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【司法・予備試験の選択科目】全8科目の選択率及び特徴

合格者の試験対策(労働法上位合格 相田さん)

司法試験だけでなく、2022年度からは予備試験でも新たに選択科目が課せられるようになりました。選択科目は8科目もあり、何を選択すべきか迷う人も多いのではないでしょうか。そこで、今回は、各科目の選択率(※採点対象者を基準に計算)および特徴を紹介します。

1労働法

(1)選択率

29.3%(令和元年)→30.1%(令和2年)→29.7%(令和3年)

(2)特徴

●受験者数 ★★★
労働法は、毎年30%近くの受験生が選択します。平成18年に新司法試験が始まってから、令和3年司法試験まで選択率1位を他の科目に譲ったことはありません。労働法は、わたしたちの生活にとって不可欠な法律であり、他の選択科目と比較してもなじみのある科目ともいえます。イメージもつきやすく勉強しやすいこともあいまって、人気があると考えられます。

●勉強量 ★★★
勉強量は他の選択科目と比較しても非常に多いです。そのため、労働法を選択した方は、腰を据えて勉強する必要があります。特徴としては、何よりも記憶すべき事項が多いです。暗記が得意な方は有利だと思います。

2経済法

(1)選択率

17.8%(令和元年)→18.6%(令和2年)→18.8%(令和3年)

(2)特徴

●受験者数 ★★☆
5年程前までは、倒産法、知的財産法よりも選択率が低かったですが、近年では、労働法に次ぐ人気科目となっています。今後も受験者が増えていくことが予想されます。

●勉強量 ★☆☆
勉強量としては、労働法に比べると少ない時間で対応することができます。そのため、選択科目に時間をかけたくない方にはおすすめできる科目です。他方で、経済法はあてはめで勝負が分かれる問題が出題されます。そのため、事前に準備できるのには限界があり、いくら知識を蓄えても現場でうまくあてはめができなければ高得点は望めません。

3知的財産法

(1)選択率

13.5%(令和元年)→14.3%(令和2年)→14.3%(令和3年)

(2)特徴

●受験者数 ★★☆
経済法に次ぐ人気科目です。知財事件に興味がある受験生が近年増加しているといえます。また、理系学部出身の方や知財部で勤務している社会人の方がそのバックグラウンドを活かして知的財産法を選択するという話も耳にします。

●勉強量 ★★★
勉強量は多いです。裁判例や判例を中心に勉強していきます。ほとんどのロースクールで開講されており、また、近年では知的財産法について予備校の講座も充実してきているので勉強しやすい環境は整っていると思います。

 

4倒産法

(1)選択率

13.7%(令和元年)→12.3%(令和2年)→12.9%(令和3年)

(2)特徴

●受験者数 ★★☆
従来、労働法に次ぐ人気科目でしたが、ここ数年は、4番手に人気が落ちています。倒産法は民事系との関連が非常に強いため、民事系科目に自信がある方が選択しているイン場があります。現に、倒産法選択者の司法試験合格率は他の選択科目と比較しても一番高いです。

●勉強量 ★★★
労働法と同様に勉強量が非常に多いです。民事系との関連が強いため、倒産法を勉強することで、民法や民訴法の知識も高まると思います。

5国際私法

(1)選択率

11.1%(令和元年)→11.0%(令和2年)→10.5%(令和3年)

(2)特

●受験者数 ★★☆
国際私法は、予備試験合格者の多くが選択している印象です。

●勉強量 ★☆☆
経済法と同様に勉強量が少ない科目と言えます。そのため、ロースクール生と比較して司法試験まで時間がない予備試験合格者の多くが選択していると思われます。

6租

(1)選択率

7.4%(令和元年)→7.9%(令和2年)→8.2%(令和3年)

(2)特徴

●受験者数 ★☆☆
受験者は少ないといえます。受験生間での情報交換を行うことは難しいと思われます。しかし、租税に精通している法律家は多くないため、租税法を理解している法曹になることができれば、重宝されると思います。

7環境法

(1)選択率

5.8%(令和元年)→4.4%(令和2年)→4.2%(令和3年)

(2)特徴

●受験者数 ★☆☆
受験者は非常に少ないです。環境法の授業を開講していないロースクールもあると思います。また、予備校の講座についても労働法等と比較すれば充実しているとはいえません。

8国際公法

(1)選択率

1.3%(令和元年)→1.3%(令和2年)→1.4%(令和3年)

(2)特徴

●受験者数 ☆☆☆
国際公法を受験している受験生はほぼいません。少なくとも、私の周りでは聞いたことがありません。よほど興味があるといった理由がない限り、選択しないのが無難だと思います。

以上、各科目の選択率および特徴を紹介してきました。選択率が高ければ、それだけ予備校講座も充実しており勉強しやすい環境にあるといえます。また、勉強量が多い科目については、選択科目にどれだけ時間を割くことができるか自分と相談する必要があります。 労働法は勉強量自体多いですが、暗記すれば得点に結びつくおいしい科目 と言えます。事前の準備をしっかりしておけば高得点も狙える科目です。暗記が得意な受験生はもちろん、選択科目に時間を割くことができる受験生はぜひ労働法を選択して、合格を目指してほしいです。

執筆者情報
相田光輝さん
大阪大学法科大学院(既修者コース)卒業
令和3年司法試験合格者(2回目合格、労働法上位7%)
不合格から900番upでの2回目逆転合格