M.T 様
神戸大学法学部 卒業
大阪大学法科大学院(既修) 卒業
令和5年司法試験 合格
総合 1030~1035点 155~160位
論文 515~520点 100~105位
公法系 135~140点(A、A)
民事系 185~190点(A、A、C)
刑事系 145~150点(A、A)
ロースクール入試は、他校の入門講座と短文事例問題集で乗り切りました。しかし、ただ論証を暗記したのみで、あてはめは「なんとなく」「それっぽく」書いているだけという状況でした。特に憲法については、形式面・答案の型は守れているものの、事例に応じた具体的検討をすることができておらず、受験した大学院のいずれでも低得点という状況でした。
そんな折、加藤先生が公開されていた予備試験憲法の参考答案及び解説をみる機会がありました。そこでは、厳格審査基準と中間審査基準とで規制目的の評価方法がどのように異なるか、手段審査はどのような観点から検討するか等、事案に即した具体的検討をするために必要なことが分かりやすく解説されており、目から鱗でした。他科目についても、事案の分析の仕方、科目特性を踏まえた書き方、現場での思考方法等、司法試験対策に向けた実践的な内容が充実しており、自分がまさに今必要としているものが書かれていると感じました。
そこで、加藤先生の教えを吸収していけば司法試験合格に近づくと思い、総まくり講座と過去問講座の受講を決めました。
加藤先生が指定されたランクに応じて濃淡をつけました。科目ごとの優先順位は、科目特性の強い順に、公法系→刑事系→民事系としました。
Aランクは、全科目で3周(ロースクールの授業で扱われたものは4周)しました。進め方は、1周目は時間を計って制限時間内に解く(①)→2周目は1時間くらいで丁寧な答案構成をつくる(②)→3周目は解説の読み込み・答案例の分析を行う(③)、というようなものでした。
まず、①の段階では、制限時間内にどれくらいの文字数を記述することができるか、自分の理解の言語化ができているか、現場思考問題に対して一応の論述ができるかといったことを確認する目的で起案を行いました。次に②では、規範はフルで論述し、簡潔にあてはめを行うという形で答案構成を行いました。これは、主に、論点抽出ができているか、正確な規範が再現できているかを確認する目的で行ったものです。そして③では、問題文中のどのような事実を考慮しているか、その事実を肯否いずれの方向の評価に用いているか、どのような評価文言を用いているかといった観点から答案例を分析し、それぞれにマーカーを引いていきました。その上で、当該規範のあてはめで使う事実群、評価文言として汎用性のあるキーワードを抽出・記憶していき、あてはめ力を高めていくことに徹しました。
Bランクは、基本的に2周行いました。もっとも、科目特性が特に強いと思った行政法と刑訴法は、Aランクの場合と同様の進め方で3周しました。
Cランクは、行政法、刑訴法、商法のみ1周し、民法や刑法は平成23年度以降のみ起案を行いました。単純に時間がなかったため、科目特性の強いものだけ優先的に1周しました。
論証集を一元化教材として使いました。総まくり講座や過去問講座で加藤先生が繰り返し重要とおっしゃっている内容、ロースクールで教わった内容、過去問を解いて気づいた点(特にあてはめの視点)等を論証集にまとめていきました。
そして、A・Bランク論点を重点的につぶしていきました。中でも、過去問の出題歴のある論点は優先度を高く設定し、繰り返し復習していました。また、Aランクは、充実したあてはめができるように考慮要素レベルの理解にも努めました。Cランクは、時間が少なかったことと、Aランク等の重要論点の書き方レベルで差がつくであろうと思っていたことから、問題意識レベルの理解をするにとどめました。
出題趣旨、採点実感の詳細な分析を踏まえて模範答案・解説が作成されているので、どのように記述すれば得点を最大化できるかを効率的に学べました。
参考答案が一つでなく、中位答案が示されていることも自分にとって大きなメリットであったと思います。模範答案と中位答案との比較を通して、どこを外したらだめなのか、どれを省略してもよいかといったことがわかるので、得点密度の高い答案イメージをつかむことができました。そのため、自分は筆力がある方ではないのですが、実際に本番では途中答案に終わった科目はなく、それぞれの科目で高い評価を得ることができたのだと思います。
憲法は、生存権の出題された年度の過去問がAランクとされていたこと、自身も生存権を予想論点としていたことから、論証集の内容をよく復習し理解できていたので、落ち着いて処理することができました。
行政法は、設問1で病院開設中止勧告事件判例との比較検討が出題されましたが、右判例について総まくり講座・過去問講座・論証集のいずれでも丁寧に解説されていたので、そのポイントを容易に想起できました。そのため、淡々と判例の内容を踏まえて、問題文の事情との異同を指摘し、理解を示せることができました。
また、準名宛人についての問題も論証集にAランクとして収録されており理解できていたので、落ち着いて個別法解釈を踏まえた論述を展開することができ、他の受験生と差をつけることができたと思います。
民法は、講座を通して、条文を指摘し、要件充足性の検討をしていく中で出現した論点を処理していくイメージをつかむことができていたので、採点者に評価される民法の答案を作ることができたと思います。
民訴法は、一番苦手意識があった科目でした。設問1から現場思考問題で解きにくさはありましたが、過去問講座を通して誘導通りに形式を守ることが重要であると学んでいたので、誘導に沿った流れで論述を展開し、なんとか守りの答案を作り上げることができたと思います。
刑法は、設問1は新形式ではありましたが、参考判例の知識を直前期に頭に入れていたので、総まくり論証集の規範をベースにして事例に即した規範を論証し、落ち着いて処理することができました。
また、設問2・3の多くの論点がAランクとして論証集に収録されていたので、淡々と規範提示→あてはめをしていくことができました。
刑訴法は、設問1・設問2共に、過去問で検討したことのあるものが大論点となっており、過去問講座、論証集の内容がとても役立ちました。
特に、任意処分の限界の論証は、あてはめを充実させることができました。過去問講座の参考答案の分析を通して、引用すべき事実、評価の際のキーワードは類型化できていたので、パズル感覚で問題文中の事実を引用し、淡々と評価していくだけでした。このことが、結果的に高い評価を得ることのできた要因だと思っています。
司法試験を実際に受験しその成績結果をみて、知識以上に「書き方」が大事である試験だということを改めて感じました。
加藤先生の圧倒的な研究に裏打ちされた各講座は、司法試験合格のための最良の手段の1つだと思います。
採点者に評価される「書き方」を習得すれば司法試験合格は近づくはずです。応援しております。