加藤ゼミナールについて

独学で臨む司法試験 その実情とメリット・デメリット

合格者の試験対策(実務家Sさん)

はじめに

司法試験合格を目指す皆さんにとって、合格者の「勉強方法」は何より気になるところでしょう。勿論、どのような教材を使うかも重要ですが、「誰とどのように勉強するのか」、即ち勉強スタイルも結果を大きく左右します。

司法試験に合格し、実務家になった今、独学で司法試験に合格することは可能かを、ざっくばらんにお伝えしたいと思います。
(注)司法試験を目指す方の多くは、法学部or法科大学院に通われていると思いますので、以下では、学校以外での自学自習についてお話します。

私の周りの「独学合格者」

合格者数は驚きの…

正直に申し上げますが、私の知る限り、予備校や自主ゼミを全く使わなかった独学合格者は「1人」だけです(私は私大法学部から法科大学院に進んでおり、司法試験受験生の知り合いは多かったと思います。)。

なお、後述するように、残念ながら私は、独学スタイルでの勉強が出来ませんでした。

「独学合格者」は何をしていたのか

私自身が「独学合格者」ではないため、詳述は控えます。

ただ、たった1人の独学合格者をそばで見ていて、その合格の秘訣は、 ①司法試験に向けた勉強方法が確立しており 、(かつ、結果として間違っていなかった) ②ひたすらストイックだった 、ことにあったと思います。

特に①について、司法試験合格後に振り返ってみると、独学合格された方の司法試験での点数の取り方やその為の勉強方法は、私が加藤先生から習ったものに非常に近似していました。つまり、予備校で教わることを一人で出来ていたんですね。

なお、本人に聞いたところ、司法試験に向けた勉強法については、加藤先生や司法試験合格者の匿名ブログを参考にしたとのことでした。

独学での合格を目指すには

独学のメリット

私の考える独学のメリットは、以下の通りです。

  • インプット時間を十分に確保できる
  • 自分のペースで勉強することができる
  • 基本書や問題集以外の費用がかからない

メリットが少ないように感じますが、司法試験受験生にとって、自由に勉強計画が立てられ、しかも費用も掛からない、というのは非常に魅力的です。

独学の何が辛いのか

私は早々に自主ゼミを組み、独学を辞めました。独学が続かなかった理由(=デメリット)は、以下の通りです。

  • 気軽に質問ができない、そもそもわからないことがわからない
    ロースクールの教授に聞くまでもないが、分からないことがあるとき、独学では質問が困難です。また、苦手科目では「そもそも自分が何を理解していないか分からない、何をすればいいのか分からない」状態になることもあります。こうなると、独学ではお手上げです。
  • さぼる、飽きる(大きな声では言えませんが、皆さん心当たりがあると思います。)
  •  自分を客観的に見ることができない 成績が上がらない理由や自分の答案の癖を客観的に見ることは、とても難しい作業です。独学での合格が難しい理由の最たるものは、これだと思っています。
  •  精神的に辛い 
    一人で勉強していると、「落ちたらどうしよう、周りはあんなに出来ているのに…」という負の感情が押し寄せます(余談ですが、司法試験に合格する為に、この感情と上手く付き合うことは非常に大事です。)。

独学での合格は可能なのか?

ここまで独学のデメリットを論じてきましたが、私は、独学であっても司法試験合格は不可能ではないと思います。ただし、独学が可能な方は、少なくとも以下の条件を満たす必要があります。

  • 自分の弱点を客観的に見ることができる
  • 司法試験合格までの正しいプロセスを理解し、予定を淡々とこなすことが出来る
  • メンタルが鋼のように強い、孤独を厭わない

今考えると、前述した独学合格者は、この条件を満たしていたように思います。ですが、ほとんどの方は、この条件を満たすのは難しいのではないか…と私は思います。

独学以外の選択肢とメリット・デメリット

独学以外の勉強方法としては、①自主ゼミ②実務家のゼミ③予備校が挙げられます。
それぞれ、私の考えるメリット・デメリットは以下の通りです。

自主ゼミ

■メリット

  • 司法試験受験生という同じ立場の者同士なので、遠慮なく質問をでき、また、忌憚のない意見を聞ける
  • 精神的な支えになる
  • お金がかからない

■デメリット

  • 準備や議論に時間はかかるが、ゼミの場で重要な示唆が得られるとは限らない
  • ゼミ生は司法試験の指導者ではないので、相手の指摘が合格に結びつくとは限らない(的外れな意見もある)
  • 自主ゼミ自体の方向性が間違っていると、ゼミとしての意味をなさない

■コメント
自分に足りない能力を補える友人がいるのであれば、自主ゼミはぜひ組むべきだと思います。ただし、 ①終了時間を決め、だらだらと行わない②自分と似たタイプの人は選ばない 、ことにご注意ください。

実務家のゼミ

大学・法科大学院によっては、実務家が担当するゼミが開催されていることがあります。

■メリット

  • 疑問点を質問しやすい
  • 受験科目を網羅的に勉強した人からアドバイスがもらえる
  • 無料で受講できることが多い

■デメリット

  • 実務での考え方と司法試験の考え方は必ずしも一致しない
  • 司法試験の点の取り方は分かっていないことも
  • 合格から時間が経っていると、現在の司法試験の傾向が分かっていない可能がある

■コメント
 実務家のゼミは、知識を習得・深化したり、答案のペースメーカーとして使うには有益 でした。しかし、実務家は必ずしも司法試験のプロではないため、教えてもらったことが試験の点数に結びつくのかは疑問です。また、合格から年数が経っていると、司法試験の最近の流れは分からないこともあります。

予備校

予備校とひとくくりにするのも乱暴ですが、ここでは、①答案の採点をしてもらう②解説を受けるスタイルの予備校を前提にします。

■メリット

  • 自分の弱点をピンポイントに指摘してもらえる
  • 「司法試験合格」という目標に特化した形で、情報の取捨選択が出来る
  • 各科目の勉強法だけでなく、司法試験全体の勉強法を学ぶことができる(択一と論文の勉強配分、暗記の方法など)

■デメリット

  • 法科大学院の試験対策には直結しない
  • 大学や法科大学院に通っている場合、さらに講義や答案作成の負担が増える(自学時間が減る)
  • 費用がかかる

■コメント
正直、私は、加藤ゼミを受講するまで、予備校の授業の必要性を全く感じていませんでした。

しかし、今になってみれば、 ①基本書や法科大学院で学ぶ膨大な情報の中から、司法試験合格に必要な情報を選別する②自分の考え方や答案の癖・弱点を知る為には、予備校は非常に有益だった と思います(加藤ゼミを受講するまでは、①②が出来ていないことすら、自覚がありませんでした。)。

また、費用に関しても、大手予備校でなければ、実はそこまで高くなかったりします。

私は予備校の重要性に気づくまで時間がかかり、結果として司法試験合格までも時間がかかってしまいました。

そのため、司法試験受験にあたり何らかの不安があったり、最短での合格を目指したいのであれば、苦手科目だけでもいいので、予備校での指導を受けることをお勧めします。

おわりに

独学で司法試験に合格することも不可能ではないですが、試験勉強が長期にわたることもあり、極めて難しいと思います。

合格者の立場からは、自主ゼミや予備校を利用しつつ、司法試験合格を目指すことをお勧めします。

執筆者情報
実務家弁護士S
私大法科大学院卒業・新司法試験合格・実務経験2年以上
加藤ゼミの受講により勉強法を変えたことで司法試験に合格したことから、その経験を後輩に伝えたいと思い記事を執筆。
受験生時代の得意科目は刑法、苦手科目は行政法。