試験対策の開始時期
司法試験に合格するためには、基本書や授業で法律知識を習得するだけではなく、試験対策に特化した勉強が必須です。
試験対策に特化した勉強とは、例えば、択一の問題集を解いたり、論文式試験の過去問を解き、対策を練ることを指します。
この記事では、
- 司法試験の勉強を始めようとしている/始めたばかりの方
- ロースクール通学中の試験勉強開始のタイミングが分からない
方にむけて、いつから司法試験の勉強を始めるべきか、試験勉強の開始時期をお伝えします。
ロースクール入学前
既習
【学習状況】
既修者の場合は、遅くとも大学2年生から、司法試験或いはロースクールの入学試験に向けた勉強を始めています。中には、大学時に予備試験合格を目標としている方もいるので、ロースクール入学時点での学力は相当高いと思います。
ロースクール卒業後に司法試験を受けるという一般的な受験生の場合には、この時期は、①民法・刑法・憲法は全て学習済み②刑訴・民訴・会社法は、やや手薄な部分もあるが、おおむね学習済み③行政法は勉強中④選択科目は未習といったレベルでしょうか。
【試験対策】
この時期に、論文式試験の対策(過去問を解く等)まで準備している人はごくわずかでしょう。
他方、択一式試験に関しては、憲・民・刑の問題集は1周解き終わっているという人がそれなりにいます。とはいえ、あせって試験対策に手を出す必要はないと思います。
司法試験に直結する勉強としては、 論証集の作成・補完、(司法試験の過去問を除いた)問題集を進める 等があります。基礎を固める時期ですね。
未修
【学習状況】
未修者の場合は、ロースクールの入学試験は小論文のみで、法律科目が課されません。
しかし、入学前から法律の勉強をしている人とそうでない人とでは、入学時点で学力にかなりの差がついています。
法学部出身者は、少なくとも一通り法律を学んでいる状態です。また、非法学部出身者も、予備校の基礎的な講義を受講済みの人が多いです。
そのため、ロースクールの入学が決まったら、すぐに法律の学習を始めた方が良いです。
【試験対策】
未だ行いません。
ロー1年生(未修)
【学習状況】
各ロースクールのカリキュラムにも拠りますが、未修者の1年目では、憲・民・刑・民訴・刑訴・会社法までを1年間で学びます。1年間で既修者と同じレベルまで到達しないといけないため、完全未修者は非常に大変だと思います。
入学前に法律の学習をある程度している人でも、この時期に過去問を解いている人は殆どいないと思います。
私は、主に授業の予習・復習とまとめノートの作成を行っていました。
【試験対策】
私は、過去問には手を出さず、 論証集を作成 することに努めていました。問題集については、刑法と民法の一部だけ解いています。
未修の周りの友人も、同様の状態でした。
ロー2年生
【学習状況】
すべての法律科目について授業が行われ、授業の予習復習に時間を取られます。
ロー2年生では、暗記や試験対策を除き、一通りの学習を済ませるイメージです。
【試験対策】
授業は忙しいですが、土日や長期休みを使って、司法試験の過去問を解き始めます。
前期は授業や中間・期末試験で手いっぱいの為、夏休みから過去問検討を始める人もいますが、前期のうちから少しずつ択一試験を解き始めておくと、後々かなり楽だと思います(択一の勉強をすると、知識のアップデートに繋がり、論文の成績にも良い影響を与えます。)。
選択科目については、ロースクールの授業進度にあわせて勉強する人が多く、司法試験の過去問に取り組むのは春休みに入って以降になると思います。
ロー3年生
【学習状況】
応用的な授業が行われます。模擬裁判などがあり、時期によっては準備で忙しいです。
【試験対策】
3年生では、本格的に司法試験を意識した勉強が始まります。
平日は、授業の予習復習もそこそこに、論証集を見直したり、少しでも択一を進めたりと司法試験対策を進めていました。土日と長期休みでは、論文を解き、自主ゼミで互いの答案を採点していました。
予備試験を受けるか否かにもよりますが、既習者コースの多くの人は、5月に行われる予備試験の択一合格をひとつの目標として、択一の勉強を進めています。
論文式試験対策として、答練(答案練習。論文の答案を採点してもらう。)も始まります。
試験対策は最初が肝心
司法試験の試験対策は、「いつから、何をどのように進めるか」の計画が非常に大切です。また、受験日が近づけば近づくほど、挽回も難しくなります。
勉強計画は早めに立てておきましょう。
実務家弁護士S
私大法科大学院卒業・新司法試験合格・実務経験2年以上
加藤ゼミの受講により勉強法を変えたことで司法試験に合格したことから、その経験を後輩に伝えたいと思い記事を執筆。
受験生時代の得意科目は刑法、苦手科目は行政法。