高畑 大地 様
神戸大学法学部卒業
京都大学法科大学院(既習) 中退
令和3年予備試験合格
令和4年司法試験合格
総合 962.08点 309位
論文 472.04点 308位
公法系 102.00点(B、A)
民事系 184.21点(A、A、A)
刑事系 126.44点(A、A)
労働法 59.38点
加藤先生の教えに従えば確実に合格することができると思ったからです。
目的手段審査すら知らなかった私は、令和3年度予備試験の論文の直前の6月に、YouTubeにアップされている令和2年度予備論文憲法の解説動画を見て衝撃を受けました。アップされた予備論文の解説動画をすべて見て、先生が繰り返しおっしゃられていた過去問演習の背後にある年度を問わない答案を書く能力を身に着けるべきという考えに深く感銘を受けました。予備論文を終え、先生の解説講義を聞いていなければまともに戦うことすらできなかっただろうと思い、司法試験の過去問講座は絶対に加藤ゼミナールにしようと決めました
また、コスパ・タイパの観点からも加藤ゼミナールを選びました。
予備試験の過去問については予備校を使わずインターネット上の再現答案を参考にしていましたが、現場思考要素の強い司法試験においては一受験生の再現答案を完全に信頼することはできず、また自主ゼミで答案を見比べ議論をすることも、かけた時間のわりに得点につながらないように思いました。一方で、過去問対策講座は来年確実に合格することができるとすれば価格も高すぎず、これひとつを完璧にすれば確実に合格できると思える完成度の高い教材だったので、受講するのがよいと考えました。
予備論文、ローの期末試験が終了した夏休みから過去問演習を始めました。
過去問演習講座中の模範答案のような答案を書けるようになることが目標だったので、過去問演習を通じて知識・テクニックを身に着け、自前の短文事例問題集でそれを磨くという計画を立てました。
先生の教え通り、1科目ずつ過去問演習を行いました。具体的には、1つの科目のAB(C)ランクの過去問を解き、その後、過去問演習で身に着けた知識・テクニックを意識しながら短文事例問題集を一周し、次の科目に行く、という流れです。
1科目ずつ取り組んだのは、知識・テクニックを「得る」ことと「思い出す」ことは違うことであり、得るのには時間がかかる一方、思い出すことは簡単と考えたので、まずは科目ごとに知識等を得て、最後に思い出せばいいと考えたためです。たしかに、全科目終了した後には最初のほうに取り組んだ公法や刑法の切れ味がかなり落ちているように感じました。しかし、後述の通り、Cランク過去問の演習を通じて知識等を思い出すことで切れ味を取り戻すことができました。
また、起案・解説等を含めてだいたい5時間前後かかるところ、10時前後~24時前まで自習室にいたので、過去問は1日2問を目標に解きました。
具体的な科目の流れは、8月下旬に入るまでに憲法、8月中に行政法半分、9月中旬までに刑法、ここからは労働法、ローの予習、口述試験の勉強で時間が流れ、11月刑訴法、12月商法、1月下旬までに民法、1月下旬に民訴法、2月に行政法、2月下旬から3月上旬に労働法(労働法については合格体験記で詳しく書きます)という感じでした。
憲法に取り組み始めたときに全科目終了までの大まかな計画を立て、今から取り組む科目の詳細な計画を立て、科目が変わるたびに全体の修正を繰り返した結果このような流れになりました。
刑法が終わったあと、知識・テクニックの習得にはA・Bランクの演習と短文事例問題で足りると考えたこと、また時間的余裕もなかったことから、Cランクは全科目終了した後の直前期の答練代わりに使うこととし、それまでは解かないことにしました。
また、行政法を半分で切り上げ刑法を始めたのは、刑法の対策が口述試験の対策にもつながると考えたためです。
基本的にはすべて起案することを心がけていました。
しかし、予備ルートで、ウィンタークラークも重なり時間がなかったことから、全科目・全年度の起案をすることは現実的ではないと考え、より効率的な学習方法を検討しました。
そこで思いついたのが次の分類にしたがった学習方法です。
私は、基本7科目を①特にテクニックが大事な科目、②特に知識が大事な科目、③特に現場志向要素が強い科目に分けました。
そして①はテクニックで差がつくので十分な学習効果を得るには起案が必要である、②は知識で差がつくところ、答案構成と起案では知識習得に関する学習効果に差はあれどそれほど大きくないから、時間がないときは答案構成で充分である、③は最低限の知識と答案のテクニックを知っていて、いくつかの年度で実践できれば起案の意味は薄い、としてすべて起案することを諦めました。
私は各科目を①憲法、行政法、(あてはめの観点から)刑訴法、②刑法、商法、民法、③民訴法と分類しました。そのため、最後のほうに取り組んだことから時間がなかった②民法、③民訴法はその多くを答案構成で済ませつつ、①行政法は結果的に7科目では一番最後に取り組んだにもかかわらずABランクのほとんどを起案しています。また、3月以降の直前期には②を答案構成により高速で復習することができました。
もちろんこの分類が絶対に正しいものとは考えていませんが、合格をより確実なものにするために特定の科目を捨てることはしたくなかったので、このような勉強方法を採用しました。
解説を聞く際に意識していたことは、理解を示す、問題の所在を意識する、配点を意識する、要件すべてに触れる、事実を拾う、評価するといった、先生が特に模範答案において意識されている答案の書き方を、そっくりそのまま自分の答案でも再現できるようにすることです。答案を書く際のイメージは、先生を憑依させるといったものです。
過去問で一度出題されただけの論点を一度の演習で完璧にすることは難しいですが、答案の書き方についてはすべての年度の模範答案を先生が作成しておりブレがないことから、17年度分の演習を通じて繰り返し学習することができ、身に着けやすいです。
他方で知識面については、A・Bランク論点は網羅的に理解するよう心掛けましたが、やはり時間的制約もありますし、私はそもそもものわかりのいいほうではないので、自分にとって難しすぎると感じたことや先生がこれはできなくていいとおっしゃられた点については潔くあきらめていました。
総まくり論証集の完成度に驚かされました。ロー入試~予備論文までは一元化教材として他の予備校の論証集を使っていたのですが、元の方の論証が微妙だなと感じたときに総まくり論証集をみると、まさに欲していたような論証が用意されているのです。
他方で、一元化教材を乗り換えると、論証の言い回しの違いなどから調子を崩してしまう恐れもあります。
予備論文後は、今まで使ってきた一元化教材を乗り換えるには少し遅い時期であり、すべての科目で乗り換えることは危険だと考えたため、演習の中で今までの一元化教材でも大丈夫だと感じた科目については総まくりの論証を移植しつつその教材で乗り切り、元の論証集が弱すぎると感じた科目については乗り換えることにしました。
結果的に、完全に乗り換えたのは憲法、行政法、刑法、刑訴法(捜査法、公訴提起のみ)でした。もっとも、乗り換えていない科目も、元の記載や移植を通じてABランク論点の多くを網羅できていました。したがって、必ずしもすべて乗り換えた方がいいというわけではないと感じました。
確実に点数を取れる答案の型を作ることができました。
司法試験は点取りゲームといわれることもあるところ、ゲームである以上そのゲームのルールに従って答案を作成する必要があります。そして、採点は答案のみを見て行われるので、いくら知識があっても答案の書き方を知らなければ合格に近づくことができません。
また、答案の書き方を知っていれば、この知識は答案のこの部分で使うと意識しながら学習することができ、より理解が深まります。
そこで、何よりもまずは点数を取れる答案の書き方を確立していることが大切だと考えます。
そして、点数を取れる答案の型を身に着けるには、この過去問演習講座を受講することが最も有効な手段と考えます。
解説講義の中でもたびたび言及されるように、先生の作成する模範答案は出題の趣旨や採点実感を分析したうえで配点を意識して作成されています。また、論点についての規範やそのあてはめ方も、引用元が明かされています。これらから、仮にこの過去問に対してこの答案を作成すれば確実に上位で合格できるだろうという信頼が生まれ、さらに本番でもこのような答案を書けば確実に合格することができると信じることができました。
また、17回分の模範答案をすべて同一人物が作成していることから、答案の書き方にブレがありません。そのため、意識していれば17回の過去問演習をするだけで模範答案に示されている答案の書き方をかなり自分の中に落とし込むことができるように思います。
私は、加藤先生の解説講義を聞くまで、要件をすべて検討しなければならないということすら知らず、短文事例問題集や論証集にのっていた論点のようなものが出題されていたらとにかくそれをそのまま書いていました。そのような私にとって配点を意識するという考えや、その考えに基づく答案、その書き方の指導は目からうろこでした。
また、そのような考え方に触れ、問題文の見え方も変わり、問題→条文→要件→事実という流れをつかんで論点主義から脱却でき、すべての法律科目の答案の書き方が変わりました。もともと私は特に突出した得意科目がないタイプなのですが、全科目を横断する答案の書き方を確立することで全科目安定した成績を取ることができるようになりました(予備試験の基本7科目はA4個、B3個でした。)。
特に先生から答案の書き方を学んでよかったと思った科目は、憲法と刑事訴訟法です。
憲法については、冒頭でふれたように、目的手段審査すら知りませんでした。というのも、私が勉強に使っていた予備校の短文事例問題集の問題は有名判例を問題化しているところ、答案もその判決文をそのまま答案のような形に落とし込んだだけで、解説も「これはあの判例そのままですよね。」といったものしかなかったのです。しかし、私はその答案の書き方が正しいと思い込み、ひたすら判決文を暗記し、むしろ得意科目だとまで思っていました。当然、ロー入試での憲法の成績は悲惨でした。
しかし、予備試験の直前に令和2年の解説講義を聞き、違憲審査基準というものの存在、その種類、導き方その中で考慮すべきもの・すべきでないもの、目的手段審査の方法(手段適合性や手段必要性)を知って、答案の型を習得することでき、予備試験憲法はAでした。
また、刑事訴訟法の捜査法の問題では、「必要性」について論じなければならない場面が多々あります。
総まくり論証集には必要性の中身として何を考慮すべきか、またどのような順序で言及すべきかが細かく整理されています。また、このような論点は過去問で何度も出題されていることから、その処理手順を前提とした模範答案も十分に用意されています。
いままではインプット段階で得た判例の知識を意識しながら何となく必要性を主張していましたが、この処理手順を知ってから、捜査法の問題は事実をただ整理するだけの作業となりました。刑事訴訟法のようにあてはめに重きが置かれる科目では特に答案の書き方が確立されていることがアドバンテージになりました。
令和4年のいくつかの科目では、過去問対策講座を受けていたことで完全に初見の論点を減らすことができ、また再度出題された論点については規範を書き写して問題文中の事実を拾い評価していくだけの作業だったので、ペースを乱されることなく自分の実力を発揮することができました。
民法では、詐害行為取消が出題されていたが、過去問の解説の中で債権者代位・詐害行為取消についてはすべての要件の充足をいかに端的に指摘できるかがポイントとおっしゃられていたことから、これらの問題は複雑な議論はなくただ要件の充足を検討すればよいと整理されていました。請求の相手方が転得者であることや、特定物債権が被保全債権足りうるかも問題となっていましたが、これらもあくまで要件検討として当然に問題になるもので、かつ、淡々と検討すればいいだけだったので、特に焦ることなく解くことができました。
民法は必要とされる知識量が多いことから網羅的な理解が要求されるものの、答案の書き方、特に民法では請求の内容を検討し、その条文を指摘し、要件充足性を検討する、これらのいずれかの段階でいわゆる論点が現れるという考え方・答案の書き方が確立されていたことから効率的に学習することができ、対策が追いつかないということはありませんでした。
商法について、経営判断原則は基本書や予備校によって論証や判断枠組みが異なっており混乱していた部分だったが、受験戦略的な観点から、圧倒的に信頼している加藤先生の論証を信じればいいと割り切って、総まくりの論証に乗り換えていました。本番でも、この論証と、それに従った処理手順を用意していたことから安心して事実を整理し、使い切ることができました。
また、上述の通り、以前までの論点主義だった私ならば初めて触れるような条文がメインとなる問題が出題されると確実に焦ってペースを崩してしまっていたと思います。以前の私にとっては339条もその一つです。しかし、この条文が過去問で出題されていたことや、総まくり論証集で再度の出題に備えた論証が用意されていたことから、焦ることなく問題を処理することができました。
339条については若干現場思考のような要素があったように感じましたが、民法同様、ただ条文の要件について検討すればいいだけで、要件の充足性や、該当する事実としていかなる事実を認定すべきかが問題となっているにすぎないこと、筋が通っており説得力があればどのような結論を取るかは自由であるということは演習で教わっていたので、淡々と処理することができました。
民事訴訟法について、自白の撤回の可否が問題となっていたが、当時は何を書けばいいのかわかりませんでした。しかし、過去問演習講座で、現場思考問題の処理の仕方として、問題の所在をとらえる→規定の趣旨にさかのぼるという検討手順を学んでいたことから、これを使えば何か見えてくるのではないかと考え書き進めていたところ、自白の撤回の可否、そのうち反真実が問題になっているということに気が付くことができ、なんとか大失点を避けることができました。
自白の撤回の可否について、自白が問題となった過去問を解いた際に総まくりに記載されている自白の撤回の可否・錯誤の場合の論証も確認していたことから、自信はないながらも間違ったことは書いていないという確信を持ちながら答案を書くことができました。
刑事訴訟法については、おとり捜査が出題されていることを確認した瞬間小さくガッツポーズをしたことを覚えています。おとり捜査も、今までの論証では処理手順が確立されておらず、基本書を参照してもすっきりしない論点でした。
しかし、総まくり論証集にはあてはめの考慮要素とその考慮の仕方が記載されていたので、問題文を読みながら事実に番号を振って、答案構成でその事実を考慮要素に振り分けていくだけの作業でした。もともと答案を書くのが遅く刑事系でも7枚が限界だった私にとって、おとり捜査では書き負けないだろうと思えたことは大きな自信となりました。
また、放火の方法に関する訴因変更の要否や検察官の釈明内容と異なる事実認定については、直前期の暗記の際に総まくり論証集を読みながら、なんだか出題されそうだなとおもいつつも理解が追いついていなかったために無理やり暗記で詰め込んだ部分でした。総まくり論証集には、この論点が答案付きで整理されていたため、無理やり暗記しただけでもなんとか乗り切ることができました。
正直私の場合は運が良かっただけですが、論点が答案付きで解説されていることから、総まくり論証集を使っていた受験生にとってはサービス問題だったと思います。このように答案が用意されており、実際の出題の際にどのように書けばいいのか悩むことがないという点も、総まくり論証集の大きな利点といえます。
憲法は、学問の自由からの出題で、正直失敗はしたものの、最低限は守りきれたのではないかと思っています。
過去問講座を受講するまで学問の自由を対策しようと思ったことはありませんでしたし、もし受講せずに学問の自由が問題になっていた過去問を解いたとしても、ニッチな権利で再度の出題はされないだろうと高をくくり勉強していなかったと思います。しかし、実際そのように思っていた節はあったものの、総まくり論証集にはAランク論点として記載されていたことから念のためと思い対策していました。また、教授の学問研究の自由と大学の自治の対立は、加藤先生の解説で初めて知った論点でしたが、過去問を繰り返し解いていたことから、これだけは書ける!!と精神衛生を何とか保ってくれました。
出題可能性を考慮した論点のランク付けがなければ憲法で最低評価を取ってしまっていたかもしれないと思うと、出題傾向を分析しつくした加藤ゼミナールの教材には感謝してもしきれません。
司法試験・予備試験は難しい試験ですが、攻略方法も研究されており、自分のやるべき勉強をすれば合格することができる試験だと感じました。
自分のやるべき勉強が何かわからない場合は、圧倒的な研究に裏打ちされた加藤ゼミナールの模範答案を参考にして、ゴール地点を定めることからしてみるといいのではないかと考えます。
ゴール地点からの逆算ができればあとはひたすら机に向かうのみです。応援しています。