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【司法試験・予備試験】基本7科目と労働法の勉強法の違い

合格者の試験対策(労働法上位合格 相田さん)

司法試験だけでなく、2022年度からは予備試験でも新たに選択科目が課せられるようになりました。選択科目は8科目もあり、どの科目を選択すればいいか迷う方もいるでしょう。そこで、今回は、受験生のみなさんにもなじみがある労働法について、基本7科目の勉強方法とどのように違うかお話します。

判例至上主義

司法試験では、基本7科目においても、判例を勉強することは重要です。しかし、基本7科目と労働法では、その重要性が異なってきます。例えば、民法で、判例をベースにした問題が出題されたとします。その判例について知らかったもしくは現場で思い出せなかった場合、どのように対応しますか?この場合、判例を知らなくても、条文の趣旨から規範を導き、問題文の事情を過不足なくあてはめで用いて、法的三段論法を守れば得点が入ります。民法以外の基本7科目で、判例を知らなかったとしても、この意識で答案を作成すれば十分高得点を狙うことが期待できます。しかし、労働法では、この意識で答案を作成すると、高得点を狙うことはできません。労働法では、判例至上主義の採点方式が採用されています。そのため、 判例がベースとなっている問題で、判例を無視して、現場で条文の趣旨から規範を自分なりに導くといった姿勢では、評価されない答案を作成してしまう ことにつながるのです。判例を正確に記憶しておかなければならないという意味で、基本7科目とは違う意識で判例に向き合う必要があります。

論証の回し方

予備試験・司法試験に合格するためには、最低限覚えていなければならない事項については、反射的に吐き出せるくらいのレベルに到達する必要があります。そのレベルに達するため、論証集を使う方が多いと思います。この論証集の使い方にも、基本7科目と労働法では違ってきます。
基本7科目の論証集を回す際は、ゴリゴリに一字一句記憶するというよりは、キーワードをおさえてそのキーワードを使って論証を作成できるかという視点で行ったほうが、効率もいいですし、試験対策としても必要十分です。他方、労働法では、少なくとも重要判例については、規範を正確におさえておく必要があります。それは先ほど説明したとおり、労働法が判例至上主義の採点方式がとられていることに起因します。そのため、労働法については、 判例の規範を正確にいえるか自分でチェックしながら論証集を回すことが必要 です。加えて、労働法では考慮要素レベルも暗記しておくことが求められます。私は受験生時代、規範はもちろんのこと、考慮要素まで暗記したうえで、その考慮要素をパッとみただけで、判例の事案でどのようにあてはめされたかをイメージできるレベルまで覚えこみました。高得点を狙う方は、ぜひこのように論証集を回して学習してみてください。

答案を書く必要性

基本7科目の対策としては、答案を書くということはとても重要です。答案を書くことによって、あてはめの練習をしたり、現場思考問題についてどのように答案へ示すかという訓練を行うことができます。他方、労働法の問題は、基本7科目のような現場思考問題が出題されにくく、第一に重要判例を頭に入れておくことが必要です。また、あてはめの練習も基本7科目で練習できていれば、わざわざ労働法で練習する意義は乏しいです。そのため、答案を書くにしても、たくさん書くというのではなく、 時間配分を確認する という意味で取り組むべきです。

労働法を勉強するタイミング

労働法は、なじみやすい科目ではありますが、 まずは基本7科目を優先して勉強すべき です。労働法は、暗記が重要な科目であるため、詰め込んで勉強すれば短期間での対策も可能です。しかし、民法や刑法などは、暗記では太刀打ちできず、何度も演習を繰り返し、科目ごとの考え方を身につけなければなりません。時間のかかる基本7科目を仕上げることをまずは目指してください。私は、加藤ゼミナールの講義を受講し、全体像を頭にいれた状態にしておき(この時点では暗記は行っていない)、試験まで残り3カ月前から、覚えるべき事項にマーカーを引き、ゴリゴリに赤シートを使いながらひたすら暗記を繰り返す勉強を行いました。

労働法に費やす時間

労働法は、基本7科目以上に、暗記が重要な科目であると思います。そのため、ある程度、勉強時間を確保する必要があります。暗記する時間を確保するためにも、試験までに全体像をつかむことが必要です。そのうえで、 試験3カ月前くらいからは、毎日、暗記する時間を設けることが理想 です。私は、試験3カ月前から、毎日1時間程度は、暗記する時間を設けていました。

以上、労働法と基本7科目について、勉強方法がどのように異なっているか説明してきました。労働法は、記憶する対象が多いですが、暗記すれば得点に必ず結びつく科目です。私は、独学ではどこを覚えればいいかあまりわからなかったため、覚えるべき事項が整理された加藤ゼミナールの講座を受講し、ひたすら指示に従い記憶する作業を行い、令和3年度司法試験の労働法で上位合格することができました。みなさんも予備校をうまく使いながら、上位合格を目指してみてください!

執筆者情報
相田光輝さん
大阪大学法科大学院(既修者コース)卒業
令和3年司法試験合格者(2回目合格、労働法上位7%)
不合格から900番upでの2回目逆転合格