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【予備試験】口述試験は何が重要?口述試験におけるNG対応例を一挙紹介!

はじめに:口述試験前の受験生が抱える共通の不安

「論文まで受かったけれど、口述試験って何を聞かれるの?」
「落ちる人が少ないとは聞くけれど、自分も大丈夫なのか不安…」
「合格を目指すためには、加点を狙うべき?」

予備試験の最終関門「口述試験」は、合格率が例年9割以上です。しかしその一方で、予備試験の論文試験までを突破した優秀な方で、確実に合格できるだけの実力があるはずの受験生がわずかなミスによって不合格になることもあります。

口述試験の合格を目指すのであれば、加点で勝負する試験ではなく、減点されないことを目指す試験であると意識することが重要です。

つまり、正解を完璧に答えようとするよりも、減点されるNG対応を避けることが何より重要ということです。

この記事では、実際に予備試験合格者の経験を踏まえて、

・口述試験の概要
・当日の流れ
・合格のために重要なポイント
・やってはいけないNG対応例(印象・答え方・内容別)

を体系的に解説していきます。

口述試験の基本概要

まずは、試験の全体像をしっかり把握しましょう。

口述試験は論文試験合格者に対して行われるもので、それまでの筆記形式ではなく、面接形式の試験です。

ざっくりでも概要を理解しておくことで、過剰な不安を解消できます。

・試験方式と科目
試験官2名(主査1名・副査1名)との面接形式

・科目は以下で2日間に渡り実施:
民事系(主に民法・民訴)
刑事系(主に刑法・刑訴)

※上記の中で法曹倫理も問われます。

いずれの科目も、法律的知識だけでなく、コミュニケーション能力、論理的説明力などが評価されます。

・所要時間
1人あたり15~20分程度
長時間ではありませんが、短い時間でどれだけ落ち着いて正確に対応できるかが勝負です。

試験当日の流れ

試験当日は、段階的に進行します。流れを事前にイメージできると、本番の緊張が大きく緩和されるので、なんとなくイメージしておきましょう。

(1)受付・確認
会場には指定時間より余裕をもって到着しましょう。
会場までの道が意外と長く、時間ギリギリになると体に焦りが生じて、試験時のパフォーマンスに影響します。

(2)控室待機
大部屋での控室ではテキスト参照が可能です。
リラックスしながら、重要論点の最終確認をしておきましょう。周りも同じように緊張しています。落ち着いて「いつも通り」を意識することが大切です。

(3)呼び出し・直前待機
少人数単位で別室に呼ばれた後、個別に本番直前の待機時間があります。
この時点ではテキスト参照不可なので、深呼吸して心を整えましょう。

(4)試験実施
入室後は試験官に挨拶をして着席。
問題説明があり、質疑応答が始まります。終了後は「ありがとうございました」と礼儀正しく退出を。
試験官の印象は最後まで残るため、退出まで気を抜かないことが大切です。

合格ラインと採点基準

合格ラインは、126点満点中119点前後とされています。

1科目あたり60点が基準で、基本的には57〜63点の範囲で加点・減点されます。

つまり、わずかな減点の積み重ねが不合格に直結する試験なのです。

・ 減点されないことが合格の鍵
口述試験では、「特別に加点される」ようなパフォーマンスを狙う必要はありません。むしろ、減点要素をなくすことが最重要です。

合格のために必要な対応・能力

(1)コミュニケーション能力
口述試験は、試験官との自然な会話です。
論文合格者であれば知識は十分と言われていますが、対面・口頭でのコミュニケーションとなるとまた別物です。口頭での質問の意図を取り違えてしまったり、混乱して思ってもないことを発言してしまったりというケースが多くあります。

• 応答力:訊かれたことにのみ的確に答える。
• 表現力:結論を簡潔に、明確に話す。

これらは試験中、常に意識しましょう。また、試験官の誘導には素直に従いましょう。自説と異なる誘導だとしても、合格という目的との関係では、抵抗する必要は全くありません。

(2)法的知識・思考力
民事では要件事実、刑事では構成要件・論点整理を中心に復習をしておきましょう。
論文合格者レベルの知識があれば、ある程度の復習をすれば十分対応できます。
重要なのは、「結論→理由→根拠」という論理的な対話力です。

口述試験におけるNG対応10選

ここからが最重要パートです。
これをやると減点され得るというNG対応を10項目に整理します。

【印象に関するNG】

(1)身だしなみ・姿勢の乱れ
• 服装が乱れている、猫背、椅子に浅く座るなど。
第一印象でマイナス評価
清潔感のあるスーツ・姿勢の良さを意識しましょう。他の受験生もおおよそスーツなので、敢えて目立つような格好をする必要はありません。

(2)礼儀を欠く
• 挨拶・お辞儀を忘れる、軽い態度を取る。
→ 答える内容に応じて、平等な評価をするように心がけているとしても、試験官も人間です。礼儀を欠くと潜在的にでも印象が悪くなり、もしかしたら多少厳し目の口調で質問をするようになるかもしれません(それくらいの裁量はあると思われます)。
よろしくお願いします、ありがとうございました等、誰でも出来るような挨拶はしておいて損はありません。過剰な礼節は不要ですが、最低限の人との向き合い方は改めて忘れないようにしましょう。

【答え方に関するNG】

(3)感情的な態度を取る
• 「それは違うと思いますが?」と反抗的な返し。
→ 試験官との関係が悪化し、冷静さを欠き、自分も混乱していきますので悪循環です。
否定されたら、深呼吸して「少し考えさせてください」と落ち着いて対応をしましょう。

(4)沈黙する
• 頭が真っ白になり、何も言えなくなる。
→ 試験官も誘導できず、理解不足あるいはコミュニケーション能力に問題があると誤解される。
「少し考えさせてください」や「もう一度質問をお願いできますか?」と伝えて、時間を稼ぐのも一つのコツです!

(5)議論に発展させる
• 「この点についてはどう思いますか?」などと逆に質問を返す。
→ 試験はあなたが試されている場であって、“議論の場”ではありません。
別見解を示したい場合は「別の視点からは〜とも考えられます」と簡潔に述べるに留めましょう。

【答える内容に関するNG】

(6)曖昧な回答をする
• 「多分〜だと思います」などの曖昧な表現。
→ 自信がない印象を与えます。
明確に「〜です。」と断定的に答えましょう。間違っていても、試験官が誘導してくれます。

(7)質問に対する答えになっていない
• 請求原因を訊かれて訴訟物を答えるなど。
→ 基礎概念の誤解と判断されます。
質問の意図を一呼吸おいて確認するようにしましょう。

(8)関係のない情報を長々と話す
• 「まず背景として〜」と前置きが長い。
→ 時間を浪費し、試験官が目的の質問まで進めなくなるリスクがあります。
短く結論から、かつ、結論のみ述べましょう。

(9)論理性を欠く
• 結論だけ話し、理由・根拠を省略する。
→ 論理的に考えていない印象を与えます。
「結論→理由→根拠」の順で答えるように練習しておきましょう。

(10)試験官の誘導に乗れない
• 試験官のヒントに反応できない。
→ 誘導は基本的に泥舟ではなく正方向です。
「ありがとうございます、〇〇の点ですね」と受け止めて答えましょう。

まとめ:減点されない意識が合格を呼ぶ

口述試験は、知識に基づいて、落ち着いて対話に対応する力が問われる試験です。
繰り返しになりますが、重要なのは、完璧に答えることではなく、減点されないことです。

・この記事の要点まとめ
• 口述試験の合格率は高いが、油断は禁物。
• 当日の流れを事前に把握しておくことで緊張を軽減。
• 礼儀・姿勢・応答力など、印象面での減点を防ぐ。
• 「結論→理由→根拠」を意識した簡潔な回答を心がける。
• 試験官の誘導に素直に乗り、会話として成立させる。

最後に

私自身、初めての口述試験では緊張で手が震えました。

せっかく合格した予備試験が、ここで無駄になるかと想像して、人生で一番緊張した瞬間かもしれません。

口述試験は“準備の差”がそのまま結果に出る試験ともいえます。可能な限り、口頭での練習を行いましょう。各予備校が模擬練習含め、様々なサービスを提供していますので、それらも大いに活用するべきです。

加藤ゼミナールでは、無償でYouTubeにて口述試験対策講義を提供しています!

【第1回】

【第2回】

また、上記に述べてきたことからも、直前期は、知識の詰め込みより、試験当日の動き方や質問への対応の仕方を重点的に確認しましょう。

確実に合格を掴むために、加点を狙わず「減点されない」を合言葉に、最後の関門を突破していきましょう!

執筆者情報
実務家弁護士T
社会人受験生として学習期間1年で予備試験に合格し、翌年の司法試験には、総合31位・オールAで一発合格