S.M 様
立命館大学法学部 2022年卒業
京都大学法科大学院(既修) 在学
令和5年司法試験 合格
総合 1125.95点 24位
論文 557.68点 25位
公法系 139.85点(A、A)
民事系 219.02点(A、A、A)
刑事系 137.92点(A、A)
選択科目 60.88点
まず、初めに選択科目の重要性について、述べます。選択科目は試験1日目の初めの科目であり、かつ、3時間と最も長い試験時間の科目です。ここでつまずけば、その後の論文科目に気持ちの面で引きずり、マイナスが大きいと考えました。また、一般的に受験生は、7法の学習時間に比べ、選択科目の学習時間が少ないと考えられるため、時間をかけて勉強することで他の受験生と差をつけ、気持ちに余裕をもってその後の試験に臨みたいと考えていました。そこで、重点的に選択科目(労働法)の学習ができる講座を受講しようと決意しました。
私が、本講座を選択した理由は3つあります。1つ目は、加藤先生の書かれた再現答案で、答案の流れを把握したいと考えたからです。労働法の試験では、「考えられる法律上の論点を挙げて」という指示が出されることが多いです。その場合に、有限な紙幅、試験時間の中で、どの点を詳しく述べるべきか、省略できる場合はどういう場合か、といった点を思考のプロセスとともに、再現答案をもとに解説していただけることが必要不可欠であると考えました。その点で、本講座は、8枚の答案の中で、書くべきポイントを押さえた参考答案をもとに、試験場で考えるべきポイントも踏まえた解説を受けられる点で、とても参考になりました。また、私が本講座を受講した時期は、令和5年3月頃で、試験まで残り4月をきっており、フル起案をする時間の余裕がなかったので、その意味でも、答案構成をした後で、再現答案をみて学習するということができ、効率的な学習をするうえで有意義でした。
2つ目の理由は、あてはめの仕方を学びたかったことにあります。学習を進めていく中で、特に、懲戒や解雇等の問題で、濫用性判断が問題になる場合には、規範をどうあてはめるか、という点が重要だと気付くに至りました。そして、よりよいあてはめ能力をつけるには、良い答案を見ることが何よりも大事だと感じていました(特に憲法や行政法の学習では、優秀な再現答案や、友達の答案を見て、良いところ自分の答案にも反映させることを徹底して行いました)。その点で、加藤先生のあてはめは非常に参考になりました。
3つ目の理由は、論点が網羅的に整理されているテキスト(論証集)が欲しかったことにあります。労働法の学習範囲は、他の選択科目よりも多く、労働法の試験で最も怖いことは、論点が思いつかず、何も書けないという事態に陥ることです。そのため、受験生が抑えるべき主要な論点が網羅されている論証集で自身の学習を整理する必要がありました。本講座に付属する論証集は、問題提起から規範、あてはめのポイントまで整理されており、膨大な学習範囲を整理するのに最適なテキストでした。(※2023年版以降は論証集は別売りとなります)。
以上の3点が、私が本講座を受講した主な理由です。
再現答案集について
司法試験の過去問を自分で解き、答案構成(書くべき論点を整理し、規範、あてはめの骨子をWordで作成する、というもの)をした上で、問題解説の動画を聞きながら、再現答案集の該当箇所に線を引き、自身の答案構成のファイルに加筆修正していく、という流れで使用しました。特に再現答案のあてはめ部分について、他の問題でも使えそうな言い回しや、テクニック、答案作成上注意すべき点として解説いただいた中で重要であると考えたものは、自分でまとめ、試験前に見返していました。
論証集について
私は自作の論証集を作り、それを試験直前に見返し、理解をしてから試験に臨む、という流れで学習を継続してきました。そのため、本講座の論証集は、自作の論証集に足りない論点、知識、ポイント等を補うのに使用しました。また、過去問解説のレジュメや、再現答案部分に、論証集の内容が引用されている部分があったため、その際に参照しながら、理解に努めました。
先生の解説の通り、まず第1問と第2問の設問部分を読み、ある程度の論点を思い浮かべ、どこに時間がかかるかを意識して、時間配分を決めることができました。第2問には、「労働委員会において救済」、「賃金及びその遅延損害金の支払請求」、「協約」という文言があったため、第2問で書くべき内容が多岐にわたり、時間がかかると思ったので、できるだけ第2問に時間をかけられるよう、急いで解こうと考えました。
また、特に第2問については、考え方を過去問講座で解説していただいていたので、講座で学んだことをストレートに活かすことができました。
司法試験に合格して感じることは、日常の学習から、常に自分の頭で悩み、多岐にわたる問題をどう解決するべきかを考えることが重要で、それをしていれば、司法試験は十分に合格できる試験だということです。教科書や論証集の記載を必死に暗記すれば、それと同じ問題意識が必要な問題が出題されれば、合格できるかもしれませんが、試験では何が起きるか分かりませんし、同じ問題に見えて、少しひねってある問題が出されるのが司法試験であると思います。自分が答案を書く上で参考にすべきものとして、他人の再現答案や論証集を用い、良いところは盗む、という意識で、結局は自分で理解して、答案を書く、という心がけが重要だと考えます。
受かるまでは大変な道のりでしたが、合格した時の達成感は何ものにも代えがたいものがあります。ぜひ、自身の学習を継続させ、司法試験合格まで頑張ってください。応援しています。