司法試験だけでなく、2022年度からは予備試験でも新たに選択科目が課せられるようになりました。選択科目は8科目もあり、何を選択すべきか迷う人も多いのではないでしょうか。そこで、今回は、令和3年度司法試験労働法で上位合格した立場から労働法を選択すべき受験生のタイプについて説明します。
暗記が得意な人
労働法は、選択科目8科目の中でも、トップレベルに勉強量が多いといわれています。特に、労働法は判例学習が重要で、勉強すべき判例の数も膨大にあります。そこでは、 判例の規範だけでなく、考慮要素やあてはめのポイントなど細かい点についても覚える必要 があります。このように、労働法は記憶すべき事項が多いため、暗記が得意な人に向いており、しっかりと勉強すれば強力な武器とすることができます。
選択科目で上位を狙いたい人
労働法の試験では、判例の理解を正面から聞いてくる問題が多く、現場思考の要素は比較的少ないことが特徴です。これまでの出題を見てみても、実際の判例や裁判例をベースとした問題が出題されています。そのため、判例の規範、考慮要素に加え、あてはめで用いられた事情についてもおさえておけば、判例の理解を答案に示すことができ、結果として高得点につながります。このように、 労働法は、事前の準備次第で勝負が決まる といっても過言ではない科目といえ、 勉強量と比例して成績があがりやすい科目 といえます。努力が裏切らないという意味で、上位を狙いたい人には勉強するモチベーションにつながると思います。
選択科目で安定した得点を狙いたい人
労働法で上位をとりたい方はもちろんのこと、選択科目で安定した得点を稼ぎたいという方にも労働法はおすすめです。高得点をとるためには、判例で問題になったあてはめのポイントまで正確におさえておく必要がありますが、まずは重要判例の規範をおさえておけば、合格点レベルには到達することができます。そのうえ、労働法は奇異をてらった問題は出題されないため、事前に判例の規範を正確に覚えておくことで、その部分については得点を稼ぐことができます。 規範さえおさえておけば最低でも合格点を獲得でき、得点がぶれないというメリットがある ため、選択科目で安定した得点を狙いたい方には労働法がおすすめです。
選択科目に時間をかけられる人
これまで説明してきた通り、労働法は記憶すべき事項が多いです。それゆえ、必然的に勉強時間も一定程度確保する必要があります。他方で、労働法は、勉強量と成績が比例します。そのため、試験までにまだ時間があり、基本7科目の全体像はある程度つかめた状態で、選択科目に時間をかけられる人は、労働法に時間をかけることで、選択科目を得点源にすることができます。
学説の対立に深入りしない人
労働法は他の科目と同様に奥の深い科目です。そのため、労働法を勉強している方の中には、勉強すればするほど、判例の帰結に疑問を感じ、学者の先生はどのように考えているのかについて考察したくなる方も多いと思います。しかし、深いところまで理解しようとして学説まで勉強の範囲を広げると試験対策という観点からはかえって危険です。労働法の試験では、基本7科目以上に、判例にしたがった論述をする必要があります。そのため、学説を引用していくら論理明快な答案を作成したとしても、判例を無視している以上、低い評価になることは免れません。 学問的な探求とは別に試験対策とわりきって判例と向き合える意識が高い人 は労働法を選択すれば、高得点を目指すことができると思います。
憲法が得意な人
労働法は、個人的に、試験対策という意味で憲法と親和性があると思っています。例えば、憲法では、大きくは国民の人権と公共の福祉(国家側の利益)という対立構造で問題を検討していきますが、労働法も労働者の権利と、使用者の利益が衝突している構造になっています。そのため、 憲法の判例を読む際や答案を書く際に対立構造を意識できていた方 は、労働法でもスムーズに判例を読み込むことができ、実際に答案を書く際もうまくあてはめをすることができると思います。憲法に自信がある方は労働法をおすすめします。
以上、労働法を選択すべき受験生のタイプについて説明しました。全部あてはまる人はもちろん、1つでもあてはまったら、ぜひ労働法の選択を検討してみてください!
私は、加藤ゼミナールの労働法を受講して、知識をストックしていきました。加藤ゼミナールの講座は、膨大な量の判例から覚えるべき点を明示しているため、独学よりも要領よく勉強することができ、最終的に上位合格を果たすことができました。労働法は、勉強した分だけ比例して成績があがる科目です。ぜひ労働法を選択して、選択科目を得点源にしてもらえればと思います。
相田光輝さん
大阪大学法科大学院(既修者コース)卒業
令和3年司法試験合格者(2回目合格、労働法上位7%)
不合格から900番upでの2回目逆転合格