
小田原 優多 様
大学法学部 在学4年
学部成績 全体2.88、法科大学院連携プログラムにおける必修科目3.17
九州大学法科大学院既修者コース(九州大学法務学府実務法学専攻 既修者コース) 合格
・基本7科目の総まくり論証集2025
高校時代は理系に所属していたのですが、物理が苦手だったために、浪人時に文転し、法学部を目指しました。
法学部を選んだのは、元々公民や政治経済の授業で、法律、特に憲法と知的財産分野に少し興味を持っていたからです。
もとより法曹に興味はありましたが、法曹になることを決意して法学部に入ったわけではなかったので、入学当初から法学に真剣に取り組んだわけではありませんでした。
3年次になってもなお満足いく進路が決められない中、学部の成績が存外に良いこと(特筆して良いわけではありませんが)、法曹に対する漠然とした憧れ、そして一番は、著作権法などの知的財産分野に法曹として関われば、自分の趣味である音楽や、かつて憧れた科学技術に貢献できると考え、三年の夏頃に進路を法曹に確定しました。
私のとった戦略は、予備試験を照準として学習を進め、予備試験対策として培った法的知識・思考力によって、法科大学院入試も突破するというものです。
詳細は後述しますが、加藤ゼミナールの総まくり論証集にお世話になったのは、予備試験論文式試験直前の詰め込み期、法科大学院入試直前期です。
前述したように、学部三年の夏までは、学部のテスト対策としての勉強以外に、法律に触れることはありませんでした。
テスト対策としては、基本書と講義レジュメをテスト一ヶ月ごろ前から消化し、Goodnotesにまとめて暗記していました。
三年の夏以降、予備試験の受験を決めてからは、学部のテスト対策として使用していた基本書で基本科目を復習した後、短答式/論文式の過去問を演習したり、定評ある演習書・副読本で学習したりしました。
予備試験短答式試験受験後、自己採点で合格の予想を得られたので、論文式試験のためには論証を暗記する必要があると考え、SNSなどで評判の良かった総まくり論証集を購入しました。
総まくり論証集は、非常に分量が多く、見たことのない論点も複数記載されていました。
ですので、総まくり論証集が手元にきてから一週間は、一科目ずつ、今まで使用していた基本書等と論証を照らし合わせ、当該論証の問題意識を適切に理解することに努めました。
もっとも、総まくり論証集は、単に論証を貼り付けているのではなく、それ自体が小さな基本書のようになっているので、少なくとも既知の論点については、論証集を読解するのみで当該論証の問題意識は復習できるように思います。
ただ、私には、複数の教材を見比べて整合的に理解するために思考するという勉強法が合っていたので、一科目ずつ基本書等と論証を照らし合わせ、当該論証の問題意識を適切に理解するという勉強法は、私にとっては適切でした。
このような仕方で論証を理解しつつ、理解できた論証はGoodnotesに転記して、デジタル端末上で周回できるようにし、論文式試験までは、各科目一日二周程度周回しました。
論文式試験終了後、ロースクール入試までは、すでに作成した学習セットを、4日で一周程度周回しました。
なお、私は教材に書き込みをするのが好きではないので、総まくり論証集にもほとんど書き込みはしていません。
周回に際しては、ただ暗記セットを回すのではなく、どういう問題状況で、どの条文の解釈論として、その論証が問題になるのか考えながら周回し、不安になれば適宜総まくり論証集に戻って確認するようにしていました。
まず、なにより、総論部分の整理が非常に有用でした。
特に憲法・民法でこれは顕著でした。
憲法にいう審査基準は用語が似通っていて覚えるのが苦手だったところ、論証集の冒頭で、これについての明快な整理や、憲法論文答案の書き方が詳説されており、散乱していた各用語を整理して活用できるようになりました。
また、民法は、私の一番の苦手科目だったのですが、要件事実論に即した答案作成方法が総論として整理されていたおかげで、予備試験・法科大学院入試ともに崩壊することなく論述することができました。
要件事実のまとめは、民法はもちろん、法科大学院入試での民事訴訟法の出題(要件事実論、弁論主義)とも相性がよく、周りと差をつけることができたように思います。
これは私の肌感ですが、要件事実を学習する前と後とでは、民事系科目の解像度が大きく異なっており、要件事実をベースに論を立てている総まくり論証集で学習することは、民事系が苦手な人こそ有意義であるように思います(私は三年の秋頃まで、「要件事実」という言葉すら知らなかったこともあり、民事系は大の苦手でした)。
次に、総まくり論証集以外の論証集は、基本的に論証のみが貼り付けられており、当該論証を導く理屈や前提、文脈などが削ぎ落とされているものが多いところ、総まくり論証集は、これらを丁寧に解説しています。
少なくとも私にとっては、当該論証を導く理屈や前提、文脈などがない論証集では、ほとんど意味不明の文章が羅列してあるように見え、全く頭に入りませんでした。
論証のみが貼り付けられている論証集に対応できる方であっても、当該論証の導出過程や文脈の確認可能性が担保されている総まくり論証集を使えば、より学習の効率が高まるように思います。
自分の理解が誤っていたために、自分の理解と論証とが整合しなかった場合もありましたが、総まくり論証集は出典が明示されているので、すぐに文献に当たることが可能であり、自らの理解を納得して変更することができました。
なにより、このような過程を経ることによって、単に文字面をコピペするような学習より、はるかに実質的な論点理解ができるようになると思います。
これを可能にしているのは、前述したような、総まくり論証集の各種工夫です。
最後に、九大の法科大学院入試に絞っていえば、九大ロースクールの試験問題は多少特殊であり、単に事例問題の演習を重ねるのみでは、太刀打ちできない側面があります。
原理論や法概念それ自体を直接に問う問題が出題されがちだからです。
この点、前述のように、従前の市販論証集の多くが単に論証を貼り付けているのみであるのに対し、総まくり論証集は、論証を貼り付けるのではなく、その前提ないし背景として存在する法概念を解説しているので、論証集を読み解くだけでも、このような問題にも一定程度対応可能になります。
この意味で、総まくり論証集は、他の論証集にはない強みを持っていると思います。
実際の法科大学院入試においても、総まくり論証集の論証部分及び説明部分に一切の説明がない問題はほとんど出題されなかったように思います。
上述の通り、学部テストの対策としては、基本書と講義レジュメをテスト一ヶ月ごろ前から消化し、Goodnotesにまとめて暗記するというスタイルをとっており、これは、実質的には、自作の論証集を暗記していたと言えると思います。
今、当時の甘い理解で作成した暗記セットを振り返ってみると、怪しい理解に基づいた不適切な表現に富んでおり、法科大学院入試や予備試験に対応できるものとは到底いえません。
これは、法学部の講義で初めて法律科目を学ぶほとんどの法学部生に共通であると思います。
そうであるならば、そのような怪しい自作論証を暗記するより、丁寧に推敲された総まくり論証集を用いたほうが、学部成績にとっても好ましいと言えると思います。
一個人の体験談・結果論としては、予備試験を目指して学習すれば、九大ロースクール入試を突破できる程度の学力は身につくように思います。
そして、法科大学院入試を本丸として目指す場合であっても、予備試験に照準を合わせて学習するとよいと思います。
今年の九大ロースクール入試の民事訴訟法は、先述したように、要件事実を理解していなければ厳しいものであったところ、要件事実は予備試験を主眼とした対策をしていなければ手を抜いてしまいかねません(少なくとも自分のように、法曹志望に決める時期が遅かった人は、学習スピードを意識するあまり、非常に重要な事項を、勝手に不要であると決めつけてしまいがちです)。
この点、予備試験を目指して学習すれば、そのハードルの高さから、甘えや妥協を除去することができるからです。
なにより、知らない論点が出てこないようにすることは、法科大学院入試であっても重要であると思います。
近年の法科大学院入試の難化を考慮するときは、このことはより一層重要性を増すように感じます。
私の反省からいえば、法科大学院は、精神的安定を図るために複数受験するべきだと思います(私は九大ロースクール以外出願していませんでした。その結果、ロースクール浪人への恐怖に予備試験後の燃え尽きが相まって、焦っているのに勉強できない、勉強できないから焦る、という負のループに陥りました)。
もっとも、私を含め地方の学生は、そもそも近隣で受験可能な法科大学院が限られているため、時間的及び経済的制限から、自ずと受験校数に限界が生まれます。
ですので、可能な限り、法曹コースに登録して特別選抜を受けられるようにしておくこと(私は面倒くさくなり、途中で脱退してしまいました)、最低一つは私立ロースクールを受験しておくことを推奨しておきたいと思います。
また、私は予備試験論文式試験の直前に総まくり論証集を導入しましたが、普段の勉強からこれを活用していれば、直前期のブーストをより強くかけることができたのではないかと思います。
直前期に、論証集を読み解いたり改めて暗記セットを作成したりする手間が省けるし、しかも慣れ親しんだ論証集を持っていることは、精神衛生上も好ましいからです。
その論証集が、随一の正確性と網羅性を持つものであったならば、その効果は絶大であると思います。
もし私が三年の夏に戻れるのなら、初めから総まくり論証集を使用し、論証集にある論点を出発点として、基本書や演習書に取り組みます。
いずれにせよ、学部のテストをペースメーカーとして学習を進め、その案内役として総まくり論証集を携帯することが、最善策なのではないかと思います。