいのではないかと思います。

「独占禁止法」第4版(著:白石忠志)

上記の本と異なり、単著なので、一貫性をもって独占禁止法を理解できる点は大きなメリットだと考えています。こちらの本は、最新判例を含め引用判例が多く、また、細かい議論も網羅的に記載してあり、実務的に参照する機会が非常に多いです。

他方で、こちらの本についても司法試験対策という点ではオーバースペックですので、通読するのではなく、疑問に思った論点等を確認するために使用するといった使い方がいいのではないかと思います。

「条文から学ぶ独占禁止法」第3版(著:土田和博他)

いわゆる基本書ではありませんが、条文ごとに情報が整理されており、また、情報量も司法試験対策としてちょうどいい程度の情報量ですので、司法試験対策としては最も使いやすい本なのではないかと思います。

私も受験生時代はこちらの本をメインに情報を集約化していました。


別のコラムでも勉強方法をご紹介しておりますが、司法試験対策としては、入門書か予備校が作成するテキスト(できれば薄いものがいいと思います。)を利用していただき、なるべく早く法の原理原則の部分を理解し、過去問を利用した問題演習に進むことが重要です。

過去問を解く中で個別の論点についてもう少し深く理解したいと考えた際に、上記でご紹介したような基本書を用いて情報を補完すると効率的な学習につながると考えています。