加藤ゼミナール代表をしております、弁護士の加藤喬でございます。
あと数日で、予備試験短答式が実施されます。
今年は、試験前と試験後に、東京の予備試験会場に立たせて頂きます。
以下では、令和4年予備試験短答式を受験される皆様へ、私からメッセージを送らせて頂きたいと思います。
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直前期における短答対策の肝は、時間の使い方です。
時間を有効に使うことで、①できるだけ広範囲にわたって総復習をするとともに、②インプットと各科目の短答試験との間隔をなるべく狭くすることが重要です。
短答知識の相当部分を占める枝・葉の知識については、その一過性の高さゆえに、1週間前に記憶したのに現時点では忘却してしまっているということが起こりやすいです。中長期的に記憶を持続するのが難しいです。
そのため、数日間、効率的に時間を使って広範囲にわたる総復習をすることで、枝・葉の知識をどれだけ多く詰め込むことができるかが肝になってきます。
また、短答固有の細かい知識は時間の経過とともに忘却しやすいので、インプットと各科目の短答試験との間隔をなるべく狭くすることも重要です。
したがって、これから数日間、どのタイミング、どの順序で、どの科目をどう復習するのかにより、短答対策の効果がだいぶ変わってきます。
これから数日間の時間を有効に利用し、短答対策の効果を最大化するために、どういった時間の使い方をするのかについても考えながら、短答試験に向けた総復習をして頂きたいと思います。
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①選択肢の正誤判断で必要とされる法律知識を理解・記憶する
過去問集・肢別本を使った総復習をする際、選択肢の表現と正誤を記憶するのではなく、正誤を判断するために必要な条文・判例・学説等の知識を理解・記憶しましょう。
②直前期では、浅く広い総復習をする
過去問集・肢別本を使った総復習をする際、問題を「解く」必要はありません。解説を「見る」だけで足ります。「解く」と回し切れませんし、試験数日前なら、解説を「見る」だけでも短答試験で使える「知識」として残ります。とにかく、浅く広い総復習をすることで、枝・葉に属する細かい知識をなるべく多く身に付けましょう。
③論文知識と短答知識における記憶範囲と記憶水準を区別する
論文知識の記憶範囲と短答知識の記憶範囲を区別した上で、前者と後者とで記憶の水準を区別しましょう。短答で使う知識の大部分は、論文で使う知識と異なり、能動的に使用できる状態にまでもっていく必要はなく、訊かれたら分かるというくらいの受動的に使用できる状態で足りるものです。
④原則として引っ掛けはない
原則として、引っ掛けはありませんから、問題文を素直に読んだ後のファーストインプレッションを信じましょう。深読みは不要です。
⑤知識以外で解ける問題の解法も確認する
知識以外で解ける問題も多いですから、知識以外で解く方法も確認しておきましょう。
憲法及び刑法では、読解・思考で解く問題が多く、例えば学説問題の大部分は学説知識がなくても読解と思考だけで解けます。
民法では、読解・思考重視の問題は多くありませんが、「取引安全を害するから請求を否定するべき、相手方の正当な信頼を害するから契約成立を認めるべき」といった裸の利益衡量に基づく価値判断により条文や判例の適用結果と一致する結論を導ける選択肢が多いですから、この価値判断による解法と消去法を併用すると正答率がだいぶ上がります。
憲法・民法・刑法における解法のコツに関する動画はこちらからご覧いただけます(10:50から解法の説明に入ります)。
令和2年司法試験過去問(各科目3問ずつ)を使い、知識に依存しない解法について解説しています。
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予備試験短答式は、合格のハードルが高い厳しい試験です。
もっとも、自分の可能性を信じることができたからこそ、予備試験の受験を決断し、合格に向かって今日まで本気で勉強してこれたわけです。
残り数日間でしっかりと準備をして、予備試験短答式を突破し、予備試験合格と司法試験合格に繋げて頂きたいと思います。
皆様のご健闘をお祈り申し上げます。
加藤ゼミナール代表 弁護士・加藤喬