K.O 様
法科大学院 既修 在学中
令和5年司法試験 合格
総合 1070点台 70位台
論文 530点台 50位台
公法系 120点台(B、A)
民事系 210点台(A、A、B)
刑事系 140点台(A、A)
選択科目 50点台
私の通っていたローでは民法と憲法の講義について網羅性に欠けていたため、司法試験を控えた3月に全範囲を短時間で総復習できる講義を探していたところ、加藤ゼミナールの総まくり講座を見つけました。拝見したサンプル教材や講義動画、また加藤先生の運営されているブログの解説などのクオリティの高さに惹かれ、直前期ではあったものの受講を決めました。特に、他予備校は予備試験対策により重点を置いているように思える(予備試験の短答の解答速報は出しても司法試験の短答の解答速報は出さないなど)のに対し、加藤ゼミナールは司法試験対策によりフォーカスしていると感じた点に、ロー生である自分は強く魅力を感じました。
また、加藤先生はブログやYoutubeで、行政法や刑事訴訟法について、同じ分野論点が繰り返し出題されていることや、そのような論点は書き方レベルで差が大きくつくことを述べてらっしゃいました。そこでこの2科目については、正しい方法論を身につけて他の受験生に差をつけるべく、基礎問題演習講座の受講を決めました。
総まくり講座
試験本番まであまり時間はありませんでしたが、まずはマーク指示動画に従ってマーキングをしました。ここで意識していたのは、マーキングをしながらその箇所を読み流すことで、全範囲を軽く一周しようとしたことです。こうすることで、記憶対象を絞り込みながら全体を一周できたため、マーキングもただの作業にならず有意義なものになりました。
講義で学んだことの書き込みやマーキングは、テキストではなく論証集にしていました。テキストに書き込む→論証集に一元化するという工程を踏む時間がなかったためです。テキストは講義の際に適宜参照するのみにとどめました。また、もともとメジャーな基本書をベースにしたwordの一元化教材を先輩から譲り受け使用していたのですが、講義や論証集で学んだことは全てその教材に最終的に一元化していました(基礎問題演習講座も同様)。
受講方法については、受講開始が直前期であったこともあり、効率を重視してとにかく早く一周しようと考えたこともありました。しかし、せっかく受講するからにはすべてを吸収したいという思いや、自分のやや完璧主義的な性格もあり、動画を逐一止めてでも、講義は全て漏らさず理解することを意識していました。上記一元化作業も含めるとかなり時間はかかってしまい、直前期の勉強法としてはあまり褒められたものではないのかもしれませんが、結果受かっているのでこれでよかったのだと思っています。
基礎問題演習講座
問題演習というよりも、各科目・論点の処理手順や加藤先生の問題への取り組み方を学ぶ目的で受講を決めたので、事前に答案構成はおろか問題文を読むことすらせず、講義を受けていました。
講義は想像をはるかに上回るクオリティで、非常に勉強になりました。分野論点単位の処理手順の解説にとどまらず、問題文の読み方から着眼点、採点官に理解が伝わる文章表現の仕方など、答案の書き方の全てを教えていただきました。特に行政法については、苦手にしている受験生が多いであろう個別法の読み解き方まで懇切丁寧に説明していただき、苦手意識を払拭することができました。
リリース初年度ということもあり私が受講を決めたときには口コミなどはなかったのですが、本当にお勧めできる講座です。
憲法
比較的マイナー分野とされている生存権から出題されましたが、総まくり講座を受けてそのまま使える論証を準備していたので、最低限守りの答案を書くことができました。
行政法
設問1⑴、設問2については過去問で頻出の分野からの出題であり、基礎問題演習講座で詳しく解説をしていただいていたため、処理手順について悩むことはほとんどなく、その分個別法や誘導の読み解きに多く時間を割くことができました。
民法
設問1⑵、設問2⑴、設問3で問われている論点は全て総まくり講座で学習したものでした。また、設問2⑵の損害賠償請求については講義中に過去問を用いて詳しく解説してくださっていたため、こちらも処理に悩むことなく本問固有の事情に気を配り解くことができました。
刑事訴訟法
設問1の領置は、「強制処分該当性→任意処分としての適法性」という通常の判断枠組みとは異なる判断手法が用いられることは基礎問題演習講座で学習済みだったので、あてはめに多くの時間を割くことができました。説問2についても、検察官の立証趣旨から推認過程を検討して適切な要証事実を導き伝聞非伝聞の結論を出す、という伝聞の問題全体に通じる適切な処理方法や、実況見分調書固有の処理方法を学習していたため、落ち着いて問題に取り組めました。
商法・刑法
これらの科目について講座は受講していないのですが、加藤先生のブログやYoutubeが非常に参考になりました。
商法についてはYoutubeで、受験生みんなが知っているにもかかわらず現場では気づけずに書けない論点の一つに、一人会社・一人株主を挙げられていました。このことを意識していたので、隠れた重要な論点として出題された本論点に気づくことができました。
刑法についても、学説対立の出題予想として業務執行妨害罪を挙げられており、設問3は十分に準備した状態で臨むことができました。また設問2についても、先生が公開されている過去問ランクのAランク問題を検討していれば容易に対応可能な問題でした。
加藤ゼミナールの講座にとどまらず、加藤先生が発信される情報は全て合格するうえで欠かせないものなので、くまなくチェックすることをお勧めします。
特にロースクールにいると、基本書や百選を読み、有名な演習書をこなすのが多数派の勉強スタイルなので、これがあたかも正しい勉強法だと錯覚してしまいがちです。しかし、絶対に正しいといえる勉強方法はないはず(あるのであれば全員合格しているはず)なので、自分に合う方法を取捨選択することが肝要だと思います。
私は百選すらまともに読んだことがないですし、市販の演習書もほとんど手を付けたことがありません。上記で述べたように、直前期に新しい講座に手を付け、かつ時間をかけてゆっくり受講することも、演習系の講座で問題文すら読まないで臨むことも、いわゆる「王道」の勉強法ではないのかもしれません。ですが、これが今年の司法試験に受かるための私なりの戦略でした。
とにかく試験に受かりさえすればよいので、そのために必要なことを自分なりに考えて勉強を進めていただけたらと思います。その一材料として、少しでもこの体験記が参考になれば幸いです。