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はじめに
私は司法試験受験時,特に公法を苦手としていました。勉強方法がよくわからない,論文の書き方もわからない,結果として成績も奮わない…と三重苦に陥っていたのです。
そのような私も,結果として司法試験に合格することができました。
では,司法試験の苦手分野はどこまで苦手であることが許されるのでしょうか。また,どのように対策をしていけばいいのでしょうか。
「苦手」はどこまで許されるのか
法科大学院や模試の成績
「苦手」にも色々ありますが,司法試験合格という観点からみると,法科大学院の期末試験や模試でDやE評価を取る科目については,試験で点数が取れないという意味で苦手分野といえます(コンスタントにCを取る場合も,要注意です。)。
また,司法試験の問題を見たときに,問題をどのように処理すれば良いのか全く分からない科目についても,苦手科目といえるでしょう。
司法試験のDE評価について
司法試験の論文科目では,1つや2つDやE評価がついても,得意科目でカバーすることができれば,合格は十分可能です。
しかし,DやEの評価を狙って取ることはできませんし,模試などでDやE評価がつく科目は,本番ではさらに成績が下がる可能性が大きいです。また,Eを取った場合には,論文式試験全体の足を引っ張ることになります。
最悪の場合,足切りの可能性もあります。
そのため,DやEを取りそうな科目については,徹底的に苦手分野を克服する対策を行うべきです。
私の苦手分野と克服方法
ここで,私の苦手分野と,司法試験合格までにどのように克服したのかを紹介します。
私が苦手だった分野
冒頭にも述べたとおり,私は行政法と憲法が特に苦手でした。また,会社法と民訴についても,苦手意識を持っていました。
参考として,司法試験に落ちた頃~加藤ゼミに入る前の苦手分野の状態は下記の通りです。
- 憲法:法科大学院の成績は悪くなかったが,司法試験の成績が奮わない。論文式試験の書き方がよくわからず,審査基準をなんとなく使っていた。
- 行政法:法科大学院・司法試験の成績は共に悪い。司法試験では法令が引用されているが,どのように使えば良いのかわからない。原告適格の解き方でさえもきちんと理解できていなかった。
- 民訴:法科大学院の成績は悪くなかったが,司法試験の問題の解き方がわからない。また,判例百選や趣旨規範本をもとに学んだ規範を,どのように答案に生かせばよいのか分からなかった。
- 会社法:条文適用場面のイメージが持てず,会社法を理解するのに苦戦していた。論文式試験では,記述量が少ないという難点あり。
克服方法
友人の力を借りる
会社法に関しては,会社法が得意な友人に教えてもらうことで,苦手分野から脱出することができました。
友人に,そもそも条文適用場面がイメージできないという問題を打ち明けたところ,「事例で考える会社法」を勧められ,この本を活用することで,具体的な場面を思い描くことができるようになりました。また,論文対策として,「過去に同じような問題が何度か出題されていることから,過去問で出題された分野は必ず書けるように」というアドバイスを受けたので,繰り返し過去問を復習しました。ロースクールの授業のレジュメも司法試験対策に良いとのことだったので,これも繰り返し解くようにしました。
手を広げずに繰り返し同じ問題を解くことで,会社法の解き方のパターンがある程度わかるようになり,だんだんと問題が解けるようになりました。会社法が苦手な気持ちがなくなったわけではないですが,会社法を勉強していて辛い,答案の記載量が少ないという問題からは脱却することが出来ました。
予備校を使う
公法と民訴に関しては,加藤ゼミで苦手分野を克服しました。加藤先生から教わったことは書ききれないほどあるのですが,もっとも大きかったのは以下の点です。
- 憲法:審査基準の使い方をマスターした
加藤ゼミで審査基準の使い方を教わり,論文式試験では審査基準を自由に使いこなせるようになりました。正直,「苦手科目を完全に克服した!」という意識は無かったのですが,試験では常にA評価だったので,苦手科目は克服していたのでしょう。
また,「審査基準が使えないとき」についても教わったので,本番で「これは通常の違憲審査基準を使えないかもしれない」という不安が軽減されたのも,苦手克服を後押ししました。 - 行政法:答案を書く際の判例の使い方がわかった
行政法に関しては,1から10まですべてを加藤ゼミで習得したといっても過言ではありませんが,特に,答案を書く際に判例をどう使うのかがわかったのが大きかったです。これまでは,判例を漫然と読んで,判旨の内容はわかっても答案に生かせない状態だったのですが,加藤ゼミを受講して「判例の使い方」がわかりました。
行政法は司法試験本番でも良い成績ではなかったのですが,司法試験合格レベルまでもっていくことができました。 - 民訴:旧試から学ぶ
民訴の対策として,旧司法試験から論文対策をする方法を学びました。これにより,論文で何を書いていいのかわからない,ということがなくなりました。
司法試験で何がでても大丈夫,と思えるようになり,試験本番では精神的に楽になりました。
苦手分野の対策法
自分の経験も踏まえると、苦手分野の対策法は、下記のようにまとめられます。
- 友人に聞く
【+】自分の苦手分野を得意としている友人に聞くのが、方法としては手っ取り早いです。
【-】「勉強方法を確立したわけでないが、何となく得意」「特定の科目が好きなので、勉強時間と比例して成績も良い」という場合、有益なアドバイスが得られない可能性あり。また、成績が良いことと、教えるのが上手なことは別問題です。 - 予備校本を使う
【+】論文対策の方法など、司法試験のテクニック的な部分を学ぶことができます。安価で指導場所も選ばない点が良いところです。
【-】苦手意識を持っていると、書籍の内容をうまく活用できない場合があります。 - 先人のブログから学ぶ
【+】先人のブログを読むと、同じようなところで躓いている場合の対処法が載っていることがあります。同じ受験生なので、分からないところ→解答までのプロセスが納得しやすいと思います。
【-】自分の欲しい情報にたどり着くまでが大変。 - 予備校を使う
【+】自分の苦手な部分を、ピンポイントで改善することが出来ます。また、論文の指導を受ける事で、自覚していない客観的な問題点を指摘してもらうことも可能です。
【-】講座によっては受講料が高価。また、講義を聞くために、ある程度時間を割く必要があります。
おわりに
私は、苦手分野の対策法をすべて行ったうえで、最後に加藤ゼミにたどり着きました。
はじめから加藤ゼミを利用していれば、もっと早く苦手分野を克服できたのではないかと思っています。
苦手分野がある=司法試験不合格というわけではありませんが、不安な点は早めにつぶしておきましょう。
実務家弁護士S
私大法科大学院卒業・新司法試験合格・実務経験2年以上
加藤ゼミの受講により勉強法を変えたことで司法試験に合格したことから、その経験を後輩に伝えたいと思い記事を執筆。
受験生時代の得意科目は刑法、苦手科目は行政法。