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法科大学院の秋入学は可能?秋入学のメリット・目的や実施している大学院を解説

本の大学・大学院の入学は4月が基本であり、法科大学院も例外ではありません。一方で海外で主流なのは9月からカリキュラムがスタートする秋入学。大学入学時期を海外での基準に合わせ秋入学に制度変更する議論も生まれ、実際に一部では導入もされていますが、法科大学院において秋入学はあるのでしょうか。

結論としては、法科大学院における秋入学の取り組みは進んでいるとは言えませんが一部導入している、ないしは過去導入していた事例も存在します。

本記事では法科大学院の秋入学について、そのメリット・目的や実施している大学院について解説します。

法科大学院の秋入学はメジャーではない

2022(令和4)年度現在、法科大学院の秋入学は主流ではなく、実施している大学院・過去実施していた大学院は数えるほどしかありません

慶應義塾大学院 法学研究科

慶應義塾大学の法科大学院では2015年度から2019年度まで9月入学の制度が存在しました。2020年度以降は実施されていませんが、廃止されたのか一時的な施策であるのかは明言されていません。

その主な目的は国内のみならず海外の資格取得を目指すことや、海外のロースクールに交換留学を行うこと。一般的な秋入学同様、海外の事情を見据えたカリキュラム設計がされています。

また、「未修チャレンジコース」といういわゆる未修コースの前段階で9月よりカリキュラムを開始し、法学への適性を自身で図る制度がありました。法科大学院の学習を続ける場合は翌年度の4月から正規のコースへ合流する流れです。

 

駒澤大学法科大学院

駒澤大学の法科大学院では2022(令和4)年度現在秋入学(9月入学)が実施されています。

※ただし2023(令和5)年以降は学生の募集そのものを停止しています。

その主な目的は、例年5月に実施されている司法試験に向けて十分な準備期間を設けること。従来のカリキュラムであれば3月に卒業してから5月の試験を迎えるまで約1か月半しか時間がありませんが、9月に入学し8月に卒業することで、約8か月間の自主学習・準備期間を設けることができます。

また、9月入学に卒業単位などの事情から間に合わない場合であっても、「科目等履修制度」(後期科目等履修制度)を利用し、所定の成績を修めることで翌年4月の入学後必要な単位の一部を先取りすることが可能です。

 

法科大学院の秋入学の目的やメリット

法科大学院の秋入学はあまり積極的に取り入れられてはいませんが、実施している・していた大学院の目的は明確です。

1.司法試験までの期間の有効活用

司法試験は年に1度実施される試験であり、その年の合格を目指すにあたって学習戦略は極めて重要です。法科大学院の修了単位取得もそれ自体が試験対策ではあるものの、自主的に対策できる時間は多いに越したことはありません。

早期入学、ないしは一部の単位の先取りによって試験までの時間をより効率的に活用することが大きな目的の一つです。

2.海外の動向を見据えたスケジュール設定

海外(アメリカなど)のロースクール・司法試験を見据え、資格取得や短期での交換留学を目指す場合は海外のスケジュールに準拠する方が効率的です。海外で主流の9月入学でカリキュラムを設定することで2か国での資格取得や留学を無理なく設計できます。

 

制度変更による秋入学への影響は?

2023(令和5)年度より実施される法科大学院の制度変更に伴う秋入学への影響は2022(令和4)年度時点では明らかになっていません。

所定の要件を満たすことで法科大学修了見込み段階から司法試験の受験が可能になります。伴い、卒業見込での受験者のスケジュールを考慮し、司法試験の日程が従来の5月から7月へと後ろ倒しされます。

現段階でこの制度変更に伴い秋入学を導入、逆に廃止する意向を表明している法科大学院はありませんが、今後の実施可否には影響がある可能性があるため、9月入学を見据える場合は今後の動向に注目しても良いかもしれません。

制度変更についてはこちらの記事で詳しく解説・考察しています。

まとめ

日本の大学制度でたびたび議論になり、一部実際に導入されている秋入学ですが、法科大学院制度においては積極的に取り入れられているわけではありません。しかし、司法試験までの学習期間の効率化や海外の留学・受験を見据えた秋入学の事例も実際に存在します。

今後制度改革で各大学院の実施判断が変更される可能性もあるため、秋入学を検討したい方はぜひ今後の動向にも注目してみてください。

当校でも最新の情報を得次第、更新していきます。