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司法試験に失敗した場合の進路は?その後取りうる選択肢を解説

司法試験について

司法試験の受験資格には年数および回数の制限が設けられています。

「時間と費用を割いて受験資格を得ても、もし試験に合格できなければどうなるのだろう」

と不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際には司法試験に仮に合格できなくともその経験を活かした別の進路は多く存在します。

今回は仮に司法試験に失敗してしまった場合の進路の考え方について具体的な選択肢とともに解説します。

 

司法試験の受験資格の喪失と回数制限の趣旨

司法試験は受験資格(法科大学院の修了、ないしは予備試験の合格)を得てから5年間、毎年受験資格が得られます。この5年間の間に合格できなかった場合、受験資格を喪失します。再び資格を得るには法科大学院に入学して過程を修了するか、もしくは予備試験に合格する必要があります。

※2015年まではこの受験制限が「5年の間に3回」であり3回失敗することを通称「三振」と呼ばれていました。

旧司法試験は受験資格に制限がない一方で合格率1~2%の狭き門で、司法試験受験のために人生を費やしてしまう人も少なくありませんでした。

司法試験合格を目指すほどの学力と志を持つ人材が惜しくも合格に届かなかった場合、 早期に別の形で社会で活躍してもらうことが試験に回数制限を設けることが趣旨です。 

 

司法試験に失敗した後に考えられる選択肢

実際に受験制限を使い切ってしまった場合、以下のような選択肢が考えられます。

再度受験資格を得る

司法試験の受験資格を一度喪失しても、完全に法曹の受験資格が断たれたわけではありません。再度法科大学院を修了するか司法試験予備試験に合格することで受験資格を得られます。

現実には回数制限が設けられた趣旨にそぐわない選択であり、資金や時間が非常にかかる選択でもあります。

再度挑戦して合格できる可能性を慎重に検討した上で、どうしても法曹の道を諦められない場合には一から出直すような選択も取りえます。

別の法律資格を取得する

司法試験は法律資格の中でも最難関に位置づけられる試験です。仮に司法試験には及ばなくとも他の法律資格には合格できる可能性も十分考えられます。

例えば、司法書士や行政書士の試験に合格し資格を得ることにより、一定の高度な法律業務に携わることができます。

もしくは、社会保険労務士、宅地建物取引士といった難関資格を取得し、その資格を強みに就職活動をするといった選択肢も考えられます。

専門職に近い領域での仕事に就く

司法試験に合格できなくとも、それに準ずる法律知識を持っていることや受験経験があることを活かした職に就くことも選択肢として考えられます。

具体的には法律事務所の事務員や、資格試験予備校の講師・職員などの職業は司法試験の受験経験がアドバンデージになり得ます。

公務員試験を受験する

公務員試験の一部には司法試験と同様の科目が筆記試験として設けられているケースがあります。初学者に比べてアドバンテージを取れる部分でもあるため、公務員の受験資格の年齢制限に抵触していない場合は一つの有力な選択肢になりえます。

民間就職する

一般企業に就職活動を行う選択も当然考えられます。特に、司法試験受験経験者の法律の知識は企業の法務部などにおいて重宝される可能性が十分に考えられます。

年齢や実務経験の少なさがマイナス評価になる可能性もあるものの、学習してきた知識を活かすポジションを狙うことで給与の高い民間企業に就職する選択肢も魅力的です。

 

司法試験経験者が別の道を歩むにあたっての強み

司法試験の受験経験は、 望んでいた結果に繋がらなくとも大きな強みになりえます 。具体的に重視されやすいポイントについて解説します。

高度な法知識

司法試験には及ばずとも、その学習の過程で得られた法知識は先述のようにあらゆる分野で重宝される可能性が十分にあります。

学習で得た知識を活かせる場を探すことで新たな道が拓けるかもしれません。

司法試験の受験経験自体が強みとなる

司法試験という文系科目では最難関にあたる試験には生半可な覚悟では挑むことはできません。そこに挑戦した経験やそこから得られた忍耐力などの強みは、望む結果に繋がらなくともポジティブに評価される可能性は十分にあります。

 

司法試験経験者が別の道を歩むにあたっての弱み

一方で必ずしもメリットだけがあるわけではなく、弱みとなりうる部分もあります。

年齢の問題

日本では一般的に就職にあたっては年齢が若い方が好まれる傾向にあります。司法試験に失敗してから進路を切り替える場合、どうしても一定の年齢となってから方向転換を行うため年齢自体が不利に扱われる可能性もあります。

「不合格者」という印象

就職活動を行う場合、企業の担当者によってはどうしても「司法試験に不合格だった」という点に悪印象を抱かれる可能性が否定できません。

司法試験の学習で得た知識や挑戦し続けた経験などをポジティブに捉えた上で、不合格者という事実にしか目を向けない企業とは縁がなかったと割り切る姿勢も時には大切です。

また、 司法試験に挫折したという事実ではなく、それによる自信の喪失の方が悪印象に繋がっているケースも少なくありません。 気持ちを切り替え、毅然とした態度で次の道に挑むことが大切です。

 

まとめ

司法試験は新制度となってから合格率が上がってはいるものの、文系の最難関資格として狭き門であり、法曹の道を目指す人全員が望む結果を得られるわけではありません。

しかし、司法試験に挑戦する過程で得られた強みを活かすことで別の形で社会で活躍できる選択肢は現実に幅広く広がっています。

まずは「もしものこと」など考えず試験合格に向けて前向きに学習することが大切ですが、仮に失敗してしまったとしても経験は財産になります。失敗したときのことを不安に考えすぎず挑戦していくことが大切です。