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【予備試験】短答・論文・口述〜各ステージで変えるべき思考法と心構え〜
はじめに — 受験生が抱く共通の悩み
「短答は得意だけど論文で伸び悩む」
「論文は書けるが口述で緊張して言葉に詰まる」
予備試験を目指す多くの受験生が同じような悩みを抱えます。予備試験は一度に合格が決まるものではなく、短答→論文→口述という3つのフェーズを順に突破していく必要があります。
各フェーズで求められる「思考の種類」と「心構え」は異なります。ここを理解して戦略的に切り替えられるかが、合否を分ける重要なポイントです。
本記事では、筆者が各ステージで意識すべきだと感じる思考法と実践的な心構えを、社会人受験・非法学部出身で短期合格を実現した筆者の経験も交えて、具体的かつ実践的に解説します。
短答(択一)ー「正解を選ぶ」ための瞬発思考と心構え
短答の本質(思考)
短答は与えられた選択肢の中から正解を選ぶ試験です。論文のように自分で答えを導き出す・創り出す必要はありません。したがって、短答で求められる主な頭の使い方は次の2つだと思っています。
• 判別力:肢一つ一つが正しいか誤っているかを極力瞬時に判断する力。
→消去法の運用:確信がない場合、明らかに誤った肢を消していき、残った肢から正答を導く技術も重要。
短答で高得点を取るには、問題文をみたときにある程度反射的に正解がわかるような、「考える」より「選ぶ」訓練が効果的です。
問題に対して即座に反応できるよう、肢ごとの典型的な誤りと正解のパターンを体得(=瞬時に思い浮かぶ)しましょう。
短答の学習法
• 過去問を大量に反復する(まずは、質よりも量で短答の形式と答えのパターンに慣れる)。
• 間違えた肢を「なぜ誤りか」を短くメモする。
• 試験前の一定のタイミングで、過去問について時間設定を厳守して解く。時間配分の訓練が必須。
• 答えが不明な肢は一旦飛ばす勇気を持つ。
心構え
• 焦らず淡々と。全問正解する必要はない。
• 1問に固執しない(時間ロスが命取り)。
• 分からない問題は飛ばす→ 後で戻れる余裕を残す。
論文(記述)ー「答案設計力」と「読み手を意識した表現」
論文の本質(思考)
論文試験は、あなたが法律問題をどのように把握し、どの順序で、どのような論証で解決するかを示す試験です。求められるのは単なる知識の表出だけではなく、読み手(採点者)に、わかりやすく論理が通っていて、結論を納得させる力です。そこには次の要素が含まれますので、頭の使い方としてイメージしておきましょう!
• 答案の型(フォーマット)を体に染み込ませる:結論→理由(法的三段論法)等、科目や論点ごとの答案の型を正確に使えること。
※加藤ゼミナールでは、司法試験において評価されるこの答案の型について、重点的に解説しています。
• 論点抽出の網羅性:事案における争点を漏らさず抽出する力。
• 論理的簡潔さ:無駄を削ぎ、最も説得力ある根拠を選んで示す力。
論文の学習法
• 答案の型を反復訓練:各論点ごとに「この論点はこう書く」という型を作り、何度も書く。
• 差分分析:自分の答案と予備校の模範答案等との差を精密に抽出(型・論点・知識・スピードの4視点)。
• アウトプット中心:インプットは必要最小限にし、すぐに書いて答案に落とす。
• 本番想定演習:時間制限・用紙枚数に応じた答案練習を繰り返す。
心構え
• 完璧を目指しすぎない。採点者に伝わりやすい答案を目指す。
• 結論がどちらでもいい問題もあるため、結論にこだわりすぎない。
口述(面接)ー「法的瞬発力」と「コミュニケーション力」
口述の本質(思考)
口述試験は会話の場であり、筆記とは決定的に性質が違います。試験官は受験生に質問を投げ、受験生は口頭で瞬時に論点を提示し、会話を続けていくことが求められます。必要な思考としては次のものが想定されます。
• 法的瞬発力:聞かれた論点を瞬時に特定し、結論→理由の順で端的に返す能力。
• 対話思考:会話の流れに合わせて、試験官の誘導を活かす能力(誘導に素直に乗る)。
• 端的なレスポンス:必要最小限で明確に答え、余計な議論を広げない技術。
口述の学習法
• 口述模試の徹底活用:模試で会話のテンポ、圧力、誘導に慣れる。
• 要点を声に出す訓練:結論→理由を1分以内に話す練習を繰り返す。
• 受け答えのフレーズを準備:「少し考えます」「もう一度確認してもよろしいですか」などのクッションフレーズを覚えておく。
• 表情・姿勢・挨拶の確認:第一印象は想像以上に大事。清潔感ある服装、背筋、礼儀を今一度見直しておく。
心構え
• 試験官は敵ではなく、対話の相手。受け答えを会話として成立させることを重視。
• 沈黙を過度に恐れないが、最小限に。考える場合の沈黙は「少し考えます」と断ってからにする。
• 誘導に素直に乗る。誘導は合格への手がかり。
各ステージでやってはいけない共通NG行動例
• 短答:1問に固執して時間を浪費する→マークシートの試験で時間不足で書けないのはもったいない。
• 論文:答案の型を意識せずに思考や知識をだらだらと論じてしまう
• 口述:試験官との議論に発展させる/誘導にも乗らず、沈黙したまま固まる/コミュニケーションエラーを起こす。
どの段階でも共通する最大のNGは、学びや練習してきたことを試験当日にアウトプットしないことといえます。本試験の日は、いままでやってきたことをやるだけです!
本試験で、今までやってこなかった思考等を展開させることは、空回りしてしまい、とてもリスクがありますので気をつけましょう。
まとめ ー ステージに応じて「頭」と「心」を切り替える
予備試験は、共通する法律に関連する力を求めつつも、短答・論文・口述で求められるアウトプットの形とそれに伴う思考法が異なる試験です。
合格に必要なのは、単に知識を詰め込むことだけではなく、それぞれの段階で必要な思考術やノウハウ磨き、ステージに応じて頭(思考)と心(心構え)を切り替えることも含まれるのです。
予備試験は相対評価なので、他人との勝負でもありますが、同時に学びの連続を続けられるかという自分との勝負でもあります。
各フェーズで得た気づきを次のフェーズに持ち込み活かしていく等、学びの連続として戦略的に改善を積み重ねていきましょう。
合格は、あなたが思うよりずっと手の届くところにあります。
実務家弁護士T
社会人受験生として学習期間1年で予備試験に合格し、翌年の司法試験には、総合31位・オールAで一発合格





