加藤ゼミナールについて

早稲田大学法科大学院 参考答案

大学3年次合格者が作成した早稲田大学法科大学院の参考答案と傾向対策を公開しております。

作成者
氏 名     後藤 光(ごとう こう)
2021年4月 駒澤大学法学部 入学
2021年6月 司法試験の勉強を開始
2023年9月 慶應義塾大学法科大学院既修者コース合格(3年次)
      中央大学法科大学院既修者コース合格(3年次、学費全額免除)
現 在   慶應義塾大学法科大学院既修1年 在籍

 

1.合格者の参考答案

2022年度入試

2023年度入試

2024年度入試

早稲田大学法科大学院 入学者選抜
https://www.waseda.jp/folaw/gwls/admission/pastexams/

※1.2022年度入試は2022年入学者選抜試験、2023年度入試は2023年度入学者選抜試験、2024年度入試は2024年度入学者選抜試験を指します。

※2.コメントにおける「基礎問」は加藤ゼミナールで販売されている基礎問題演習講座及びそのテキストを、「論証集」は加藤ゼミナールで販売されている総まくり論証集を指します。

 

2.傾向と対策

【入試概要】

試験科目

1日目

1限目:民法(120分)・・・・・・・・ 180点満点

2限目:刑法(90分)・・・・・・・・・120点満点

3限目:憲法(60分)・・・・・・・・  100点満点

2日目

1限目:民訴法・刑訴法(計120分)・・ 80点満点(それぞれ)

2限目:商法(60分)・・・・・・・・・80点満点

答案用紙の特徴

不明

気をつけること

 

【各科目の出題概要・対策】

2024年度の問題が公開され次第、更新致します。

憲 法

2020年度 プライバシー権(破産者情報)
2021年度 閲読の自由(よど号ハイジャック記事抹消事件)
2022年度 表現の自由
2023年度 財産権・損失補償
2024年度 ※ 後日、更新します

憲法の過去問を見る限り、出題範囲に傾向は読み取れませんでした。ただ、処分違憲として違憲審査基準が使えないようなものは少なく、そういった意味では書きやすいのかなと感じました。

近年では事例の他に参照法令などが掲載されることが多く、そういった意味では単に違憲審査基準の処理手順を覚えるだけではなく、その場で資料を読み取って適切に処理する能力が必要になってくるのだと思います。

基本的に事例は長すぎるものではなく、何を書けば良いのか見当もつかないようなものは出題されないので、自分が当事者であればどのような主張をするのか考えながら、自分に不利な事情を拾いつつ構成していく練習をするのが良いと思います。これは他の科目でも大切な能力なので、他のロースクールの憲法過去問などの色々な問題を解くことで習得すべきです。

早稲田を受験した知り合いから聞いたのですが、2024年度の問題は過去問よりも難しかったそうなので、慣れてきたら難しめの事例問題にもチャレンジして実力をつけると憲法で差をつけることができると思います。

民 法

2020年度 取得時効・時効完成前の第三者・賃貸借の修繕請求・債権譲渡
2021年度 賃貸借の対抗力・賃貸人たる地位の移転・法定地上権・請負・留置権・工作物責任・求償
2022年度 保証・錯誤・事業債務の保証・不法行為責任(不倫)・財産分与・利益相反
2023年度 土地二重譲渡・債務不履行責任・詐害行為取消・保証・保証債務の相続
2024年度 ※ 後日、更新します

民法は120分ということもあってか、かなり長くて面倒な問題が多いです。出題概要を見ていただければわかりますが、多論点で様々な分野を跨いだ出題なので他の科目以上に知識の穴を作りたくない科目です。

配点が全体640点のうち180点ということで、30%弱が民法にかかってきます。そうすると、民法で他の受験生より圧倒的に稼げればそれだけで合格したようなものなので、民法は絶対に武器にしましょう。

加藤ゼミナール受講生であれば基礎問以上に論証集をたくさんやるのが良いと思います。というのも、基礎問は論点や分野の網羅性というよりは答案作成の作法を徹底的に身につけるような位置付けなので、それだけでは早稲田の出題範囲を網羅できないからです。そのため、基礎問で答案の作法を練習し、それをもとに「答案にはどのように活かすのか」という点を意識しながら論証集を読むのが対策方法としてはベストだと思います。

話が逸れてしまいましたが、ここ最近の傾向としては相続絡みの問題が多いです。2022の財産分与、2023の保証債務の相続がその根拠となります。これを作成している現在はまだ2024の問題が公開されていないのですが、そこでも相続が出ていたら絶対におさえてください。相続は受験生の多くが手薄になるので圧倒的に稼ぐポイントです。

刑 法

2020年度 早すぎた構成要件の実現・間接正犯・共犯と錯誤・無銭飲食
2021年度 間接正犯・抽象的事実の錯誤・名誉毀損・伝播性の理論
2022年度 因果関係・複数行為の過剰防衛・不法領得の意思・器物損壊罪
2023年度 防衛行為と錯誤・事後強盗罪・共犯からの離脱・犯人隠避罪
2024年度 ※ 後日、更新します

刑法は他の科目以上に時間がシビアです。私の答案は2022も2023も3000字を超えているのですが、これでも少しおさえた方です。検討事項を網羅しようとするとこのようになるので、配点が低いと予想されるところは薄く書くか、もしくは書かないという選択も時には必要になります。ただ、刑法も120点の配点があるので、ここを落とすのも嫌ということで迷いどころです。私であれば時間が足りない場合にも一言だけ触れるようにします。

出題の傾向としては、総論と各論をバランスよく聞いてくるという点が挙げられます。財産犯や放火などがあまり出題されないように見えますが、いつ出題されてもおかしくないので、民法などと同様穴のない学習が必要です。

2023の設問1では、近年の予備試験や司法試験の傾向と似ているような、「〜という結論を導くためにはどのような論拠が考えられるか」という出題の方法が採用されており、これは継続して採用されるのではないかと考えています。この練習としては令和4年の予備試験がちょうど良いです。司法試験では平成30年からこのような出題が採用されましたが、かなり難しいのでやらない方が良いです。この問題をインプット教材で対策するのであれば総まくり論証集の論証部分だけではなくその他の説明部分を読むと良いと思います。

商 法

2020年度
2021年度
2022年度 任務懈怠責任・会社を名宛人とする法令
2023年度 新株発行差止請求・吸収合併・株式交換
2024年度 ※ 後日、更新します

商法は2022年度から出題が開始された関係で、傾向を読み取りようがないですが、2023で新株発行、吸収合併、株式交換というテキスト後半に掲載されているような部分ばかり責められているので(条文を読めばどうにか書けるものでしたが、前もって準備しておくに越したことはないです)、2024年度で出題されていなければ2025年度は事業譲渡あたりが狙われるのではないかと思います。問題の難易度としては標準程度です。

この対策は総まくり論証集と基礎問で十分です。基礎問は必要ないのではと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、任務懈怠責任では書き方で差がつくと言われているので、差をつける書き方を身につけるという意味でやはり基礎問は必要です。

ただ、過去問の数が少ないので、慶應や中央の過去問で補う必要はあります。問題のタイプとしては慶應も中央も似ているので、良い練習になると思います。

民事訴訟法

2020年度 相殺と既判力
2021年度 確認の利益・既判力
2022年度 既判力・基準時後の相殺権行使
2023年度 重複起訴禁止・一部請求後の残部請求
2024年度 ※ 後日、更新します

出題分野の傾向は慶應と非常に似ています。既判力絡みの問題はほとんど毎年出題されるので、ここは絶対におさえておいてください。

出題方法としては長い事例が提示されて、このような立場からはどのような意見があるか。というものや、場合分けをして複数の立場から論ぜよ。というものが多いです。そういった点では慶應とは少し違いますが、中央の2021でかなり似たものが出題されているので、公開されているうちに問題を保存しておくことを強くお勧めします。

この対策として、基礎問が挙げられますが、基礎問は96問あり、これと論証集を両方消化するのは厳しいので、基礎問1本で対策するのも戦略としてアリだと思います。

私は慶應ローの対策で民訴に関しては論証集をほとんど使わず、基礎問1本で行きましたが、過去問や本番で特に困らなかったので、この方法も有効です。

刑事訴訟法

2020年度 令状の効力(「物」と「場所」)
2021年度 強制処分該当性(X線検査)
2022年度 強制採尿・強制採血
2023年度 現行犯逮捕・違法逮捕後の勾留
2024年度 ※ 後日、更新します

刑訴は基本的に簡単なことが多いのですが、2022年度で強制採尿と強制採血が出題されていることが唯一気がかりです。2020から2023までは公判や証拠法が一度も出題されておらず、捜査ばかりの出題になっていますが、この先いつ公判や証拠法が出題されるかわからないという意味で証拠法もある程度やっておくべきです。その点慶應は捜査から証拠まで満遍なく出題されており、問題の難易度も早稲田と似ているので、良い練習になります。中央も実況見分調書絡みの伝聞が出題されたことがあるので、実践を意識した問題演習はこれらの過去問をやれば大丈夫ですが、普段の問題演習はやはり基礎問が良いと思います。

刑訴の基礎問は当てはめの方向性なども詳細に示してくれるので、他の科目以上に学習効果は高いです。刑訴は論証集を使っても使わなくてもどちらでも良いですが、私は使わず基礎問1本で対策しました。

これは下3法全てに共通することですが、配点が80点とはいえ1点でも多く拾うのは合格に向けて不可欠なので、配点が低いからといって油断しないように1点でも多くとって余裕で合格しにいきましょう。

 

3.他校の参考答案

慶應義塾大学

中央大学

早稲田大学

日本大学

同志社大学

関西学院大学