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法学部卒業者の未修者コース選択はあり?メリット・デメリットを解説

法科大学院には未修コースと既修コースがあり、後者は法学部卒(もしくはそれに相当する場合)しか受験できません。逆に諸事情があり法学部卒であっても、未修コースを選択したい受験者の方も少なくありません。

結論としては法学部卒であっても未修者コースへの入学は可能です。

本記事では法学部卒業者が未修者コースを目指す際によくある理由や未修者コース選択のメリット・デメリットを解説します。

2023(令和5)年度の制度改革によりデメリットが緩和される可能性もあるためぜひ併せてご確認ください。

法科大学院の未修者コース・既修者コースの違いはこちらの記事をご参照ください。

法学部卒業者の未修者コース入学は可能!ありがちな受験理由3選

法学部卒業者が法科大学院未修者コースに入学することは可能です。

既修者コースへの入学には法学部卒であること、もしくは同等の法学の知識を持っていることが前提となりますが、既修者コース入学の資格を持つ受験者が未修者コースを選択することには制約はありません。

実際に法学部卒業者が未修者コースを選択するよくある理由について3つ解説します。

既修者コースへの入学が難しい場合

既修者コースの法科大学院入試は法学部卒(もしくは卒業見込)であれば受験できますが、法学部を卒業できる水準であれば合格できるようなものではありません。学部で4年間で学習する法律科目に対して一定以上のレベルでの理解が求められます。

法学部入学者が必ずしも入学時から司法試験を見据えて法律の学習に注力するわけではありません。元々は政治学などの分野を専攻するつもりで、途中から法学に方向転換した場合や、学問以外の分野に注力していた場合など既習者コースに入学できる水準ではない場合は未修者コースを目指すのが現実的です。

社会人受験など、長く法律の学習から離れていた場合

法学部卒といっても卒業見込段階から大学院入試を受験するケースもあれば、社会人経験を積んでから、もしくは定年退職後など期間を経てから受験を考えるケースもあります。

長く法律の学習から離れていた場合も既修者コースの受験のハードルは低くないため、未修者コースへの入学の方が適しているケースも少なくありません。

入学する院を重視するため(併願を含む)

学習戦略によってはその時の実力で入学できる既修者コースの院に入学するよりも、未修者コースでも上位の法科大学院に入学するという方針もとりえます。

  • カリキュラム
  • 講師
  • 学習環境(周囲の学生のレベルなど)

などの点から、未修者コースであっても入学する法科大学院を選ぶ、という方針も一つの選択です。

法学部卒業者が未修者コースを選択するメリット

法学部卒業者が未修者コースを選択するメリットとして3年間で無理なく司法試験合格のための学習が進められることが挙げられます。

未修コースは法学の知識が全くない状態からでも3年間で司法試験合格の実力が培えるカリキュラムです。既に一定レベルの知識がある状態からであれば一定のアドバンテージがあるため、カリキュラムの消化も比較的容易であり、学習の精度を高めながら合格を目指せます。

また2023年(令和5年)度から法科大学院在学中でも所定の条件を満たせば司法試験の受験が可能となるため、学習のペースが順調であれば既習コース入学者と同じ学習期間での受験も可能です。

 

法学部卒業者が未修者コースを受験する場合の注意点

一方で法学部卒業者が未修者コースを受験する場合のデメリットや注意点についても解説します。

併願できない場合がある

法学部卒業者の場合、未修者コース・既習者コースいずれも出願資格はありますが、併願の可否は法科大学院によって異なります

入試の日程や、出願の規定により併願できない大学院への入学を志望する場合、慎重なコース選択が必要です。

学習のアドバンテージがない

未修者コースの入試は法学初学者を対象として実施されるため、学部で学習した法学の内容は基本的に入試のアドバンテージになりません

上位の学部の未修者コースには法学以外の分野で高い水準を求める試験が課されるため、むしろ既習者コースの受験の方が負担が少ない、ないしは合格率が高い可能性も考えられます。

面接で指摘されるケースがある

既修・未修を問わず、法科大学院の入試には多く面接試験が課されますが、その中で法学部卒でありながら未修者コースを受験していることを深掘りされる可能性があります。

面接官を納得させ、司法試験受験に向けた熱意を伝えられるような回答を用意することが重要です。

既修者コースよりも時間・学費がかかる

未修者コースを選択した場合、原則として3年間のカリキュラムの修了が司法試験受験の条件となるため、受験資格を得るのは入学から4年後。受験の段階から既習者コース選択者に1年遅れを取り、学費も1年分多く必要になります。

※従来通り在学中に予備試験に合格するか、もしくは2023(令和5)年度以降は所定の条件を満たせば大学院卒業見込みの年度(未修コースの場合、入学から3年後)に司法試験を受験できるため、入学後の学習ペースによっては追いつく・追い抜くことが可能です。

 

まとめ

法学部卒業者が法科大学院入試においては未修者コースを選択することは可能であり、司法試験の学習戦略によっては十分に検討できる選択肢です。

面接対策や志望度の高い法科大学院で既修コースも検討する場合は併願の可否などにも注意しながら、最適な受験戦略を考えてみてください。