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刑法 罪数処理マニュアル

【刑法 罪数処理マニュアル】では、判例・学説の根拠がある罪数処理を網羅的に取り上げています。

目次もあるので、調べたい犯罪・事例に関する罪数処理を直ぐに確認することができます。

目 次

刑 法

第1章 総則
第2章 内乱に関する罪
第3章 外患に関する罪
第4章 国交に関する罪
第5章 公務の執行を妨害する罪
第6章 逃走の罪
第7章 犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪
第8章 騒乱の罪
第9章 放火及び失火の罪
第10章 出水及び水利に関する罪
第11章 往来を妨害する罪
第12章 住居を侵す罪
第13章 秘密を侵す罪
第14章 あへん煙に関する罪
第15章 飲料水に関する罪
第16章 通貨偽造の罪
第17章 文書偽造の罪
第18章 有価証券偽造の罪
第19章 印章偽造の罪
第19章の2 不正指令電磁的記録に関する罪
第20章 偽証の罪
第21章 虚偽告訴の罪
第22章 わいせつ、不同意性交等及び重婚の罪
第23章 賭博及び富くじに関する罪
第24章 礼拝所及び墳墓に関する罪
第25章 汚職の罪
第26章 殺人の罪
第27章 傷害の罪
第28章 過失傷害の罪
第29章 堕胎の罪
第30章 遺棄の罪
第31章 逮捕及び監禁の罪
第32章 脅迫の罪
第33章 略取、誘拐及び人身売買の罪
第34章 名誉に対する罪
第35章 信用及び業務に対する罪
第36章 窃盗及び強盗の罪
第37章 詐欺及び恐喝の罪
第38章 横領の罪
第39章 盗品等に関する罪
第40章 毀棄及び隠匿の罪

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律

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道路交通法

同法に移動する

薬物事犯

同法に移動する

 

刑 法

第1章 総則

第1条~第59条

第60条(共同正犯)

  • 甲と乙が共謀し、甲はAを、乙はBを傷害した(甲・乙の実行共同正犯)
    併合罪(最判昭53.2.16 基本刑法総論416頁)
  • 甲と乙が共謀し、甲がAとBを殺害した(乙の共謀共同正犯)
    併合罪(有力説1 基本刑法総論416頁)
    →狭義の共犯に関する最判昭57.2.17の趣旨を共謀共同正犯に及ぼす立場
    観念的競合(有力説2 基本刑法総論416頁)

第61条(教唆)

  • 1個の教唆行為により複数の正犯に偽証させた
    観念的競合(最判昭2.10.28 高橋刑法各論568頁)

第62条(幇助)

  • 1個の幇助行為により正犯が2個の覚せい剤取締法違反の罪(覚せい剤の密輸)を侵した
    観念的競合 (最判昭57.2.17 基本刑法総論415頁)

第63条~第76条

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第2章 内乱に関する罪

第77条(内乱)
第78条(予備及び陰謀)
第79条(内乱等幇助)
第80条(自首による刑の免除)

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第3章 外患に関する罪

第81条(外患誘致)
第82条(外患援助)
第83条~第86条 削除
第87条(未遂罪)
第88条(予備及び陰謀)
第89条 削除

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第4章 国交に関する罪

第90条、第91条 削除
第92条(外国国章損壊等)
第93条(私戦予備及び陰謀)
第94条(中立命令違反)

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第5章 公務の執行を妨害する罪

第95条(公務執行妨害及び職務強要)

  • 公務執行妨害罪の手段として暴行、脅迫を行った
    包括一罪 暴行罪脅迫罪は公務執行妨害罪に吸収(通説 基本刑法各論p492)
  • 職務強要罪の手段として暴行、脅迫を行った
    包括一罪 職務強要罪は公務執行妨害罪に吸収(通説 基本刑法各論p501)
  • 強要罪及び職務強要罪に該当する行為を行った
    包括一罪 強要罪は職務強要罪に吸収(通説 基本刑法各論p501)
  • 公務員の職務執行に対して暴行を加え、当該行為により傷害を負わせた
    観念的競合 公務執行妨害罪と傷害罪(大判明42.7.1 浅田刑法総論p497p.517)
  • 強要罪の義務のない行為の内容により恐喝罪、強盗罪、不同意性交等罪または職務強要罪が成立
    法条競合により恐喝罪、強盗罪、不同意性交等罪または職務強要罪が成立(通説 基本刑法各論p52)
  • 公務執行妨害罪と威力業務妨害罪が同時に成立する
    法条競合 公務執行妨害罪のみ成立(多数説 基本刑法各論p113)
  • 公務執行妨害を伴う騒乱罪に該当する行為を行った
    観念的競合
  • 公務執行妨害罪と騒乱罪(最判昭35.12.8  基本刑法各論p428 浅田刑法各論p333)
    公務員の数ではなく、妨害対象の公務の数で罪数が決まる(最大判昭26.5.16 基本刑法各論p492)

第96条(封印等破棄)

  • 1個の命令で差押えされた場合に複数の差押え対象物に妨害した
    封印等破棄罪一罪、裁判等の個数で決まる(高松高判昭278.30)
  • 財産犯に当たる行為が封印等破棄罪の実行行為にも該当する
    観念的競合 財産犯に当たる行為と封印等破棄罪(通説 浅田刑法各論p522)
  • 封印等破棄罪に加えて96条の2、96条の3も成立
    包括一罪 封印等破棄罪は96条の2、96条の3に吸収(通説 浅田刑法各論p522)

第96条の2(強制執行妨害目的財産損壊等)

  • 財産隠匿のために虚偽の登記申請で虚偽の登記がなされた
    観念的競合 公正証書原本不実記載罪と強制執行妨害目的財産損壊等罪(通説 浅田刑法各論p527)
  • 強制執行を免れる目的で建物を損壊した
    観念的競合 建造物損壊罪と強制執行妨害目的財産損壊等罪(通説 浅田刑法各論p527)
  • 封印等破棄罪に加えて96条の2、96条の3も成立
    包括一罪 封印等破棄罪は96条の2、96条の3に吸収(通説 浅田刑法各論p522)

第96条の3(強制執行行為妨害等)

  • 封印等破棄罪に加えて96条の2、96条の3も成立
    包括一罪 封印等破棄罪は96条の2、96条の3に吸収(通説 浅田刑法各論p522)

第96条の4(強制執行関係売却妨害)
第96条の5(加重封印等破棄等)
第96条の6(公契約関係競売等妨害)

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第6章 逃走の罪

第97条(逃走)
第98条(加重逃走)
第99条(被拘禁者奪取)
第100条(逃走援助)
第101条(看守者等による逃走援助)
第102条(未遂罪)

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第7章 犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪

第103条(犯人蔵匿等)

  • 同一の犯人を蔵匿し隠避させた
    包括一罪(構成要件上の包括)犯人蔵匿・隠避罪(大判明43.4.25 基本刑法各論p422)
  • 同一事件の共犯数人を一つの行為で蔵匿等した
    観念的競合 犯人ごとに一罪成立(最判昭35.3.17 基本刑法各論p517)

第104条(証拠隠滅等)

  • 証拠を隠滅する目的で他人所有の証拠物を毀損した
    観念的競合 器物損壊罪と証拠隠滅等罪(通説 基本刑法各論p523)
  • 参考人が出頭するのを妨害する目的で同人を殺害した
    観念的競合 殺人罪と証拠隠滅等罪(通説 基本刑法各論p523)
  • 参考人が出頭するのを妨害する目的で同人を逮捕監禁した
    観念的競合 逮捕監禁罪と証拠隠滅等罪(通説 基本刑法各論p523)

第105条(親族による犯罪に関する特例)

第105条の2(証人等威迫)

  • 面会の強請が脅迫、強要に該当する
    観念的競合 脅迫罪、強要罪と証人等威迫罪(通説 基本刑法各論p534)
  • 虚偽の証言をするように強請した
    観念的競合 偽証罪の教唆犯と証人等威迫罪(通説 基本刑法各論p534)
  • 面会の強請後、強談威迫の行為を行った
    包括一罪(通説 基本刑法各論p534)

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第8章 騒乱の罪

第106条(騒乱)

  • 暴行、脅迫を伴う騒乱罪に該当する行為を行った
    包括一罪 暴行罪脅迫罪は騒乱罪に吸収(通説 基本刑法各論p428 浅田刑法各論p333)
  • 建造物侵入を伴う騒乱罪に該当する行為を行った
    観念的競合 建造物侵入罪と騒乱罪(最判昭35.12.8 基本刑法各論p428 浅田刑法各論p333)
  • 建造物損壊を伴う騒乱罪に該当する行為を行った
    観念的競合 建造物損壊罪と騒乱罪(最判昭35.12.8 基本刑法各論p428 浅田刑法各論p333)
  • 公務執行妨害を伴う騒乱罪に該当する行為を行った
    観念的競合 公務執行妨害罪と騒乱罪(最判昭35.12.8 基本刑法各論p428 浅田刑法各論p333)
  • 放火を伴う騒乱罪に該当する行為を行った
    観念的競合 放火罪と騒乱罪(東京地判昭52.9.13 浅田刑法各論p346)

第107条(多衆不解散)

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第9章 放火及び失火の罪

第108条(現住建造物等放火)

  • 他人の住居に侵入し、放火した
    牽連犯 住居侵入罪と放火罪(大判昭7.5.25 基本刑法総論p429)
  • 他人の住宅に放火し、近隣の住宅も全焼させた
    包括一罪(単一行為同質的)(通説 基本刑法p419 基本刑法各論p364)
  • 一個の放火により、現住建造物、非現住建造物及び建造物以外を焼損した
    包括一罪 非現住建造物放火罪及び建造物以外放火罪は現住建造物放火罪に吸収(大判昭8.4.25 浅田刑法各論p346)
  • 現住建造物を焼損させる目的で非現住建造物ないし建造物以外に放火したが、当該現住建造物を焼損させるに至らなかった
    現住建造物放火未遂罪一罪(浅田刑法各論p346)
  • 居住者を殺害するために放火した
    観念的競合 殺人罪と現住建造物等放火罪(東京地判平2.5.15)
  • 建造物内で他人を殺害し、隠ぺいのため放火した
    併合罪 殺人罪と放火罪(通説 浅田刑法各論p346)
  • 現住建造物等に放火し人を過失で死傷させた
    包括一罪、現住建造物等放火一罪(熊本地判44.10.28 東京高判平27.12.15)
    または
    観念的競合 現住建造物等放火罪と過失死傷罪(東京地判平27.7.1 浅田刑法各論p347)
  • 放火を伴う騒乱罪に該当する行為を行った
    観念的競合 放火罪と騒乱罪(東京地判昭52.9.13 浅田刑法各論p346)
  • 放火し、消火妨害行為をした
    包括一罪 消火妨害罪は放火罪に吸収(大阪高判平元.11.9 浅田刑法各論p355)

第109条(非現住建造物等放火)

  • 保険金目的で放火し、保険金を詐取した
    併合罪 放火罪と詐欺罪(大判昭5.12.12 基本刑法総論p429)
  • 一人暮らしの他人を殺害し、その後被害者の住居に放火した
    併合罪 殺人罪と非現住建造物等放火(通説 基本刑法各論p369)
  • 一個の放火により、現住建造物、非現住建造物及び建造物以外を焼損した
    包括一罪 非現住建造物放火罪及び建造物以外放火罪は現住建造物放火罪に吸収(大判昭8.4.25  浅田刑法各論p346)

第110条(建造物等以外放火)

  • 一個の放火により、現住建造物、非現住建造物及び建造物以外を焼損した
    包括一罪 非現住建造物放火罪及び建造物以外放火罪は現住建造物放火罪に吸収(大判昭8.4.25 浅田刑法各論p346)

第111条(延焼)
第112条(未遂罪)
第113条(予備)

第114条(消火妨害)

  • 放火し、消火妨害行為をした
    包括一罪 消火妨害罪は放火罪に吸収(大阪高判平元.11.9 浅田刑法各論p355)
  • 失火させ、消火妨害行為をした
    併合罪 失火罪と消火妨害罪(通説 浅田刑法各論p355)

第115条(差押え等に係る自己の物に関する特例)

第116条(失火)

  • 失火させ、消火妨害行為をした
    併合罪 失火罪と消火妨害罪(通説 浅田刑法各論p355)

第117条(激発物破裂)

第117条の2(業務上失火等)

  • 業務上失火によって他人を死傷させた
    観念的競合 業務上失火罪と業務上過失致死罪(通説 浅田刑法各論p358)

第118条(ガス漏出等及び同致死傷)

  • ガス漏出等により複数の被害者が発生した
    観念的競合 ガス漏出等及び同致死傷(通説 浅田刑法各論p360)

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第10章 出水及び水利に関する罪

第119条(現住建造物等浸害)
第120条(非現住建造物等浸害)
第121条(水防妨害)

第122条(過失建造物等浸害)

  • 過失により出水させて建造物等を浸害し、他人に死傷が生じた
    観念的競合 (業務上)過失致死傷罪と過失建造物等浸害罪(通説 浅田刑法各論p364)

第123条(水利妨害及び出水危険)

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第11章 往来を妨害する罪

第124条(往来妨害及び同致死傷)
第125条(往来危険)

第126条(汽車転覆等及び同致死)

  • 殺意を持って汽車を転覆等させ、よって他人を死亡させた
    観念的競合 殺人罪と汽車転覆等致死(大判大7.11.25)
    ..または
    汽車転覆等致死一罪(通説 基本刑法各論p.434)

第127条(往来危険による汽車転覆等)
第128条(未遂罪)
第129条(過失往来危険)

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第12章 住居を侵す罪

第130条(住居侵入等)

  • 他人の住居に侵入し、同人を殺害した
    牽連犯 住居侵入罪と殺人罪(最決昭29.5.27 基本刑法p429)
  • Aの住居に侵入し、A,Bを順次殺害した
    牽連犯、かすがい現象 住居侵入罪と殺人罪(最決昭29.5.27 基本刑法総論p429)
  • 他人の住居に侵入し、強盗を行った
    牽連犯 住居侵入罪と強盗罪(最判昭24.11.22 基本刑法総論p429)
  • 他人の住居に侵入し、窃盗を行った
    牽連犯 住居侵入罪と窃盗罪(大判大6.2.26 基本刑法総論p429)
  • 他人の住居に侵入し、不同意性交を行った
    牽連犯 住居侵入罪と不同意性交等罪(大判昭7.5.12 基本刑法総論p.429)
  • 他人の住居に侵入し、同人を傷害した
    牽連犯 住居侵入罪と傷害罪(大判明44.11.16 基本刑法総論p429)
  • 他人の住居に侵入し、放火した
    牽連犯 住居侵入罪と放火罪(大判昭7.5.25 基本刑法総論p429)
  • 殺人予備や強盗予備の目的で住居に侵入した
    観念的競合 殺人予備罪または強盗予備罪と住居侵入罪(通説 基本刑法各論p87 大判明44.12.25 浅田刑法各論p27)
  • 侵入罪が成立した後、退去しないで滞留した
    包括一罪 不退去罪が侵入罪に吸収(最決昭31.8.22 基本刑法各論p93)
  • 建造物侵入を伴う騒乱罪に該当する行為を行った
    観念的競合 建造物侵入罪と騒乱罪(最判昭35.12.8 基本刑法各論p428 浅田刑法各論p333)

第131条 削除
第132条(未遂罪)

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第13章 秘密を侵す罪

第133条(信書開封)
第134条(秘密漏示)
第135条(親告罪)

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第14章 あへん煙に関する罪

第136条(あへん煙輸入等)
第137条(あへん煙吸食器具輸入等)
第138条(税関職員によるあへん煙輸入等)
第139条(あへん煙吸食及び場所提供)
第140条(あへん煙等所持)
第141条(未遂罪)

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第15章 飲料水に関する罪

第142条(浄水汚染)
第143条(水道汚染)
第144条(浄水毒物等混入)
第145条(浄水汚染等致死傷)
第146条(水道毒物等混入及び同致死)
第147条(水道損壊及び閉塞)

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第16章 通貨偽造の罪

第148条(通貨偽造及び行使等)

  • 行使の目的で通貨を偽造し、流通に置いた
    牽連犯 通貨偽造罪及び同行使罪 (通説 基本刑法各論p440 浅田刑法各論p439)
  • 偽造通貨を用いて商品を購入した
    包括一罪(随伴行為)詐欺罪は通貨偽造及び行使等罪に吸収(通説 基本刑法各論p440 浅田刑法各論p439)
  • 偽造通貨であることを知って習得後行使した
    牽連犯 偽造通貨等収得罪と偽造通貨行使罪(通説 基本刑法各論p441)

第149条(外国通貨偽造及び行使等)

第150条(偽造通貨等収得)

  • 偽造通貨であることを知ってこれを習得後行使した
    牽連犯 偽造通貨等収得罪と偽造通貨行使罪(通説 基本刑法各論p441 浅田刑法各論p441)
  • 偽造通貨であることを知ってこれを窃取した
    観念的競合 偽造通貨等収得罪と窃盗罪(通説 基本刑法各論p441)
  • 偽造通貨であることを知ってこれを詐取した
    観念的競合 偽造通貨等収得罪と詐欺罪(通説 基本刑法各論p441)

第151条(未遂罪)

第152条(収得後知情行使等)

  • 偽造通貨と知った後に行使・交付した
    収得後知情行使等一罪 詐欺罪は成立しない(通説 基本刑法各論p441)

第153条(通貨偽造等準備)

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第17章 文書偽造の罪

第154条(詔書偽造等)

第155条(公文書偽造等)

  • 公文書偽造をして同文書を行使した
    牽連犯 公文書偽造罪と同行使罪(大判明42.7.27 基本刑法各論p429)
  • 印章・署名を偽造し、それを使用して公文書を偽造した
    包括一罪 公印偽造及び不正使用等は公文書偽造罪に吸収(通説 基本刑各論p404 浅田刑法各論p412)

第156条(虚偽公文書作成等)

第157条(公正証書原本不実記載等)

  • 公正証書原本不実記載をして同文書を行使した
    牽連犯 公正証書原本不実記載罪と同行使罪(最決昭42.8.28 浅田刑法各論p417)
  • 虚偽の申立てにより不実の記載がなされた免状等を交付させた
    公正証書原本不実記載等一罪、詐欺罪は成立しない(最判昭27.12.25 基本刑法各論p406 浅田刑法各論p417)
  • 財産隠匿のために虚偽の登記申請で虚偽の登記がなされた
    観念的競合 公正証書原本不実記載罪と強制執行妨害目的財産損壊等罪(通説 浅田刑法各論p527)

第158条(偽造公文書行使等)

  • 公文書偽造をして同文書を行使した
    牽連犯 公文書偽造罪と同行使罪(大判明42.7.27 基本刑法総論p429)
  • 公正証書原本不実記載をして同文書を行使した
    牽連犯公正証書原本不実記載罪と同行使罪(最決昭42.8.28 浅田刑法各論p417)
  • 偽造公文書を行使し、詐欺に及んだ
    牽連犯 公文書偽造罪、同行使罪と詐欺罪(大判明44.11.10 浅田刑法総論p504 )

第159条(私文書偽造等)

  • 偽造私文書を行使し、詐欺に及んだ
    牽連犯 私文書偽造罪、同行使罪と詐欺罪(大判明42.1.22 浅田刑法総論p504)
  • 私文書偽造をして同文書を行使した
    牽連犯 私文書偽造罪と同行使罪(通説 基本刑法総論p429)
  • 偽造文書を行使して横領した
    牽連犯 文書偽造同行使罪と横領罪(通説 基本刑法各論p283)
  • 横領を隠ぺいするために文書を偽造して行使した
    併合罪 横領罪と文書偽造同行使罪(通説 基本刑法各論p283)

第160条(虚偽診断書等作成)

第161条(偽造私文書等行使)

  • 偽造私文書を行使し、詐欺に及んだ
    牽連犯 私文書偽造罪、同行使罪と詐欺罪(大判明42.1.22 浅田刑法総論p504)
  • 私文書偽造をして同文書を行使した
    牽連犯 私文書偽造罪と同行使罪(通説 基本刑法総論p429)
  • 偽造文書を行使して横領した
    牽連犯 文書偽造等行使罪と横領罪(通説 基本刑法各論p283)
  • 横領を隠ぺいするために文書を偽造して行使した
    併合罪 横領罪と文書偽造等行使罪(通説 基本刑法各論p283)

第161条の2(電磁的記録不正作出及び供用)

  • 電子計算機使用詐欺罪に当たる行為が同時に電磁的記録不正作出及び供用罪に該当する
    観念的競合 電子計算機使用詐欺罪、電磁的記録不正作出及び供用罪(通説 基本刑法各論p267)
  • 電磁的記録を不正作出し、これを供用した
    牽連犯 電磁的記録不正作出罪及び供用罪(通説 基本刑法各論p411)

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第18章 有価証券偽造の罪

第162条(有価証券偽造等)
第163条(偽造有価証券行使等)

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第18章の2 支払用カード電磁的記録に関する罪

第163条の2(支払用カード電磁的記録不正作出等)

  • 支払用カード電磁的記録を不正作出し、これを供用した
    牽連犯 支払用カード電磁的記録不正作出罪と支払用カード電磁的記録不正供用罪
    (通説 浅田刑法各論p458)

第163条の3(不正電磁的記録カード所持)
第163条の4(支払用カード電磁的記録不正作出準備)
第163条の5(未遂罪)

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第19章 印章偽造の罪

第164条(御璽偽造及び不正使用等)

第165条(公印偽造及び不正使用等)

  • 印章・署名を偽造し、これを使用して公文書を偽造した
    包括一罪 公印偽造及び不正使用等は公文書偽造罪に吸収(通説 基本刑各論各論p404)

第166条(公記号偽造及び不正使用等)
第167条(私印偽造及び不正使用等)
第168条(未遂罪)

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第19章の2 不正指令電磁的記録に関する罪

第168条の2(不正指令電磁的記録作成等)

  • コンピューターウイルスを作成し、実行の用に供した、または提供し、実行の用に供した
    牽連犯 不正指令電磁的記録作成(提供)罪と不正指令電磁的記録供用罪(通説 浅田刑法各論p433)

第168条の3(不正指令電磁的記録取得等)

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第20章 偽証の罪

第169条(偽証)

  • 裁判所を欺いて勝訴判決を得るために偽証をした
    牽連犯 偽証罪と詐欺罪(大審院大2.1.24 浅田刑法総論p504)
  • 一個の尋問手続中に複数の虚偽の陳述をした
    包括一罪 偽証罪一罪(通説 浅田刑法各論p555)

第170条(自白による刑の減免)
第171条(虚偽鑑定等)

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第21章 虚偽告訴の罪

第172条(虚偽告訴等)

  • 1通の告訴状で複数の虚偽告訴をした
    包括一罪 虚偽告訴罪一罪(大判明45.7.1 通説 浅田刑法各論p560)
  • 1通の告訴状で数人に対する虚偽告訴をした
    観念的競合 人数に応じた虚偽告訴罪(大判明42.10.14 通説 浅田刑法各論p560)

第173条(自白による刑の減免)

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第22章 わいせつ、不同意性交等及び重婚の罪

第174条(公然わいせつ)

  • 不同意わいせつ行為を公然と行った
    観念的競合 不同意わいせつ罪と公然わいせつ罪(大判明43.11.17 基本刑法各論p74,453)

第175条(わいせつ物頒布等)

  • わいせつ物を反復して販売した
    包括一罪(集合犯)わいせつ物頒布罪(福岡高判昭27.2.15 基本刑法p421 浅田刑法各論p473)
  • わいせつ物を有償頒布目的で所持した
    包括一罪 所持罪が頒布罪に吸収(最判昭40.12.23 浅田刑法各論p473)

第176条(不同意わいせつ)

  • 不同意わいせつ行為を公然と行った
    観念的競合 不同意わいせつ罪と公然わいせつ罪(大判明43.11.17 基本刑法各論p74,453)
  • 同一の被害者に対して接着して不同意わいせつ及び不同意性交等を行った
    包括一罪 不同意わいせつが不同意性交等に吸収(東京地判平1.10.31 基本刑法各論p76)
  • 特別公務員暴行陵虐が不同意わいせつ罪、不同意性交等罪に該当する行為に該当する
    観念的競合 特別公務員暴行陵虐罪と不同意わいせつ罪ないし不同意性交等罪(通説 基本刑法各論p556)

第177条(不同意性交等)

  • 男女のうち、男を監禁し、女を不同意性交した
    併合罪 監禁罪と不同意性交罪(最判昭24.7.12 基本刑法総論p429)
  • 他人の住居に侵入し、不同意性交を行った
    牽連犯 住居侵入罪と不同意性交等罪(大判昭7.5.12 基本刑法総論p429)
  • 強要罪の義務のない行為の内容により恐喝罪、強盗罪、不同意性交等罪または職務強要罪が成立
    法条競合により恐喝罪、強盗罪、不同意性交等罪または職務強要罪が成立(通説 基本刑法各論p52)
  • 同一の被害者に対して接着して不同意わいせつ及び不同意性交等を行った
    包括一罪 不同意わいせつが不同意性交等に吸収(東京地判平1.10.31 基本刑法各論p76)
  • 特別公務員暴行陵虐が不同意わいせつ罪、不同意性交等罪に該当する行為に該当する
    観念的競合 特別公務員暴行陵虐罪と不同意わいせつ罪ないし不同意性交等罪(通説 基本刑法各論p556)

第178条 削除
第179条(監護者わいせつ及び監護者性交等)
第180条(未遂罪)

第181条(不同意わいせつ等致死傷)

  • 殺意をもって不同意性交等をしつつ殺害した
    観念的競合 殺人罪と不同意性交等致死罪(最判昭31.10.25 浅田刑法各論p133)

第182条(16歳未満の者に対する面会要求等)
第183条(淫行勧誘)
第184条(重婚)

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第23章 賭博及び富くじに関する罪

第185条(賭博)

第186条(常習賭博及び賭博場開張等図利)

  • 常習賭博者が4回にわたって賭博行為をした
    包括一罪(集合犯)常習賭博罪(最判昭26.4.10 基本刑法総論p421)
  • 賭博者が自ら開帳した
    併合罪 賭博罪と賭博場開張等図利罪(通説 基本刑法各論p458)

第187条(富くじ発売等)

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第24章 礼拝所及び墳墓に関する罪

第188条(礼拝所不敬及び説教等妨害)
第189条(墳墓発掘)

第190条(死体損壊等)

  • 他人を殺害し、同人の死体を遺棄した
    併合罪 殺人罪と死体遺棄罪(大判昭9.2.2 基本刑法総論p429 大判明43.11.1 浅田刑法各論p25)
  • 他人を傷害しこれにより死亡させ、同人の死体を遺棄した
    併合罪 傷害致死罪と死体遺棄罪(最判昭34.2.19 基本刑法各論p460)
  • 納棺物を領得した
    死体等領得罪一罪、盗品等関与罪などの財産罪は成立しない(大判大4.6.24 基本刑法各論p460)

第191条(墳墓発掘死体損壊等)
第192条(変死者密葬)

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第25章 汚職の罪

第193条(公務員職権濫用)
第194条(特別公務員職権濫用)

第195条(特別公務員暴行陵虐)

  • 特別公務員暴行陵虐が不同意わいせつ罪、不同意性交等罪に該当する行為に該当する
    観念的競合 特別公務員暴行陵虐罪と不同意わいせつ罪ないし不同意性交等罪(通説 基本刑法各論p556)

第196条(特別公務員職権濫用等致死傷)

第197条(収賄、受託収賄及び事前収賄)

  • 公務員が恐喝行為により職務に関し賄賂を収受した
    観念的競合 恐喝罪と収賄罪(福岡高判昭44.12.18 基本刑法各論p273)
  • 賄賂を要求しまたは約束して、収受した
    包括一罪 収賄罪(大判昭10.10.23 基本刑法各論p454)

第197条の2(第三者供賄)

第197条の3(加重収賄及び事後収賄)

  • 収賄後の不正な職務行為が他の犯罪を構成する
    観念的競合 他の犯罪と収賄後枉法罪(最決昭31.7.12 浅田刑法各論p582)
  • 他の犯罪を構成する不正な職務行為を行った後、収賄した
    併合罪 他の犯罪と枉法後収賄罪(最決32.12.5 浅田刑法各論p582)

第197条の4(あっせん収賄)
第197条の5(没収及び追徴)

第198条(贈賄)

  • 一個の行為で複数の公務員に対して贈賄した
    観念的競合 贈賄罪(通説 浅田刑法各論p586)

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第26章 殺人の罪

第199条(殺人)

  • 1個の爆弾の投下で数人を殺害した
    観念的競合 殺害した人数に応じた数個の殺人罪(通説 浅田刑法総論p497)
  • 他人の住居に侵入し、同人を殺害した
    牽連犯 住居侵入罪と殺人罪(最決昭29.5.27 基本刑法総論p429)
  • Aの住居に侵入し、A,Bを順次殺害した
    牽連犯、かすがい現象 住居侵入罪と殺人罪(最決昭29.5.27 基本刑法総論p429)
  • 他人を殺害し、同人の死体を遺棄した
    併合罪 殺人罪と死体遺棄罪(大判昭9.2.2 基本刑法総論p429 大判明43.11.1 浅田刑法各論p25)
  • 他人を殺害するために包丁を購入し、翌日、当該包丁で他人を殺害した
    包括一罪(共罰的事前行為)殺人予備罪は殺人既遂罪に吸収(通説 基本刑法総論p423)
  • 一人を殺す意思でなされた殺人予備罪、殺人未遂罪、殺人既遂罪(約5か月5回にわたって毒殺を試みて失敗し、結局首を絞めて殺害)
    包括一罪(既遂に向けられた複数行為)殺人予備罪及び殺人未遂罪は殺人既遂罪に吸収(大判昭13.12.23 基本刑法総論p420 基本刑法各論p10)
  • 胎児を早期に排出したが、生命機能を有していたため殺害した
    併合罪 堕胎罪と殺人罪(大判大11.11.28 基本刑法各論p16)
  • 一人暮らしの他人を殺害し、その後被害者の住居に放火した
    併合罪 殺人罪と非現住建造物等放火(通説  基本刑法各論p369)
  • 居住者を殺害するために放火した
    観念的競合 殺人罪と現住建造物等放火罪(東京地判平2.5.15)
  • 建造物内で他人を殺害し、隠ぺいのため放火した
    併合罪 殺人罪と放火罪(通説 浅田刑法各論p346)
  • 殺意を持って汽車を転覆等させ、よって他人を死亡させた
    観念的競合 殺人罪と汽車転覆等致死(大判大7.11.25)または汽車転覆等致死一罪(通説 基本刑法各論p434)
  • 参考人が出頭するのを妨害する目的で同人を殺害した
    観念的競合 殺人罪と証拠隠滅等罪(通説 基本刑法各論p523)
  • 殺意をもって不同意性交等をしつつ殺害した
    観念的競合 殺人罪と不同意性交等致死罪(最判昭31.10.25 刑法浅田各論p133)
  • 殺意を持って建物を倒壊させて人を死亡させた
    観念的競合 建造物損壊罪と殺人罪(通説 浅田刑法各論p319)

第200条 削除

第201条(予備)

  • 他人を殺害するために包丁を購入し、翌日、当該包丁で他人を殺害した
    包括一罪(共罰的事前行為)殺人予備罪は殺人既遂罪に吸収(通説 基本刑法p423 浅田刑法各論p27)
  • 拳銃を発射し他人の衣服を貫通し同人を殺害した
    包括一罪(単一行為異質的)器物損壊罪は殺人罪に吸収(通説 基本刑法総論p419)
  • 殺人予備や強盗予備の目的で住居に侵入した
    観念的競合 殺人予備罪または強盗予備罪と住居侵入罪(通説 基本刑法各論p87 大判明44.12.25 浅田刑法各論p27)

第202条(自殺関与及び同意殺人)

  • 人を教唆して自殺を決意させ、さらに嘱託を受けて人を殺した
    包括一罪、自殺教唆未遂罪は嘱託殺人罪に吸収(通説 基本刑法各論p11)

第203条(未遂罪)

  • 一人を殺す意思でなされた殺人予備罪、殺人未遂罪、殺人既遂罪(約5か月5回にわたって毒殺を試みて失敗し、結局首を絞めて殺害)
    包括一罪(既遂に向けられた複数行為)殺人予備罪及び殺人未遂罪は殺人既遂罪に吸収(大判昭13.12.23 基本刑法総論p420 基本刑法各論p10)

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第27章 傷害の罪

第204条(傷害)

  • 公務員の職務執行に対して暴行を加え、当該行為により傷害を負わせた
    観念的競合 公務執行妨害罪と傷害罪(大判明42.7.1 浅田刑法総論p497,517)
  • 恐喝の手段で相手方を傷害した
    観念的競合 恐喝罪と傷害罪(最判昭23.7.29 司短答H21-20 司短答R1-7)
  • 他人の住居に侵入し、同人に傷害を負わせた
    牽連犯 住居侵入罪と傷害罪(大判明44.11.16 基本刑法総論p429)
  • 他人を監禁中に別の原因から同人に対し暴行し、同人に傷害を負わせた
    併合罪 監禁罪と傷害罪(最決昭43.9.17 基本刑法総論p429 基本刑法各論p58)
  • 同一被害者に対し約4か月断続的反復した一連の暴行で傷害を負わせた
    包括一罪(接続犯・連続犯)傷害罪(最決平26.3.17 基本刑法総論p421)
  • 凶器準備集合及び結集罪と目的された傷害罪が成立する
    併合罪(公共危険罪説による)凶器準備集合、結集罪及び傷害罪(最決昭48.2.8 基本刑法各論p39)
  • 暴行または傷害の故意をもって建物を倒壊させて人を死傷させた
    観念的競合 建造物損壊罪と傷害(致死)罪(通説 浅田刑法各論p319)

第205条(傷害致死)

  • 他人を傷害しこれにより死亡させ、同人の死体を遺棄した
    併合罪 傷害致死罪と死体遺棄罪(最判昭34.2.19)

第206条(現場助勢)
第207条(同時傷害の特例)

第208条(暴行)

  • 暴行後に引き続き同内容の暴行を加える旨の脅迫をした
    包括一罪 脅迫罪は暴行罪に吸収(東京高判平7.9.26 基本刑法各論p50)
  • 手段として暴行または脅迫がなされ、強要罪が成立する
    法条競合により強要罪のみ成立(通説 基本刑法各論p52)
  • 逮捕監禁が未遂に終わった場合には、その手段であった暴行、脅迫につき暴行罪、脅迫罪が成立(通説 基本刑法各論p55)
    略取の手段として暴行、脅迫を行った
  • 包括一罪 暴行罪、脅迫罪が略取罪に吸収(通説 基本刑法各論p59)
    財物奪取以外の目的で暴行脅迫を加え反抗抑圧しその後財物奪取の意思により財物を得た(新たな暴行・脅迫なし)
    併合罪 暴行罪と窃盗罪(通説 基本刑法各論p167)
  • 暴行、脅迫を伴う騒乱罪に該当する行為を行った
    包括一罪 暴行罪脅迫罪は騒乱罪に吸収(通説 基本刑法各論p428 浅田刑法各論p333)
  • 公務執行妨害罪の手段として暴行、脅迫を行った
    包括一罪 暴行罪脅迫罪は公務執行妨害罪に吸収(通説 基本刑法各論p492)
  • 職務強要罪の手段として暴行、脅迫を行った
    包括一罪 職務強要罪は公務執行妨害罪に吸収(通説 基本刑法各論p501)

第208条の2(凶器準備集合及び結集)

  • 凶器準備集合及び結集罪と目的された傷害罪が成立する
    併合罪(公共危険罪説による)凶器準備集合、結集罪及び傷害罪(最決昭48.2.8 基本刑法各論p39)

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第28章 過失傷害の罪

第209条(過失傷害)

  • 現住建造物等に放火し人を過失で死傷させた
    包括一罪、現住建造物等放火一罪(熊本地判44.10.28 東京高判平27.12.15)
    または
    観念的競合 現住建造物等放火罪と過失死傷罪(東京地判平27.7.1 浅田刑法各論p347)
  • 過失により出水させて建造物等を浸害し、他人に死傷が生じた
    観念的競合 (業務上)過失致死傷罪と過失建造物等浸害罪(通説 浅田刑法各論p364)

第210条(過失致死)

第211条(業務上過失致死傷等)

  • 無免許運転罪と業務上過失致死罪(過失運転致死傷罪)
    併合罪 無免許運転罪と業務上過失致死罪(過失運転致死傷罪)(最決昭33.3.17 司短答H18-12)
  • 酒酔い運転罪と酒に酔って運転した過失による業務上過失致死罪(過失運転致死傷罪)
    併合罪 酒酔い運転罪と業務上過失致死罪(過失運転致死傷罪)(最大昭和49.5.29 浅田刑法総論p498)
  • 1件の交通事故で母体と胎児の双方が障害を負った
    観念的競合 業務上過失致死傷罪(過失運転致死傷罪)(鹿児島地判平15.9.2 基本刑法各論p19)
  • 各種行政取締法規違反の違反行為自体を業務上過失致死傷罪(過失運転致死傷罪)の行為と評価できる
    観念的競合 行政取締法規違反行為と業務上過失致死傷罪(過失運転致死傷罪)(通説 基本刑法各論p41)
  • 業務上失火によって他人を死傷させた
    観念的競合 業務上失火罪と業務上過失致死罪(通説 浅田刑法各論p358)

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第29章 堕胎の罪

第212条(堕胎)

  • 胎児を早期に排出したが、生命機能を有していたため殺害した
    併合罪 堕胎罪と殺人罪(大判大11.11.28 基本刑法各論p16)

第213条(同意堕胎及び同致死傷)

第214条(業務上堕胎及び同致死傷)

  • 被告人医師が出生した未熟児を放置して死亡させた
    併合罪 業務上堕胎罪と保護責任者遺棄致死罪(最決昭63.1.19 基本刑法各論p16)

第215条(不同意堕胎)
第216条(不同意堕胎致死傷)

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第30章 遺棄の罪

第217条(遺棄)

第218条(保護責任者遺棄等)

  • 被告人医師が出生した未熟児を放置して死亡させた
    併合罪 業務上堕胎罪と保護責任者遺棄致死罪(最決昭63.1.19 基本刑法各論p16)

第219条(遺棄等致死傷)

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第31章 逮捕及び監禁の罪

第220条(逮捕及び監禁)

  • 同時に同一場所で複数人を監禁した
    観念的競合 監禁罪(最大判昭28.6.17)
  • 男女のうち、男を監禁し、女を不同意性交した
    併合罪 監禁罪と不同意性交罪(最判昭24.7.12 基本刑法総論p429)
  • 恐喝の手段として監禁を行った
    併合罪 恐喝罪と監禁罪(最判平17.4.14 浅田刑法総論p504)
  • 他人を監禁中に別の原因から同人に対し暴行し、同人を傷害した
    併合罪 監禁罪と傷害罪(最決昭43.9.17 基本刑法総論p429 基本刑法各論p58)
  • 身代金目的で拐取した者を監禁し、拐取した者の安否を憂慮する者に対し身代金を要求した
    併合罪 監禁罪と身代金目的拐取罪・要求罪の牽連犯(最決昭58.9.27 基本刑法総論p429)
  • 同一の被害者を逮捕し引き続き監禁した
    包括一罪(構成要件上の包括)逮捕罪と監禁罪(最大判昭28.6.17 基本刑法総論p422)
  • 監禁中に監禁状態維持のためではなく別の原因から脅迫した
    併合罪 監禁罪と脅迫罪(最判昭28.11.27 基本刑法各論p50)
  • 人を略取して引き続いて監禁した
    牽連犯 略取罪と監禁罪(通説 基本刑法各論p55)
  • 逮捕監禁が未遂に終わった場合
    手段であった暴行、脅迫につき暴行罪、脅迫罪が成立(通説 基本刑法各論p55)
  • 略取の手段として逮捕監禁を行った
    観念的競合 略取罪と逮捕監禁罪(通説 基本刑法各論p60)
  • 人を拐取して引き続いて監禁した
    併合罪 拐取罪と監禁罪(通説 基本刑法各論p60)
  • 参考人が出頭するのを妨害する目的で同人を逮捕監禁した
    観念的競合 逮捕監禁罪と証拠隠滅等罪(通説 基本刑法各論p523)
  • 強盗の手段を超え、強盗の際に監禁を行った
    併合罪 強盗罪と監禁罪(東京高判昭37.12.26 浅田刑法総論p221)

第221条(逮捕等致死傷)

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第32章 脅迫の罪

第222条(脅迫)

  • 監禁中に監禁状態維持のためではなく別の原因から脅迫した
    併合罪 監禁罪と脅迫罪(最判昭28.11.27 基本刑法各論p50)
  • 暴行後に引き続き同内容の暴行を加える旨の脅迫を行った
    包括一罪 脅迫罪は暴行罪に吸収(東京高判平7.9.26 基本刑法各論p50)
  • 手段として暴行または脅迫がなされ、強要罪が成立する
    法条競合により強要罪のみ成立(通説 基本刑法各論p52)
  • 逮捕・監禁が未遂に終わった場合
    その手段であった暴行、脅迫につき暴行罪、脅迫罪が成立(通説 基本刑法各論p55)
  • 略取の手段として暴行、脅迫を行った
    包括一罪 暴行罪、脅迫罪が略取罪に吸収(通説 基本刑法各論p59)
  • 暴行、脅迫を伴う騒乱罪に該当する行為を行った
    包括一罪 暴行罪脅迫罪は騒乱罪に吸収(通説 基本刑法各論p428)
  • 公務執行妨害罪の手段として暴行、脅迫を行った
    包括一罪 暴行罪脅迫罪は公務執行妨害罪に吸収(通説 基本刑法各論p492)
  • 職務強要罪の手段として暴行、脅迫を行った
    包括一罪 職務強要罪は公務執行妨害罪に吸収(通説 基本刑法各論p501)
  • 面会の強請が脅迫、強要に該当する
    観念的競合 脅迫罪、強要罪と証人等威迫罪(通説 基本刑法各論p534)

第223条(強要)

  • 手段として暴行または脅迫がなされ、強要罪が成立する
    法条競合により強要罪のみ成立(通説 基本刑法各論p52)
  • 強要罪及び職務強要罪に該当する
    包括一罪 強要罪は職務強要罪に吸収(通説 基本刑法各論p501)
  • 強要罪の義務のない行為の内容により恐喝罪、強盗罪、不同意性交等罪または職務強要罪が成立
    法条競合により恐喝罪、強盗罪、不同意性交等罪または職務強要罪が成立(通説 基本刑法各論p52)
  • 面会の強請が脅迫、強要に該当する
    観念的競合 脅迫罪、強要罪と証人等威迫罪(通説 基本刑法各論p534)

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第33章 略取、誘拐及び人身売買の罪

第224条(未成年者略取及び誘拐)

  • 未成年者を営利目的で誘拐した
    包括一罪 未成年拐取罪は営利目的拐取罪に吸収(通説 基本刑法各論p63)

第225条(営利目的等略取及び誘拐)

  • 未成年者を営利目的で誘拐した
    包括一罪 未成年拐取罪は営利目的拐取罪に吸収(通説 基本刑法各論p63)
  • わいせつ目的で誘拐し、その後営利目的で居所を移動させた
    包括一罪(大判大13.12.12  浅田刑法各論p105)
  • わいせつ目的で拐取して不同意性交等を行った
    牽連犯 営利目的等拐取罪と不同意性交等罪(通説 基本刑法各論p63)
  • わいせつ・結婚目的及び身の代金目的で拐取した
    観念的競合 営利目的等拐取罪と身の代金目的拐取罪(通説 基本刑法各論p64)
  • 営利目的及び身の代金目的で拐取した
    法条競合 営利目的拐取罪と身の代金目的略取等(通説 基本刑法各論p64)
  • 身の代金目的以外の目的で拐取し、拐取した者の安否を憂慮する者に対し身代金を要求した
    併合罪 営利目的等拐取罪と身の代金要求罪 (最決昭57.11.29 基本刑法各論p66 浅田刑法各論p112)

第225条の2(身の代金目的略取等)

  • 同一の犯人が、身の代金目的で拐取し、拐取した者の安否を憂慮する者に対し身代金を要求した
    牽連犯 身の代金目的拐取罪と身の代金要求罪(最決昭58.9.27 基本刑法総論p429 浅田刑法各論p112)
  • 身の代金目的以外の目的で拐取し、拐取した者の安否を憂慮する者に対し身代金を要求した
    併合罪 営利目的等拐取罪と身の代金要求罪(最決昭57.11.29 基本刑法各論p66 浅田刑法各論p112)
  • 身の代金目的で拐取した者を監禁し、拐取した者の安否を憂慮する者に対し身代金を要求した
    併合罪 監禁罪と身代金目的拐取罪・要求罪の牽連犯(最決昭58.9.27 基本刑法総論p429)
  • 人を略取して引き続いて監禁した
    牽連犯 略取罪と監禁罪(通説 基本刑法各論p55)
  • 略取の手段として暴行、脅迫を行った
    包括一罪 暴行罪、脅迫罪が略取罪に吸収(通説 基本刑法各論p59)
  • 略取の手段として逮捕監禁を行った
    観念的競合 略取罪と逮捕監禁罪(通説 基本刑法各論p60)
  • 人を拐取して引き続いて監禁した
    併合罪 拐取罪と監禁罪(通説 基本刑法各論p60)
  • わいせつ・結婚目的及び身の代金目的で拐取した
    観念的競合 営利目的等拐取罪と身の代金目的拐取罪(通説 基本刑法各論p64)
  • 営利目的及び身代金目的で拐取した
    法条競合 営利目的拐取罪と身の代金目的略取等(通説 基本刑法各論p64)

第226条(所在国外移送目的略取及び誘拐)
第226条の2(人身売買)
第226条の3(被略取者等所在国外移送)
第227条(被略取者引渡し等)
第228条(未遂罪)
第228条の2(解放による刑の減軽)
第228条の3(身の代金目的略取等予備)
第229条(親告罪)

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第34章 名誉に対する罪

第230条(名誉毀損)
第230条の2(公共の利害に関する場合の特例)
第231条(侮辱)
第232条(親告罪)

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第35章 信用及び業務に対する罪

第233条(信用毀損及び業務妨害)

  • 同一の行為が業務を妨害するとともに背任に該当する
    観念的競合 業務妨害罪と背任罪(通説 基本刑法各論p112)
  • 偽計及び威力を用いて他人の業務を妨害した
    単純一罪 233条と234条(通説 基本刑法各論p112)

第234条(威力業務妨害)

  • 同一の行為が業務を妨害するとともに背任に該当する
    観念的競合 業務妨害罪と背任罪(通説 基本刑法各論p112)
  • 公務執行妨害罪と威力業務妨害罪が同時に成立する
    法条競合 公務執行妨害罪のみ成立(多数説 基本刑法各論p113)
  • 偽計及び威力を用いて他人の業務を妨害した
    単純一罪 233条と234条(通説 基本刑法各論p112)

第234条の2(電子計算機損壊等業務妨害)

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第36章 窃盗及び強盗の罪

第235条(窃盗)

  • 他人に対し窃盗を教唆し、同人のために盗品の有償処分をあっせんした
    併合罪 窃盗罪の教唆犯と盗品等有償処分あっせん罪(最判昭24.7.30 浅田刑法総論p504)
  • 他人に対し窃盗を教唆し、同人から盗品を譲り受けた
    併合罪 窃盗罪の教唆犯と盗品等有償譲受け罪(大判大4.4.29 最判昭24.7.30 基本刑法各論p348)
  • 他人の住居に侵入し、窃盗を行った
    牽連犯 住居侵入罪と窃盗罪(大判大6.2.26 基本刑法総論p429)
  • 他人の銀行通帳を窃取し、これを用いて銀行員を欺き、現金を引き出した
    併合罪 窃盗罪と詐欺罪(最判昭25.2.24 基本刑法各論p237 浅田刑法総論p504)
  • 覚せい剤取引を装い被害者をホテルの部屋に呼びつけたが、代金を支払わないまま逃走し、共犯者が同人を殺害しようとしたが未遂に終わった
    包括一罪(混合的包括一罪)窃盗罪ないし詐欺罪と強盗未遂罪(最決昭61.11.18)
  • 自転車を盗んだ数日後に被害者がたまたま自転車を発見しこれを持ち帰ろうとしたところ、窃盗犯が被害者に暴行し取り返されるのを防ぎ逃走した
    包括一罪 窃盗罪は2項強盗罪に吸収(最決昭61.11.18 基本刑法各論p184)
  • 2時間の間に3回にわたり倉庫から玄米3俵ずつ窃取した
    包括一罪(接続犯・連続犯)窃盗罪(最判昭24.7.23 基本刑法総論p421)
  • 一人で占有している数人の所有物である数個の財物を全部窃取した
    単純一罪 窃盗罪(通説 基本刑法各論p128)
  • マンションに侵入し、同一の機会に各専有部分から財物を窃取した
    併合罪 数個の窃盗罪(通説 基本刑法各論p128)
  • 窃盗により得た財物を毀損した
    包括一罪(不可罰的事後行為)(司短答H22-16)
  • 窃盗により得た財物を売却した
    包括一罪(不可罰的事後行為)(予短答H24-8)
  • 窃盗で得た財物を自己の物のように偽って売却した
    併合罪 窃盗罪と併合罪(最判昭29.2.27 浅田刑法各論p210)
  • 居直り強盗、窃盗の意思で窃盗を行い、その後同一の被害者を暴行脅迫し別の財物を強取した
    包括一罪 窃盗罪は強盗罪に吸収(通説 基本刑法各論p161)
  • 財物奪取以外の目的で暴行脅迫を加え反抗抑圧しその後財物奪取の意思により財物を得た(新たな暴行・脅迫なし)
    併合罪 暴行罪と窃盗罪(通説 基本刑法各論p167)
  • 欺罔行為によりローンカードを交付させ、これを用いてATMから現金を引き出した
    併合罪 詐欺罪と窃盗罪(最決平14.2.8 基本刑法各論p238)
  • 偽造通貨であることを知ってこれを窃取した
    観念的競合 偽造通貨等収得罪と窃盗罪(通説 基本刑法総論p441)

第235条の2(不動産侵奪)

第236条(強盗)

  • 1個の暴行脅迫により数人から財物を強取した(刃物を数人に対して突きつけ同人らから同時に所持金を強取した)
    観念的競合 強盗罪(最判昭22.11.29 基本刑法各論p161)
  • 数個の暴行脅迫により一人から財物を強取した
    包括一罪 強盗罪(通説 基本刑法各論p161)
  • 短刀不法所持罪とその過程で行われた強盗罪
    併合罪 短刀不法所持罪と強盗罪(最判昭24.12.8 浅田刑法総論p504)
  • 他人の住居に侵入し、強盗を行った
    牽連犯 住居侵入罪と強盗罪(最判昭24.11.22 基本刑法総論p429)
  • 強盗の手段を超え、強盗の際に監禁を行った
    併合罪 強盗罪と監禁罪(東京高判昭37.12.26 浅田刑法総論p221)
  • 居直り強盗(窃盗の意思で窃盗を行い、その後同一の被害者を暴行脅迫し別の財物を強取した)
    包括一罪 窃盗罪は強盗罪に吸収(通説 基本刑法各論p161)
  • 覚せい剤取引を装い被害者をホテルの部屋に呼びつけたが、代金を支払わないまま逃走し、共犯者が同人を殺害しようとしたが未遂に終わった
    包括一罪(混合的包括一罪)窃盗罪ないし詐欺罪と強盗未遂罪(最決昭61.11.18)
  • 自転車を盗んだ数日後に被害者がたまたま自転車を発見しこれを持ち帰ろうとしたところ、窃盗犯が被害者に暴行し取り返されるのを防ぎ逃走した
    包括一罪 窃盗罪は2項強盗罪に吸収(最決昭61.11.18 基本刑法各論p184)
  • 強要罪の義務のない行為の内容により恐喝罪、強盗罪、不同意性交等罪または職務強要罪が成立する
    法条競合により恐喝罪、強盗罪、不同意性交等罪または職務強要罪が成立(通説 基本刑法各論p52)
  • 反抗抑圧に足る暴行脅迫を加えたが実際には抑圧に至らず、ただ恐怖したのに乗じて金員を奪った
    観念的競合 強盗未遂罪と恐喝罪(大阪地判平5.9.22 基本刑法各論p171)
  • 同一の被害者に対して1項強盗及び2項強盗を行った(タクシー強盗で運転者に暴行を加え売上金を奪い、運賃を支払わなかった)
    包括一罪 強盗罪(通説 基本刑法各論p175)
  • 被害者が昏睡しなかったので反抗抑圧に足る暴行脅迫により財物を奪取した
    包括一罪 昏睡強盗未遂罪が1項強盗罪に吸収(通説 基本刑法各論p207)
  • 強盗予備を行い、その後強盗の実行に着手した
    包括一罪(共罰的事前行為) 強盗予備罪が強盗罪に吸収(通説 基本刑法各論p209)

第237条(強盗予備)

  • 殺人予備や強盗予備の目的で住居に侵入した
    観念的競合 殺人予備罪または強盗予備罪と住居侵入罪(通説 基本刑法各論p87 大判明44.12.25 浅田刑法各論p27)
  • 強盗予備を行い、その後強盗の実行に着手した
    包括一罪(共罰的事前行為) 強盗予備罪が強盗罪に吸収(通説 基本刑法各論p209)

第238条(事後強盗)

第239条(昏酔強盗)

  • 被害者が昏睡しなかったので反抗抑圧に足る暴行脅迫により財物を奪取した
    包括一罪 昏睡強盗未遂罪が1項強盗罪に吸収(通説 基本刑法各論p207)

第240条(強盗致死傷)

  • 1個の強盗を行うに際し複数人に死傷結果を生じさせた
    併合罪 被害者の数に応じた強盗致傷罪(最決昭26.8.9 基本刑法各論p214 )
  • 同一場所・機会に数人から財物を奪取しそのうちの一人に死傷結果を生じさせた
    単純1罪 強盗死傷罪(大阪地判昭57.10.20 基本刑法各論p214)
  • 財物奪取意思と殺意を持って被害者を殺害し、金員を強取した
    単純1罪 強盗致死罪(大連判大11.12.22 基本刑法各論p215)

第241条(強盗・不同意性交等及び同致死)

  • 強盗を行った場所で複数人の被害者に対して不同意性交等を行った
    併合罪 被害者の数に応じた強盗・不同意性交等罪(最判昭24.8.18 基本刑法各論p229)

第242条(他人の占有等に係る自己の財物)
第243条(未遂罪)
第244条(親族間の犯罪に関する特例)
第245条(電気)

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第37章 詐欺及び恐喝の罪

第246条(詐欺)

  • 偽造私文書を行使し、詐欺を行った
    牽連犯 私文書偽造罪、同行使罪と詐欺罪(大判明42.1.22 浅田刑法総論p504)
  • 偽造公文書を行使し、詐欺を行った
    牽連犯 公文書偽造罪、同行使罪と詐欺罪(大判明44.11.10 浅田刑法総論p504 )
  • 保険金目的で放火し、保険金を詐取した
    併合罪 放火罪と詐欺罪(大判昭5.12.12 基本刑法総論p.429)
  • 裁判所を欺いて勝訴判決を得るために偽証をした
    牽連犯 偽証罪と詐欺罪(大審院大2.1.24 浅田刑法総論p504)
  • 他人の銀行通帳を窃取し、これを用いて銀行員を欺き、現金を引き出した
    併合罪 窃盗罪と詐欺罪(最判昭25.2.24 基本刑法各論p237 浅田刑法総論p504)
  • 覚せい剤取引を装い被害者をホテルの部屋に呼びつけたが、代金を支払わないまま逃走し、共犯者が同人を殺害しようとしたが未遂に終わった
    包括一罪(混合的包括一罪) 窃盗罪ないし詐欺罪と強盗未遂罪(最決昭61.11.18)
  • 約2か月にわたる不特定多数の通行人に対する街頭募金詐欺
    包括一罪(集合犯) 詐欺罪(最決平22.3.17 基本刑法総論p422)
  • 1個の欺罔行為により複数の被害者から財物を得た
    観念的競合 詐欺罪(通説 基本刑法各論p237)
  • 偽造通貨を用いて商品を購入した
    包括一罪(随伴行為)詐欺罪は通貨偽造及び行使等罪に吸収(通説 基本刑法各論p440 浅田刑法各論p439)
  • 偽造通貨と知った後に行使・交付した
    収得後知情行使等一罪 詐欺罪は成立しない(通説 基本刑法各論p441)
  • 欺罔行為によりローンカードを交付させ、これを用いてATMから現金を引き出した
    併合罪 詐欺罪と窃盗罪(最決平14.2.8 基本刑法各論p238)
  • 飲食物を詐取した後、欺罔行為によって支払いを免れた
    包括一罪 詐欺罪(通説 基本刑法各論p244)
  • キセル乗車につき、乗車駅と下車駅での2項詐欺罪が両方成立する
    包括一罪 詐欺罪(通説 基本刑法各論p261)
  • 人を欺いてコンピューターを操作させ、これにより架空の送金をさせた
    2項詐欺罪一罪(通説 基本刑法各論p264)
  • 預かった寄託物の返還を求められた際に横領の手段として欺罔行為を行った
    包括一罪 2項詐欺罪は横領罪に吸収(通説 基本刑法各論p283)
  • 保管中の寄託物を自己のものと装って担保に供して金銭の借入を行った
    観念的競合 横領罪と1項詐欺罪(東京高判昭42.4.28 浅田刑法各論p285)
  • 保管中の寄託物を自己のものと装って担保に供するため別の被害者に欺罔行為を行った
    併合罪 横領罪と詐欺罪(通説 基本刑法各論p283)
  • 他人のためにその事務を処理する者が本人を欺いて財物を交付させた
    観念的競合 詐欺罪と背任罪(通説 基本刑法各論p318)
    ..または
    詐欺罪一罪(判例 最判昭28.5.8)
  • 盗品であることを秘して有償処分あっせんをして盗品であることを知らない相手方から代金を受け取った
    盗品等有償処分あっせん罪一罪、詐欺罪は成立しない(大判大8.11.19 基本刑法各論p348)
  • 虚偽の申立てにより不実の記載がなされた免状等を交付させた
    公正証書原本不実記載等一罪、詐欺罪は成立しない(最判昭27.12.25 基本刑法各論p406 刑法浅田各論p417)
  • 偽造通貨であることを知ってこれを詐取した
    観念的競合 偽造通貨等収得罪と詐欺罪(通説 基本刑法各論p441)
  • 窃盗で得た財物を自己の物のように偽って売却した
    併合罪 窃盗罪と併合罪(最判昭29.2.27 浅田刑法各論p210)
  • 欺罔行為と恐喝行為が行われ、錯誤と畏怖により財産を交付させた
    観念的競合 詐欺罪と恐喝罪(大判昭5.5.17 基本刑法各論p273)

第246条の2(電子計算機使用詐欺)

  • 人を欺いてコンピューターを操作させ、これにより架空の送金をさせた
    2項詐欺罪一罪(通説 基本刑法各論p264)
  • 時間的に接着して他人の電子計算機に数回にわたり虚偽の情報を入力することで不法の利益を得た
    包括一罪 電子計算機使用詐欺罪(通説 基本刑法各論p267)
  • 電子計算機使用詐欺罪に当たる行為が同時に電磁的記録不正作出及び供用罪に該当する
    観念的競合 電子計算機使用詐欺罪 電磁的記録不正作出及び供用罪(通説 基本刑法各論p.267 浅田刑法各論p262)
  • 電子計算機の操作による入金で不良貸付けを行った
    背任罪一罪、電子計算機使用詐欺は成立しない(通説 基本刑法各論p318)

第247条(背任)

  • 同一の行為が業務を妨害するとともに背任に該当する
    観念的競合 業務妨害罪と背任罪(通説 基本刑法各論p112)
  • 他人のためにその事務を処理する者が本人を欺いて財物を交付させた
    観念的競合 詐欺罪と背任罪(通説 基本刑法各論p318 )
    ..または
    詐欺罪一罪(判例 最判昭28.5.8)
  • 本人の財物を毀損することで背任行為を行った
    観念的競合 背任罪と器物損壊罪(通説 基本刑法各論p318)
  • 電子計算機の操作による入金で不良貸付けを行った
    背任罪一罪、電子計算機使用詐欺は成立しない(通説 基本刑法各論p318)
  • 同一の行為が横領罪と背任罪両方に該当する
    法条競合 横領罪一罪(通説 基本刑法各論p336)

第248条(準詐欺)

第249条(恐喝)

  • 恐喝の手段で相手方を傷害した
    観念的競合 恐喝罪と傷害罪(最判昭23.7.29 基本刑法各論p273)
  • 恐喝の手段として監禁を行った
    併合罪 恐喝罪と監禁罪(最判平17.4.14  浅田刑法総論p504)
  • 強要罪の義務のない行為の内容により恐喝罪、強盗罪、不同意性交等罪または職務強要罪が成立する
    法条競合により恐喝罪、強盗罪、不同意性交等罪または職務強要罪が成立(通説 基本刑法各論p52)
  • 反抗抑圧に足る暴行脅迫を加えたが実際には抑圧に至らず、ただ恐怖したのに乗じて金員を奪った
    観念的競合 強盗未遂罪と恐喝罪(大阪地判平5.9.22 基本刑法各論p171)
    1個の恐喝行為で同一の被害者から同一の機会に複数回財物を交付させた
    包括一罪 恐喝罪(通説 基本刑法各論p273)
  • 1個の恐喝行為で数人を畏怖させ各人から財物を交付させた
    観念的競合 恐喝罪(通説 基本刑法各論p273)
  • 公務員が恐喝行為により職務に関し賄賂を収受した
    観念的競合 恐喝罪と収賄罪(福岡高判昭44.12.18 基本刑法各論p273)
  • 欺罔行為と恐喝行為が行われ、錯誤と畏怖により財産を交付させた
    観念的競合 詐欺罪と恐喝罪(大判昭5.5.17 基本刑法各論p273)

第250条(未遂罪)
第251条(準用)

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第38章 横領の罪

第252条(横領)

  • 横領物の横領(双方起訴、自己の管理する他人の口座から無断で引き出し、その後自身の借金の返済に充てた)
    包括一罪(共罰的事前行為) 横領罪(通説 基本刑法各論p307~309)
  • 横領物の横領(双方起訴、自己の占有する他人の土地に無断で抵当権設定、その後別人へ売却し登記手続を完了した)
    包括一罪(共罰的事後行為) 横領罪(通説 基本刑法各論p307~309)
  • 複数の所有者に属する寄託物が1個の委託信任関係によって占有されていた
    横領罪一罪(通説 基本刑法各論p283)
  • 非業務上及び業務上の占有物を1個の行為によって横領した
    包括一罪 単純横領罪は業務上横領罪に吸収(通説 基本刑法各論p283)
  • 預かった寄託物の返還を求められた際に横領の手段として欺罔行為を行った
    包括一罪 2項詐欺罪は横領罪に吸収(通説 基本刑法各論p283)
  • 保管中の寄託物を自己のものと装って担保に供して金銭の借入を行った
    観念的競合 横領罪と1項詐欺罪(東京高判昭42.4.28 浅田刑法各論p285)
  • 保管中の寄託物を自己のものと装って担保に供するため別の被害者に欺罔行為を行った
    併合罪 横領罪と詐欺罪(通説 基本刑法各論p283)
  • 偽造文書を行使して横領した
    牽連犯 文書偽造等行使罪と横領罪(通説 基本刑法各論p283)
  • 横領を隠ぺいするために文書を偽造して行使した
    併合罪 横領罪と文書偽造等行使罪(通説 基本刑法各論p283)
  • 同一の行為が横領罪と背任罪両方に該当する
    法条競合 横領罪一罪(通説 基本刑法各論p336)

第253条(業務上横領)

  • 非業務上及び業務上の占有物を1個の行為によって横領した
    包括一罪 単純横領罪は業務上横領罪に吸収(通説 基本刑法各論p283)

第254条(遺失物等横領)

  • 占有離脱物を横領したのちこれを損壊した
    包括一罪(共罰的事後行為)器物損壊罪は占有離脱物横領罪に吸収(通説 基本刑法各論p313 浅田刑法各論p289)
  • 遺失物である乗車券の払い戻しを受けた
    占有離脱物横領罪一罪(不可罰的事後行為)(浦和地判昭37.9.24 基本刑法各論p313)

第255条(準用)

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第39章 盗品等に関する罪

第256条(盗品譲受け等)

  • 他人に対し窃盗を教唆し、同人のために盗品の有償処分をあっせんした
    併合罪 窃盗罪の教唆犯と盗品等有償処分あっせん罪(最判昭24.7.30 浅田刑法総論p504)
  • 他人に対し窃盗を教唆し、同人から盗品を譲り受けた
    併合罪 窃盗罪の教唆犯と盗品等有償譲受け罪(大判大4.4.29 最判昭24.7.30 基本刑法各論p348)
  • 盗品を保管しまたは運搬した上現実にその処分をあっせんした
    包括一罪(構成要件上の包括) 盗品等保管罪、運搬罪と処分あっせん罪(通説 基本刑法総論p422)
  • 保管した盗品をいったん返却し、その後処分のあっせんをした
    併合罪 盗品等保管罪と処分あっせん罪(通説 基本刑法各論p347)
  • 窃盗により得た財物を売却した
    包括一罪(不可罰的事後行為)(予短答H24-8)
  • 盗品であることを秘して有償処分あっせんをして盗品であることを知らない相手方から代金を受け取った
    盗品等有償処分あっせん罪一罪、詐欺罪は成立しない(大判大8.11.19 基本刑法各論p348)
  • 納棺物を領得した
    死体等領得罪一罪、盗品等関与罪などの財産罪は成立しない(大判大4.6.24 基本刑法各論p460)

第257条(親族等の間の犯罪に関する特例)

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第40章 毀棄及び隠匿の罪

第258条(公用文書等毀棄)
第259条(私用文書等毀棄)

第260条(建造物等損壊及び同致死傷)

  • 建造物損壊を伴う騒乱罪に該当する行為を行った
    観念的競合 建造物損壊罪と騒乱罪(最判昭35.12.8 基本刑法各論p428 浅田刑法各論p333)
  • 殺意を持って建物を倒壊させて人を死亡させた
    観念的競合 建造物損壊罪と殺人罪(通説 浅田刑法各論p319)
  • 暴行または傷害の故意をもって建物を倒壊させて人を死傷させた
    観念的競合 建造物損壊罪と傷害(致死)罪(通説 浅田刑法各論p319)
  • 強制執行を免れる目的で建物を損壊した
    観念的競合 建造物損壊罪と強制執行妨害目的財産損壊等罪(通説 浅田刑法各論p527)

第261条(器物損壊等)

  • 拳銃を発射し他人の衣服を貫通し同人を殺害した
    包括一罪(単一行為異質的)器物損壊罪は殺人罪に吸収(通説 基本刑法総論p419)
  • 窃盗により得た財物を毀損した
    包括一罪(不可罰的事後行為)(司短答H22-16)
  • 証拠を隠滅する目的で他人所有の証拠物を毀損した
    観念的競合 器物損壊罪と証拠隠滅等罪(通説 基本刑法各論p523)
  • 本人の財物を毀損することで背任行為を行った
    観念的競合 背任罪と器物損壊罪(通説 基本刑法各論p318)

第262条(自己の物の損壊等)
第262条の2(境界損壊)
第263条(信書隠匿)
第264条(親告罪)

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自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律

第1条(定義)

第2条(危険運転致死傷)

  • 危険運転行為が道交法違反にも該当する
    法条競合 道交法違反が危険運転行為に吸収(通説 浅田刑法各論p64)
  • 危険運転行為が競合する
    包括一罪(通説 浅田刑法各論p64)
  • 危険運転行為が暴行に該当する
    危険運転行為につき一罪、暴行罪は成立しない(通説 浅田刑法各論p64)

第3条(同前)
第4条(過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱)

第5条(過失運転致死傷)

  • 酒酔い運転罪と酒に酔って運転した過失による業務上過失致死罪(過失運転致死傷)(酒に酔い正常な運転ができない恐れのある状態で人をひいて死亡させた)
    併合罪 酒酔い運転罪と業務上過失致死罪(過失運転致死傷)(最大昭和49.5.29 浅田刑法総論p498)
  • 無免許運転罪と業務上過失致死罪(過失運転致死傷)
    併合罪 無免許運転罪と業務上過失致死罪(過失運転致死傷)(最決昭33.3.17 司短答H18-12)
  • 1件の交通事故で母体と胎児の双方が傷害を負った
    観念的競合 業務上過失致死罪(過失運転致死傷)(鹿児島地判平15.9.2 基本刑法各論p19)

第6条(無免許運転による加重)

  • 無免許運転罪と業務上過失致死罪(過失運転致死傷)
    併合罪 無免許運転罪と業務上過失致死罪(過失運転致死傷)(最決昭33.3.17 司短答H18-12)

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道路交通法

第117条の2 次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
一 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの
二~四 (略)
2 (略)

  • 無免許運転罪と酒酔い運転罪(無免許で酒に酔い正常な運転ができない恐れのある状態で運転した)
    観念的競合 無免許運転罪と酒酔い運転(最大判昭49.5.29 浅田刑法総論p499)
  • 酒酔い運転罪と酒に酔って運転した過失による業務上過失致死罪(過失運転致死傷罪)(酒に酔い正常な運転ができない恐れのある状態で人をひいて死亡させた)
    併合罪 酒酔い運転罪と業務上過失致死罪(過失運転致死傷罪)(最大昭和49.5.29 浅田刑法総論p498)

第117条の2の2 次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
一 法令の規定による運転の免許を受けている者(第107条の2の規定により国際運転免許証等で自動車等を運転することができることとされている者を含む。)でなければ運転し、又は操縦することができないこととされている車両等を当該免許を受けないで(法令の規定により当該免許の効力が停止されている場合を含む。)又は国際運転免許証等を所持しないで(第88条第1項第2号から第4号までのいずれかに該当している場合又は本邦に上陸をした日から起算して滞在期間が1年を超えている場合を含む。)運転した者
二~八 (略)
2 (略)

  • 無免許運転罪と酒酔い運転罪
    観念的競合 無免許運転罪と酒酔い運転罪(最大判昭49.5.29 浅田刑法総論p499)
  • 無免許運転罪と車検切れ自動車運転の罪
    観念的競合 無免許運転罪と車検切れ自動車運転の罪 (最大判昭49.5.29 浅田刑法総論p499)
  • 無免許運転罪と業務上過失致死罪(過失運転致死傷罪)
    併合罪 無免許運転罪と業務上過失致死罪(過失運転致死傷罪)(最決昭33.3.17 司短答H18-12)

第117条の5 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
一 第72条(交通事故の場合の措置)第1項前段の規定に違反した者(第117条第1項又は第2項に該当する者を除く。)
二 (略)
2 (略)

  • 運転不注意で歩行者を跳ね飛ばして逃走した
    観念的競合 救護義務違反罪と報告義務違反罪(最大判昭51.9.22 基本刑法総論p428)

第118条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
一 第22条(最高速度)の規定の違反となるような行為をした者
二~六 (略)
2、3 (略)

  • 甲地点で速度違反、離れた乙地点でも速度違反を行った
    併合罪 速度違反罪(最決平5.10.29 基本刑法総論p427)

第119条 次の各号のいずれかに該当する者は、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する。
一~十六 (略)
十七 第72条(交通事故の場合の措置)第1項後段に規定する報告をしなかつた者
2、3 (略)

  • 運転不注意で歩行者を跳ね飛ばして逃走した
    観念的競合 救護義務違反罪と報告義務違反罪(最大判昭51.9.22 基本刑法総論p428)

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薬物事犯

  • 既遂時期を異にする覚せい剤輸入罪と無許可輸入罪
    観念的競合 覚せい剤輸入罪と無許可輸入罪(最判昭58.9.29)
  • 営利目的麻薬譲受罪と麻薬譲渡罪
    併合罪 営利目的麻薬譲受罪と麻薬譲渡罪(最判昭54.12.14)

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執筆者
茂木 大郎
令和3年 予備試験合格(学習期間2年)
令和4年 司法試験合格(総合120位台)
他にも、行政書士・社会保険労務士・司法書士をはじめとする複数の法律系難関資格を保有