はじめに
私が使用していた基本書のうち、刑事系をご紹介します。
民事系もそうですが、刑事系に関しても、なるべく周りの受験生が使っている基本書を選んで使っていました。
刑法
刑法の特殊性として、そもそも結果無価値/行為無価値のどちらの見解に立つか、というところから、基本書の選び方が変わります。
私は結果無価値に立っています。
刑法総論
■山口厚「刑法」有斐閣
「青本」と呼ばれ、1冊で総論も各論も含まれている基本書になります。
使い方:通読はしていません。問題集を解いたり、ロースクールの授業にあわせて、必要があれば該当箇所を読んでいました。
コメント:記述はコンパクトなのですが、勉強が進んでいない段階で読むと難しい箇所があると思います。私は、問題集や判例で、事案とその論点を把握してから、最後に基本書を読んでいました。
また、後述のように、刑法各論については西田先生のものを使っていたため、青本の各論パートは使用していません。
■大谷實「刑法講義総論」成文堂
行為無価値論では、スタンダードな基本書なのではないでしょうか。
使い方・コメント:はじめに読んだ基本書はこちらだったのですが、「社会的相当性」について理解が追い付かず、断念しました。
刑法各論
■西田典之「刑法各論」有斐閣
使い方:まとめノートを作成しつつ、該当箇所を読んでいました。また、論文ではあまり出題されない罪については、択一を解く際に、併せて確認をしていました。
頭から通読はしていないですが、最終的には、網羅的に読んだのではないかと思います。
コメント:保護法益と要件、定義が明示されているため、試験に向けて覚えるべき箇所が分かりやすかったです。また、裁判例も豊富に引用されているため、択一にも使うことができました。
(番外)おすすめしたい基本書
■大塚裕史他「基本刑法1総論」「基本刑法2各論」日本評論社
使い方:司法試験受験後に読んだのですが、受験生に是非お勧めしたい本です。
コメント:短い事案を冒頭に配置するスタイルの基本書です。言い回しが平易かつ学説も適度にしか触れていないため、非常に読みやすいです。また、事例の背景が網掛になっていたり、視覚的にわかりやすい構成になっています。
刑法が苦手な人は、まず基本刑法を使って、基本的な事例と論点を抑えるのがいいと思います。
刑事訴訟法
■宇藤崇・松田岳士・堀江慎司「刑事訴訟法(LEGAL QUEST)」有斐閣
定番の基本書であるリークエシリーズ。
使い方:通読しました。また、授業や試験にあわせて、不明点があれば読み直しをしました。
コメント:基本書はこの本しか使用していないため、比較は難しいのですが、私は読みやすいと感じました。章ごとに執筆者が変わりますが、通読の際には特に気になりませんでした。
判例がしっかり引用されているため、理解がしやすかったです。
■三井誠・酒巻匡「入門刑事手続法」有斐閣
入門書。刑事手続きの流れを学ぶことができます。
使い方:刑訴を初めて学んだ時に、まずこの本を読みました。
コメント:刑訴の手続きの流れを概説しています。この本を読んだからといって、答案がかけるようになるわけではないですが、まず手続きを頭に入れてから、刑訴の学習を進めた方が、効率がいいと思います。
実務家弁護士S
私大法科大学院卒業・新司法試験合格・実務経験2年以上
加藤ゼミの受講により勉強法を変えたことで司法試験に合格したことから、その経験を後輩に伝えたいと思い記事を執筆。
受験生時代の得意科目は刑法、苦手科目は行政法。