現行の司法試験制度は、以前の制度に比べて法曹界への門戸を開き、法曹人口を増やすことを一つの目的として導入されました。
仕事をしながら法曹界への転身を目指している方や、定年退職後のセカンドキャリアとして司法試験を目指すことを考えている方は実際に同じような受験者がどのくらい合格しているのか気になるところだと思います。
そこで今回は司法試験にまつわる「年齢」に関して平均、最年少、最年長といったデータや年代ごとに現実的に取りうる選択肢についてもまとめました。
Contents
司法試験の受験に年齢制限はない
司法試験を受験するにあたって、 年齢による制限は上限も下限もありません 。法科大学院のカリキュラムの修了、もしくは司法試験予備試験(予備試験)の合格のどちらかの条件を満たすことによって誰でも受験の資格を得られます。
法科大学院を修了して司法試験を目指す場合
法科大学院にて既習コース2年間、未修コース3年間、ないしは社会人向けの夜間の法科大学院の場合は最長で5年間というカリキュラムもありますが、いずれかのカリキュラムを修了することで司法試験の受験資格を得られます。
法科大学院経由での受験は大学卒業後、直接から数年間の間に法科大学院に入学する若年層が最も多く、次いで定年退職後にセカンドキャリアとして法曹界を見据えて法科大学院に入学するケースが目立ちます。
現役で働いている社会人が法科大学院のカリキュラムを消化するのは現実的に難しい面も多いため、30代~50代の働き盛りの年代は比較的少なくなっています。
また、法科大学院の入学には大学の卒業が条件の一つとして必要とされるため、大学卒業未満の年齢の方や大学卒の学歴がない方が司法試験を受験する場合は次に紹介する予備試験が現実的な選択肢です。
予備試験に合格して司法試験を目指す場合
予備試験に合格することにより、法科大学院修了と同レベルの学力があるとみなされ、新司法試験の受験資格を得ることができます。
予備試験は司法試験と比較しても合格率の低い狭き門ですが、その受験には年齢制限や回数制限も含め一切の制限がなく誰でもが受験できます。
仕事をしながら司法試験合格を目指すような場合においても現実的な選択肢です。
司法試験合格者の年齢に関するデータ(最年少・最年長・平均年齢)
司法試験合格者に関するデータとしては法務省の公式ホームページに各年度の合格者の最年少、最年長、平均年齢などが記載されています。
また、予備試験受験者に関しては年代別の予備試験の受験者数・合格者数および司法試験の受験者数・合格者数も掲載されているため、年代別の大まかな傾向はある程度把握することが可能です。
司法試験合格者数のデータ
年度 | 平均年齢 | 最年少 | 最年長 |
---|---|---|---|
令和3年度 | 28.3歳 | 18歳 | 69歳 |
令和2年度 | 28.4歳 | 20歳 | 69歳 |
令和1年度 | 28.9歳 | 20歳 | 65歳 |
平成30年度 | 28.8歳 | 19歳 | 68歳 |
平成29年度 | 28.8歳 | 21歳 | 71歳 |
司法試験合格者の平均年齢は30歳弱
平成28年度~令和2年度まで5年分のデータを比較すると、合格者の平均年齢は28~29歳を推移しています。大学卒業後、法科大学院を修了してから試験に臨み、数年程度で合格する受験者が多いこと考慮すると、平均して30歳弱という数値になるのも頷けます。
司法試験の最年少合格者は例年20歳前後
平成28年度~令和2年度までの最年少合格者は20歳前後です。新司法試験制度に移行してからの最年少は令和3年度に出ている18歳です(2021年現在)。この年代で大卒の資格を得ることは不可能なので、大学や高校在籍中に予備試験に合格している若年層が毎年出ていることがわかります。
司法試験の最年少合格者は例年65歳以上
平成28年度~令和2年度までの最年長合格者は60代後半以上を推移しています。平成29年度に合格者の出ている71歳が新制度に移行してからの最年長記録です(2021年現在)。
定年退職後のセカンドキャリアとして法曹の道を目指すといった選択肢を含め、 シニア層にも門戸が開かれている と言えます。
まとめ
司法試験合格者の年齢を中心に、様々なデータをまとめました。司法試験合格者の平均は30歳弱と、大学卒業後に法科大学院を修了して受験資格を得る受験者がボリューム層であることがわかります。また、予備試験合格を中心に、20歳前後、ないしは働き盛りの社会人や定年退職後に司法試験に合格する受験者も数多くいます。
どのような年齢、環境であっても状況を見据え、現実的な計画を立てることによって司法試験合格の道は拓かれます。 ぜひ高い目標をもって挑戦してみてください。加藤ゼミナールの予備試験対策講義は社会人受験を含め多くの方に支持を受けています。