西原 武 様
立命館大学法学部 卒業
令和4年司法試験 合格
総合 1027.86点 122位
論文 499.92点 141位
公法系 117.37点(A、A)
民事系 184.80点(A、A、A)
刑事系 137.03点(A、A)
選択科目 60.71点
労働法講座を選択した理由は、評判の良さと加藤先生との相性の良さです。私は、受験生の友人がいないためSNS等で司法試験に関する情報を得ていたのですが、労働法講義は加藤先生の講義を受講している人が圧倒的多数でした。実際に受講した人のインタビューを見ても、加藤先生の講座のみで司法試験は十分に戦うことができかつ、上位合格も十分に可能と複数の人がおっしゃっているのを拝見して、講座を受講することを決めました。
また、加藤先生は労働法1位合格者でありかつ講師経験も豊富であるため、経験と研究によって裏付けられたノウハウがあります。私は、予備試験合格後に初めて労働法の勉強に着手したため、とにかく時間がなく少ない時間の中で効率的に得点できる方法を模索していました。その点、加藤先生の講座はランク付けがなされ分野ごとに濃淡をつけて勉強できかつ初学者段階から論文を意識した講義となっており、私の求める講義と合致していたため、受講を決めました。
私自身、インプットよりアウトプットを重視したほうが理解することができるタイプだったため、できる限りインプットを最速で終わらせアウトプットに移行することを心掛けて受講していました。一方で労働法は、完全初学者だったため急ぎ過ぎると体系的な理解を伴わずただ講義を消化するという状況にもなりかねませんでした。そこで、次回2週目にテキストを読み返した場合に、再度講義を聞かなくとも内容を思い出せる程度にメモ書きをしていました。例えば、テキストの内容を一言でまとめて右端に書いたり、自分のわかりやすい言葉で言い換えたりしていました。
また、加藤先生がマーク指示されているところとは別に判例の暗記するフレーズや規範のうち下位基準まで覚えるものとそうでないもの等の論文に使える部分については聞き逃すことなく書き込み、論証集にも一元化していました。
上記は初学者段階ですが、論文演習に進んだ際にも100選講座とセットで使用し論点発見できなかったもの、当てはめの方向性がズレていたものについてはその都度テキストを読み返して復習していました。
労働法の論文演習については、この一冊のみ使用しました。インプットが終了してすぐに100選講座を受講し始めました。初めは、論点発見もできないため、問題文を読み問題となりそうな論点を箇条書きで書く→講義を聞く→当該分野の速修テキストで復習するという流れで1週目を終わらせました。
次に、論点を発見できるようになってからは答案ではどのように書いていくのかまで詰めて演習していました。例えば、配転命令の有効性の場合、①労働者として会社にどのような請求を立てていくのか②配転命令権の法的根拠③職務限定合意の有無④権利濫用という順番で検討していくことを確認し、①~④のそれぞれの過程で指摘するべき条文、規範、当てはめで押さえるべき事実を確認して論証集に一元化していました。
なお、私は労働法の答案を一通も書くことなく本試験を受験しました。その理由は、3点あります。1つ目は起案は時間がかかることです。上記の通り、私は予備試験合格後に労働法の勉強を始めたため時間がありませんでした。そのため、起案時間を取られていると十分な問題演習の時間が取れないこと及びほかの科目の勉強時間を圧迫することにもなるため起案することを避けました。2つ目は、労働法は答案構成のみでも十分に答案をかける力を養うことができると考えたからです。労働法は他の選択科目と比較して暗記量が多いと言われます。確かに、暗記量は重いですが、その分答案の比重も事前に暗記したことを吐き出す部分が多くあります。そのため、起案する必要性がそれほどなく、時間配分も選択科目は3時間と長く、時間が足りない事態が生ずることはないと自身の答案構成時間と1頁当たりの所要時間を考慮して判断したため、起案することをやめました。そして、3つ目は答案の形が民法と同様であるからです。憲法のように独自の答案の形がある場合、その習得のために起案する必要があると思いますが、民法と同様である(問題となる条文の指摘→要件検討)ため、習得のために起案をする必要性はないと判断しました。
過去問講座は、重要問題習得講座がある程度習得できてから使用していました。過去問についても、上記の通り起案は行わず、答案構成のみをして解説及び模範解答を参照するようにしていました。労働法でもほかの科目と同様、過去問は重要で再度の出題に備えて深く理解しておく必要があります。しかし、選択科目は1年につき2問出題されるため膨大な過去問が蓄積していました。そこで、全年度やることを諦め、加藤先生の過去問ランク付けに従い、A・Bランクのみを演習することにしました。過去問講座のテキストには採点実感も添付されていることから、どこまで書ければ一応の水準に達し合格点を取ることができるのかを分析して、論証集に一元化していました
今年度の労働法は典型論点の詰め合わせであり、第1問、第2問で出題されたすべての論点が100選講座に記載されていました。そのため、事前に処理手順を確立できており、答案構成にかける時間が短縮でき答案作成に時間をかけることができました。また、速修テキストには、論点について豊富な判例が添付されているため、本試験でも判例を意識した当てはめを展開することができました。
受験勉強中、思うようにいかず苦心する人も多くいると思います。しかし、それを払拭できるのは自分自身でしかなく、勉強するしか打開の道はありません。少し厳しく聞こえますが、合格者は全員この壁を乗り越えて合格していきます。無理なく勉強して壁を乗り越えてください。応援しています。