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令和6年向けの司法試験過去問ランキング

 

司法試験過去問ランキングを更新しました

司法試験過去問ランキングを令和6年司法試験向けに更新しました。

ランク付けは、基本7科目及び労働法については加藤喬講師が作成し、経済法については加藤駿征講師(総合5位・経済法1位の実務家弁護士)が作成しております。

 

ランク付けをする際の基準

司法試験過去問をやる意味には、3つあります。

①「自分と本試験の距離及び最新の出題傾向(難易・範囲・角度・形式)を把握する」 ⇒ 「自分が目指すべき理想の答案像を把握する」 ⇒ 「自分が目指すべき理想の答案像を書くために必要な勉強内容を把握する」

②分野・論点単位での再度の出題可能性に備える(分野論点単位での書き方の習得も含む)、科目単位での書き方を身につける

③問題文から検討事項を抽出するコツを掴む(本試験特有の問題文の読み方に慣れる)、現場思考問題・分からない問題に対処するための読解・思考・書き方のコツを掴む、文章力を鍛える、情報処理に慣れる、途中答案対策等

①は、今後の勉強の方向性を明らかにする(又は修正する)ためのものです。まず初めに、①のために、直近2年分の過去問をやります。

①を終えたら、②のために、年度が古い順に、司法試験過去問をやります。

③は、①・②の際の答案練習を通じて徐々に鍛えていくものです。

下記のランク表は、②を基準とした場合における過去問の優先順位を示したものです。

憲 法

憲法では、分野・論点単位での再度の出題可能性に備えることよりも、違憲審査の基本的な枠組み(保障→制約→違憲審査基準の定立→目的手段審査による当てはめ)が妥当する問題における答案の書き方(=違憲審査の基本的な枠組みを正しく使いこなす力)を身に付けることが重要であり、そのために特に有益なのが平成30年~令和2年の3問です。

また、憲法では、人権選択から目的手段審査による当てはめに至るまで、何についてどう論じるべきかについて問題文のヒントで誘導される傾向が強いので、こうした誘導に従って何をどう論じるべきかを判断できる ” 問題文の読み方 ” を身に付けることも非常に重要です。こうした ” 問題文 ” の読み方を身に付ける上でも平成30年~令和2年の3問は大変有益です。

なお、平等権、財産権、生存権など違憲審査の基本的な枠組みが妥当しない分野については、出題可能性も踏まえながら過去問や短文事例問題(基礎問題演習講座など)で確認しておきましょう。

Aランク H18 H19 H20 H23 H24 H30 R1   R2
Bランク H21 H25 H26 H28 H29 R3
Cランク プレ H22 H27 R4   R5

 

行政法

行政法では、出題分野が狭い分、過去問から再度出題される可能性が高いので、ランク付けによる重要度に応じて濃淡をつけながらも、なるべくCランク過去問も含めて全問やるのが望ましいです。

Aランク H20 H21 H24 H26 H27 H29 R1 R5
Bランク プレ H18 H19 H25 H28 H30 R2  R4
Cランク H22 H23 R3

 

民 法

民法では、出題範囲が広い分、過去問から出題される可能性はさほど高くありませんので、再度の出題可能性に備えることに重点を置くべきではありません。

民法では、論点よりも、法律要件を事実と条文の番号・文言を結び付けながら1つひとつ認定する過程が重視されることが多いです。 債権者代位権、詐害行為取消権、契約不適合責任、不当利得、不法行為責任、相続による権利承継などでは、特にそうです。こうした出題では、文章力、条文操作を含め真の実力が問われますから、要件認定の作法を身に付けることを意識しましょう。

さらに、例えば、「Aは、錯誤による意思表示の取消し(95条1項)により甲土地の売買契約が遡及的に無効になる(121条)と主張して、これにより発生する原状回復請求権(121条の2第1項)を行使して代金1000万円の返還を請求する。」というように、答案冒頭における訴訟物と主張の骨子の指摘でも差が付きます。

このように、民法では、分野・論点単位での再度の出題可能性に備えることよりも、要件認定の作法や答案冒頭における書き出しといった ” 答案の書き方 ” を身に付けることに重点を置く必要があります。

Aランク H18 H20 H23 H25 H27 H28 R2
Bランク プレ H19  H21 H24 H26 H29 R4
Cランク H22 H30 R1    R3  R5

 

商 法

商法では、過去問から出題される可能性がそれなりに高い一方で、そこまで特殊な書き方が要求されているわけではありませんから、再度の出題可能性に備えるために過去問をやるという意味合いが強いです。

特殊な問題分析や書き方が要求されない分、1問当たりの分析はさほど重くないことを踏まえても、なるべく全問やるのが望ましいです。

Aランク H18 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H27  H28 H30
Bランク H19 H26 H29 R2  R3   R5
Cランク プレ  R1   R4

 

民事訴訟法

民事訴訟法では、特殊な答案の書き方が求められる分野・論点は少ないので、主として、再度の出題可能性に備えることと、捻り効いた問題に対応する力を身に付けるために過去問をやることになります。

Aランク H18 H21 H23 H27 H29
Bランク H19 H24 H25 H28 H30 R1  R3
Cランク プレ  H20 H22 H26 R2  R4  R5

 

刑 法

刑法では、主として、再度の出題可能性に備えるために過去問をやることになります。また、刑法全般に共通する答案の書き方を身に付けることも大事です。

特殊な問題分析や書き方が要求されない分、1問当たりの分析はさほど重くないことを踏まえても、なるべく全問やるのが望ましいです。

Aランク H21 H22 H23 H24 H26 H27 H28 H29 R1
Bランク H20 H25 R2   R3   R5
Cランク プレ  H18 H19 H30 R4

 

刑事訴訟法

刑事訴訟法では、行政法と同様、出題分野が狭い分、過去問から再度出題される可能性が高いから、ランク付けによる重要度に応じて濃淡をつけながらも、なるべくCランク過去問も含めて全問やるべきです。

実際、令和5年の出題は、平成22年(領置)と平成21年・平成25年(実況見分調書)の類題でした(DNA関連の点は除きます)。基本7科目の中で最も過去問からの出題可能性が高い科目です。

Aランク プレ H20 H21 H24 H25 H26 H27 H29 H30
Bランク H18 H23 H28 R2   R3
Cランク H19 H22 R1   R4   R5

 

労働法

労働法の過去問は令和5年までで36問(18年分×2)もあり、選択科目における受験者全体のレベルが基本7科目に比べると低いことも踏まえると、労働法の過去問を全問隈なくつぶすという方法は得策ではありません。仮に全問やるとしても、Aランク問題以外は、ざっと問題文と解答に目を通して、事例と条文・論点の対応関係や答案全体の流れを確認するにとどめるくらいにしましょう。

労働法重要問題100選講座では、A・Bランク論点をほぼ網羅している上、司法試験過去問の重要部分も取り上げているので、労働法重要問題100選講座を受講している方なら尚更、司法試験過去問を全問隈なくやる必要はありません。

(第1問)

Aランク H18 H20 H25 H26 H27 H29  H30 R1
Bランク H19 H21 H22 H24 R2  R3
Cランク H23 H28 R4  R4予備  R5  R5予備

(第2問)

Aランク H19 H23 H25 H27 H28 H29 H30 R3
Bランク H20 H21 H22 H24 H26 R2   R5
Cランク H18 R1   R4

 

経済法

経済法のランク付けは、加藤ゼミナールで経済法講座を担当している加藤駿征弁護士(経済法1位・総合5位で司法試験合格、実務家弁護士)が作成したものでございます。

令和5年分の出題分野・論点は、出題趣旨の公表後に追加いたします。

※令和5年予備試験のランク付けは、少々お待ちください。

(第1問)

Aランク H26 排他条件付取引、拘束条件付取引(リベート)、私的独占
H27 事業者団体
H28 不当な取引制限(カルテル)
H30 不当な取引制限(カルテル)、手続関係(課徴金)
R1   不当な取引制限(談合)
R2   企業結合(垂直)
R3   不当な取引制限(談合)
R4   抱き合わせ(取引妨害)、手続関係(差止請求)
R4(予備) 企業結合
R5   不当な取引制限(非ハードコアカルテル)、企業結合
Bランク H18 再販売価格拘束取引・取引拒絶、手続関係(差止請求)
H19 抱き合わせ、取引妨害
H21 不当な取引制限(非ハードコアカルテル)
H23 企業結合
H24 不当な取引制限(カルテル)
H25 抱き合わせ、私的独占
H29 抱き合わせ、私的独占
R5(予備) 事業者団体
Cランク H20 不当な取引制限(非ハードコアカルテル)、共同ボイコット
H22 拘束条件付取引

(第2問)

Aランク H22 不当な取引制限(談合)
H24 拘束条件付取引
H27 企業結合
H28 拘束条件付取引
R1   企業結合
R2   事業者団体
R3   取引拒絶、私的独占
R4   再販売価格拘束取引、拘束条件付取引
R5   共同の取引拒絶
Bランク H18 不当な取引制限(カルテル)、事業者団体
H19 不当な取引制限(談合)、手続関係(課徴金)
H23 共同ボイコット、私的独占
H26 不当な取引制限(談合)
H29 企業結合、不当な取引制限(非ハードコアカルテル)
Cランク H20 拘束条件付取引、再販売価格拘束取引、抱き合わせ、手続関係(差止請求)
H21 不当廉売
H25 事業者団体
H30 拘束条件付取引