比嘉麻衣子 様
法科大学院(既修) 令和3年卒業
令和3年司法試験 合格
比嘉様の労働法の合格体験記はこちらからご覧いただけます。
.https://kato-seminar.jp/voice/103230/
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総合 1008.63点 157位
論文 494.64点 151位
公法系 145.18点(A、A)
民事系 171.70点(C、A、A)
刑事系 119.60点(A、A)
労働法 58.16点(上位17%)
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ロースクールに入学する以前に、他校にて入門講座を受講していました。基本論点の理解はできており、論証もある程度は記憶しているのにもかかわらず、司法試験の過去問に歯が立たない!どうしたらいいのか、と途方にくれたのが本試験直前の1月の終わりでした。
労働法の労働法完全対策パックを受講してみて、試験を研究し尽つくしているテキストに驚きました。今までの予備校テキストは、レジュメ形式で行間が読めず、逆に消化不良になることがありました。そこで行間を埋めようとローで基本書や最新の議論などを学習し、理解は進んでいましたが、上手く一元化できておらず、知識がバラバラになっていました。
その点、加藤先生のテキストは、学説にも対応しており、自分にとって情報量が適切であると感じました。また参考文献も記載してあるので、裏取りに安心感もありましたし、気になるところは原典にあたることも容易でしたので、大変使用しやすいという実感がありました。
そこで基本7科目についても、受講してみようと決めました。
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まず総まくりを科目ごとに潰すことに決めました。労働法のインプットに思ったより時間がかかったので、なんと取り組み始めたのはローの最後の試験が全て終わった1月の終わりでした。
この時点で一元化教材がないという絶望的状態でしたので、2月までに全科目の総まくりを消化しきることに決めました。例えば刑訴であれば、古江本がベースになっていましたので、後から見直せるように大事な頁は古江本の当該頁を縮小コピーして、総まくりに貼り付けるなどしていました。とにかく試験会場に1冊持ち込めば耐えられるまとめノートを完成させるという気持ちで取り組んでいました。時間がなかったので、こだわりすぎないことを意識しました。
優先順位は、対策が直結しやすい刑事系・公法系・会社法でした。民法は、範囲が広いうえに論証記憶などのテクニックが通用しにくいと思ったので、2月までに終わらなければ捨てることに決めました。民訴については、原理原則を理解さえすれば現場思考で守れるのではないかと考えたことから、総まくりの優先順位を下げる作戦を取りました。
加藤先生のブログを参考に、1周目は1科目ずつ完成させるように集中して取り組みました。
具体的には、私は夜型だったので、12時頃に起床して、13時からテキストの読み込み、上記まとめ作業を開始し、23時頃まで行いました。この期間は、論点の総確認のつもりで、関連論点などを横断的に理解することも意識しました。
2月10日になっても、民法・憲法・民訴の総まくり1周が終わっていなかったので、憲法は過去問をベースに一元化すればいいやと割り切り、民法・民訴については終わらないことも計画通りでしたので、潔く諦め、過去問演習に入りました。
総まくりを1周していたことから、以前よりはマシであったものの、古い年度の過去問は相変わらず難しく感じ、試験まであと3か月だというのに、論点を落とすことはもちろん、試験委員が求める書き方に沿った書き方が分からず、焦りで半泣き状態でした。
このままでは時間切れで終了だと思ったので、王道というべき「問題を読む→思考→回答→回答と正解筋のズレを理解・記憶」というやり方は諦め、とにかく、再度類似問題が出たら書けるようにすることをまず目標に設定しました。そのためには出題趣旨・採点実感のうち加藤先生が重要と指示される部分を記憶しストックしてしまおうと考えました。そこで、「問題をサラっと読む→完全回答を読む→趣旨・実感の記憶」というやり方に切り替えました。
これでかなり時間短縮になりましたし、精神的にも楽でした。この方法で、全科目1周したのが4月中旬でした。
集中して過去問と向き合ううちに、単なる論点の書き方という次元をこえて、司法試験が求めている問題意識や求められる書き方というのが分かってきました。
ここで、一皮むけた感覚が自分の中にできたので、とにかく過去問を趣旨・実感を読みながら1周しきるということがとても大切であると実感しました。この感覚を得るためには、個々の論点の理解は前提となっていると感じたので、総まくりが活きていると感じました。
その後は、短答をやりつつ、重要な過去問を2周して試験を迎えました。
※体験記の最後に教材の使い方の画像がございます。
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本講座を潰していたことから、私にとって本試験は作業でした。と言いますのも、令和3年度の出題も半分ほど過去問の焼き直しであったので、【講座・教材の使い方】でお話したやり方で習得していた知識を頭の中から検索してコピペする作業でした。もっとも、過去問とズレている事実は適宜思考して書きましたが、既存論点は何も考えずに反射的に書けたので、現場思考部分に十分な時間を取ることができました。(民法は捨てていたので、その場で適当に書きました。)
正に「進研ゼミで見た問題だ!!」状態でした。私は、もともとローの試験でも答案構成をしないタイプなのですが、試験本番も問題をみておよその筋が分かり、答案構成なしで書き始めることができるほど過去問とお友達になることに成功していました。過去問と向き合ったことで、あてはめに使ってほしい事実が分かるので、その事実を使ってストーリーが整合するようパズルを組み立てる感覚を習得できていました。
およその筋が分かったうえで、なにをどこまで書くかという観点で言えば、「問題文を見る→過去問を思い出す→その年の趣旨・実感を思い出す→今年の問題と過去問の違いを意識→今年問われている大きな価値の対立は何か→そこは厚く書く」という思考により量を調節して処理しました。時間は全科目5分以上余っていました。
具体的にいうと、憲法であれば、令和元年度に虚偽表現の保護範囲について書くように求められていたことから、匿名表現についてある程度の配点があると考え、自分なりにあつく記載しました。次に集団行進の自由については、25年の趣旨を思い出し、コピペしました。またこの年度の過去問の習得過程で、東京都公安条例事件を精読憲法判例を用いて正確に理解していたので答案作成に役立ちました。結社の自由については、プレテストで学習しており、かつこれは本教材の模範解答をほぼ記憶していたため、定義を正確に書けたことで、印象が良くなったのではないかと思っています。さらに28年の過去問の出題趣旨でプライバシーや予防原則について書かれていたことから、これらの問題意識も書き込むことができました。萎縮効果については27年の採点実感に踏み込んで記載されていたので、丁寧にコピペしました。本講座に記載されていない部分で憲法ガールに記載があることを一元化していたので、全体的に過去問ベースで試験委員が求める書き方で丁寧に記載することができたのが良かったのかなと思います。
また、書き方という面においても、20年のヒアリングで「論点を全て拾う必要はなく、重要なものを自分なりに論じてほしい」旨書かれており、加藤先生も憲法においてはそのことを強調されていたので、意識しました。出題趣旨や採点実感は答案の形で落とし込まれていませんから、上記論点を判断枠組みや目的手段審査にのせるイメージが加藤先生の上位答案を見ることによって具体的についていたことも評価された一因だと思います。
行政法については、処分性についての総まくりの頁に基本行政法・事例研究行政法の該当頁を縮小コピーしていたので、それを忠実に記載し、訴えの利益についても、同様に処理しました。むしろ本問は民主的正当性がある市長の判断と、審議会の判断はどちらが優先されるべきであるか、という価値判断に大きな問題意識があるのではないかと考えたので、あつく記載しました。これは23年の行政法と、19年の憲法の問題意識が参考になりました。
このように全科目について趣旨・実感を検索・コピペしていました。私が本講座を受講して感じていることは、司法試験も資格試験であるので、過去問をやりこめば合格できるということです。この点を忘れ、正確な学問的理解をしようと考えすぎている場合があるのではないかと思っています。
もっとも、当初の私がそうであったように、一般的な予備校の入門講座のみでは、過去問を潰すことが難しく、過去問をやりきるためには一定程度の学問的理解が不可欠です。
その点本講座は、司法試験を解くという限りにおいての学問的理解を提供しつつ、他方で資格と割り切る部分もあり、バランスが素晴らしいと感じています。ここに加藤先生のノウハウや苦労がつまっており、価値があると考えています。
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司法試験は入門段階、初めて答案を書く(短文事例問題)段階、過去問をやりこむ段階の3段階にそれぞれの辛さがあると思います。心が折れそうになることもあると思いますが、気合いで頑張ればいつの間にかできるようになっている点で自転車の練習に似ていると思います。
短期合格のためには過去問が絶対的に大事だと思います。過去問を加藤先生の教材で勉強すれば司法試験は怖くありませんので、完璧主義にならず、気楽に頑張ってください。これを読んでくださった方に良い結果が出ますよう祈念しております。
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1「マーカー指示の動画をみる時間がなかったので、自己流で引いていました。理由はオレンジ、記憶箇所は黄色」
2「関連論点のまとめ」
3「要件事実マニュアルも参照して、主張反論で論理を組み立てていました。ここまでは司法試験的には求められていなかったので過剰な部分でした」
4「講義テキストを反映」
5「第二問のまとめを論証集の余白にまとめていました」
6「縮小コピーを活用してどんどん一元化」
7「判例のまとめ」
8「何年の採点実感か出典を明記することで復習時に意識が高まる」
9「伝聞は証拠構造を図にする」
10「論証はブロックにしていた」
11「当てはめ方を可視化」
12「判断要素は緑で。ふんわり記憶する部分と、ガッツリ記憶する部分とをはっきりさせる」
13「原点にあたる方が分かりやすい部分について古江本をコピーして貼り付けていた」
14「再伝聞の構造」
15「基本刑法や参考文献も縮小コピーしていました」