中村 優介 様
法科大学院(既修) 卒業
令和4年司法試験 合格
労働法 58.13点
私は、ロースクールの授業が終了する2月まで、労働法の授業を受けていた程度の勉強しかできておらず、過去問に手をつけることができていませんでした。また、短答式の勉強も間に合っていなかったため、選択科目に対してはあまり多くの時間は割けないと判断し、選択科目は短時間で効率的に勉強する必要があると考えていました。そこで、労働法講座の情報を集め始めると、すでに合格された先輩から加藤先生の労働法講座は非常によかったという話を聞くことができました。そして、加藤ゼミナールのサイトをのぞくと、加藤先生が労働法1位という分かりやすく信頼できる実績をお持ちであり、サンプルや講座詳細を見て「これだ」と思ったため、本講座を選択しました。
私は、労働法の基本的な知識や司法試験における相場観が自分には足りておらず、また、試験時間が3時間であることから他の7科目に比べると時間には余裕があると考えたため、過去問講座を相場観を養うことも含めたインプット教材と位置付けました。そのため、年度の古い順から1問ずつに分けて(選択科目は第1問・第2問と分かれています)、問題文を読んではちょっとした答案構成(論点の抽出と使えそうな事情に当たりをつけるくらいのものです)をして、あとは解説と模範解答を読みつつ逐一講座を聞くという方法をとりました。そして、ここから得た知識や気づきをセットでついている論証集の空白部分に書き足していきました。また、模範解答を見ながら、気付くことができなかった論点、使い方が不明だった事情や自分では考えつかない事実の評価が記載されている部分は、その理由などの一言メモを添えて付箋を貼ることで後から見返すことができるようにしていました。
以下、令和4年司法試験の出題内容との関連性と教材自体のクオリティの高さについて述べさせていただきます。
まず、第1問では、配置転換命令の有効性と有期労働契約の雇止めの可否が問われました。これらは過去にも出題されており、過去問講座を受け、現実的な1位答案である模範答案や解説を読み込んでいたおかげで、自信をもって問題にとりかかることができました。
次に、第2問では、労働協約・労使慣行の法的効力に関する問題、就業規則の不利益変更の可否・限界や短時間・有期雇用労働法8条に関する問題が問われました。就業規則の不利益変更は、過去に何度も出題されており、過去問講座を通じて他の論点の分量との兼ね合いでどこまで厚く論じ、あてはめるかを事前に準備できていたため、論点が多岐にわたった第2問でも慌てずに取り組むことができました。また、近年改正され、一度も出題がなかった短時間・有期雇用労働法8条に関する問題も、同条の要件から同条違反の効果について分かりやすくまとめられていたため、整理された状態で問題に取りかかることができました。
以上の各論点は、いずれも論証集でAランクに指定されており、加藤先生が重要視されているところがそのまま出題されているという印象を受けました。
まず、過去問講座のテキストについては、加藤先生が作成された現実的な1位答案である模範答案が他の教材にはない素晴らしいものだと思いました。選択科目である労働法は1問ごとに4枚の紙面しかないため、冗長な論述になると書きたいことが書ききれないおそれがあります。しかし、この模範答案を分析することで、各論点との兼ね合いなどから判断する論述の濃淡や必要十分なあてはめがどのようなものかということを学ぶことができました。また、答案の分量自体は多くないため、そこまで筆力に自信のなかった私でも参考にできる分量であり、まさしく「現実的な」答案だと実感していました。
次に、論証集については、各論点にランク付けがなされているおかげで、選択科目の中でも暗記量が多いといわれる労働法であるからこそ学習のメリハリをつけることができ、ある種の安心感にもつながりました。また、ある論点における考慮要素(例えば、就業規則の不利益変更など)についても、その要素の意味やあてはめにおける注意点が細かに説明されており、それをおさえれば他の受験生に書き負けることがなくなると感じました。
司法試験に関して、選択科目は初日の1発目で、緊張も大きいです。また、初日の他の科目は公法系ということもあり、公法系に絶対的な自信を持っている方はあまり多くないのではないかと思います。だからこそ、公法系科目に少しでも精神的なゆとりをもって臨めるように、選択科目の勉強も万全にしておけば大きなアドバンテージになると思います。
司法試験は、問題の難易度もさることながら非常にメンタル面が重要な試験だと今年受験をして感じました。自分でダメだと思っていてもふたを開けてみれば案外…ということも多々あるため、とにかく最後まであきらめずにやり続けてみてください。
私の拙い合格体験記をお読みいただいた皆様が、無事に予備試験・司法試験に合格されることを心よりお祈り申し上げます。