加藤ゼミナールについて

予備試験に新たに導入される選択科目とは?内容や科目変更の影響を解説

予備試験について 選択科目について

2022年度(令和4年度)からの司法試験予備試験(予備試験)の大きな変更点として、論述式試験の中で「一般教養科目」が廃止され、「選択科目」が導入されます。

選択科目とはどのような科目なのか、科目が変更となることで受験生にとってはどのような影響があるのかといった事項をまとめます。

予備試験の受験を予定されている方は必見の内容なので、ぜひご一読ください。

 

2022年度(令和4年度)から予備試験の「論述式試験」に選択科目が導入

2021年度(令和3年度)まで予備試験の「択一式試験」および「論述式試験」においては法律分野以外からの出題が行われる「一般教養科目」の試験が出題されていました。

予備試験の受験には一切の資格を必要としないため、予備試験を経由する受験者が法曹の実務を行うにあたって必要な法律以外の一般教養の知識を備えているかを測定することが出題の趣旨です。

しかし、この一般教養科目の扱いは議論の対象ともなっており、2022年度(令和4年度)の予備試験では論文式試験においては 一般教養科目が廃止され、選択科目が導入される ことが公表されています。

※択一式試験においては従来通り一般教養科目が出題されます。

 

予備試験に導入される選択科目の詳細

予備試験の論述式試験に導入される選択科目は以下の通りです。

予備試験の論述試験に導入される「選択科目」一覧
倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法系)、国際関係法(私法系)

 司法試験の論述式試験で導入されている科目と全く同じ科目 の中から受験科目を選択する形式です。

 

予備試験の科目変更による受験者のメリット・デメリット

予備試験の論述式試験の科目が一般教養から選択科目に変更されることは受験者にとっても大きな影響があります。

科目変更のメリット、デメリットについてまとめていきます。

選択科目が導入されるメリット

選択科目が導入される最大のメリットとして、一般教養の論述試験対策が不要となることが挙げられます。

一般教養科目は出題範囲が非常に広いため対策が難しい一方、予備試験通過後の司法試験においては一切出題されないため、どのように対策すべきか、どの程度対策すべきか悩む受験生も多い分野です。

当然、新たに導入される選択科目の対策を行う必要が出てきますが、 選択科目は出題範囲が想定しやすく、また学習が司法試験対策にも直結する ため目標をもって学習を進めやすくなることが期待できます。

現在、法科大学院ルートでの司法試験受験者と比較しても予備試験合格者の司法試験合格率は高い数値が出ていますが、選択科目が導入されることでこの傾向が強まることも予想されます。

 

選択科目が導入されるデメリット

選択科目が導入されるデメリットとしては単純に学習の負担が上がることが挙げられます。

従来導入されていた論文式試験に一般教養科目は対策が難しく頭を悩ませる受験生が多かった一方で、あまり対策しなくても差がつきにくい科目であったとも言えます。

2022年度(令和4年度)から導入される選択科目は司法試験にも直結するため、 対策の有無で大きく差がつくことが予想されます。 

司法試験を見越して考えると最終的には学習することになるとはいえ、対策を前倒しで行う必要が出てくることで予備試験の対策の負荷は上がりそうです。

 

予備試験の選択科目を考える基準

予備試験で新たに導入される選択科目は司法試験本番の論文式試験で課される選択科目と全く同様です。

現在公表されている情報の中では、予備試験で選択した科目と、合格後司法試験で選択する科目は必ずしも一致していなければならないような記載はありませんが、学習効率を考えると司法試験で選択予定の科目を予備試験でも選択することが好ましいと言えます。

司法試験での選択科目は、参考までに以下のような基準が判断指標となりえます。

  • 自分が将来法曹として関わりたい分野に関連する科目
  • 自分が興味をもって学習に取り組める科目
  • 科目別合格率が高い科目
  • 出題範囲が比較的狭く、少ない学習時間で網羅できそうな科目

どの科目が望ましいかは個々の興味や将来関わりたい分野によっても異なるため、検討してみてください。

まとめ

予備試験に新たに導入される選択科目についてまとめました。一般教養科目の廃止・選択科目の導入により、予備試験対策としての学習の負荷は上がることが予想されます。

一方で予備試験のための学習が司法試験の対策に直結することにもなるため、予 備試験の突破がより司法試験の合格に直結する とも考えられます。

予備試験の受験者の方にとっては最終的な目標を見据えるとメリットの大きい変更とも言えるので、ぜひ計画的に対策を進めてみてください。