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司法試験の受験者数・合格者数・合格率の推移を分析

司法試験について

現行の司法試験制度は2006年導入前のいわゆる「旧司法試験制度」と比較すると、合格のハードルが下がり法曹人口も増えていますが、それでも司法試験が文系最難関ともいわれる狭き門であることには変わりありません。

実際のところ、司法試験の受験者数や合格者数、それに伴う合格率はどのように変化しているのか、直近のデータを参照しながら説明します。

 

司法試験の受験者と合格者の推移

司法試験は短答式試験と論文式試験の2段階で実施されます。それぞれの科目ごとの最低ライン(足切り)の水準を満たした上で、 総合評価で相対的に高い点数を獲得した受験者が合格できる仕組み であるため、合格者数や合格率は一定ではなく毎年変動します。

年度 受験者数 合格者数 合格率
令和3年度 3,424 1,421 41.5%
令和2年度 4,226 1,450 34.3%
令和元年度 4,486 1,502 33.5%
平成30年度 5,238 1,525 29.1%
平成29年度 5,967 1,543 25.9%
平成28年度 6,899 1,583 22.9%
平成27年度 8,016 1,850 23.1%
平成26年度 8,015 1,810 22.6%
平成25年度 7,653 2,049 26.8%
平成24年度 8,387 2,102 25.1%

※合格率は小数点第2位を四捨五入

平成24年度から令和3年度までの受験者数と合格者数の推移を見ると、受験者数は長期的に減少傾向にあることがわかります。

受験者数の減少傾向に伴い合格者数も減っていますが、合格率でいうと平成24年度~平成29年度までは25%前後で推移しているのに比べ、平成30年度以降は30%前後、令和3年度は40%を超える合格者が出ており、 合格率は上昇している と言えます。

近年は例年1,500人前後の合格者が出るように選考基準が調整されているようにも推測できますが、今後減少傾向が続くようであればこの水準が維持されるとは限りません。

 

司法試験の合格率は比較的高いが、受験資格でのハードルがある

司法試験の合格率は30%以上、年度によっては40%を超える合格者が出ていることがわかります。

他の法律系のいわゆる「難関資格」として挙げられる

  • 司法書士:5%弱
  • 行政書士:10%前後
  • 宅地建物取引士:20%弱

といった数値と比較しても相対的に高い割合で合格できる試験であると言えます。

ただし、上記の資格試験には特別な受験資格は求められません。(社労士試験など、「大学卒業」が求められるような資格試験も存在します。)

一方で、司法試験はそもそも受験資格を得るためには「法科大学院修了(見込み)」もしくは「予備試験合格」のいずれかの条件を満たしている必要があります。また、資格は獲得した年を含めて5年間のみ有効で、その間に合格できなければ失効します。

そういった事情を考慮すると、 司法試験はやはりハードルの高い試験であると言えるでしょう。 

法科大学院に入学するにあたっては一定レベルの水準の試験が課されるほか、そもそも大学を卒業していることが要件として求められます。

他方、予備試験は受験資格が一切ない試験ではありますが、その合格率は非常に低く司法試験以上の「狭き門」と言われています。(ただし、その分、予備試験通過者の司法試験合格率は法科大学院卒の受験者と比較しても非常に高い水準です。)

 

(参考)予備試験の合格率

参考として、司法試験の受験資格を得るルートの一つである予備試験の受験者数、合格者数の直近のデータを掲載します。

年度 受験者数 合格者数 合格率
令和3年度 11,717 467 4.0%
令和2年度 10,608 442 4.2%
令和元年度 11,780 476 4.0%
平成30年度 11,316 433 3.9%
平成29年度 10,743 444 4.1%

※合格率は小数点第2位を四捨五入

予備試験は受験資格がなく誰でも受けられる試験ではあるものの、合格率は例年4%前後と非常に低い水準にあり、合格率2~3%台で推移していた旧司法試験と同レベルの狭き門と言えます。

まとめ

司法試験の受験者、合格者は共に年々減少傾向にありますが、受験者の減少傾向が大きいため合格率自体は上昇傾向にあります。近年の合格者数は1,500人前後、合格率では概ね30%を超える水準となっています。

こういった傾向を見ると、司法試験合格の難易度は近年若干ではありますが低下しており、 着実に努力を重ねれば合格も不可能ではない とイメージできるのではないでしょうか?

一方で、司法試験は受験自体に高いハードルが課せられており、決して「合格することが容易な」試験ではありません。

着実に効率的な努力を重ねていき、合格を目指すことが求められます。