2021年5月、労働法速修テキスト講座をリニューアルしました。
最新の判例学説及び出題傾向を反映することによりテキストをリニューアルするとともに、講義動画を全て撮り直しました。
【目次】
(1)労働法速修テキスト講座とは
(2)講座の特徴
(3)学習の流れ
(4)配信スケジュール
(5)テキスト・動画のサンプル
(6)テキストの内容、形式・論証集とは
(7)労働法とは
(8)労働法の概要と出題
(9)講座詳細・料金等
※ 予備試験を受験される方は、こちらから「令和4年予備試験の選択科目の問題数、試験時間、出題の範囲・形式」についてもご確認ください(2021.06.05追加)。
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労働法速修テキスト講座は、労働法の入門講座でございます。
労働法をいちから学習する方でも、試験対策として必要な情報が集約されている本講座だけでトップレベルの答案を書く実力を身につけることができます。
司法試験対策だけでなく、予備試験対策としてもご利用いただけます。
これまで、多くの受験生の方々が労働法速修テキスト講座を使って労働法をいちから勉強し、労働法で上位合格を収めております。
労働法速修テキスト講座をはじめとする労働法講座は、受験界で圧倒的なシェアを獲得しており、1年間に250人前後の方々に受講しております。
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〇学習段階に応じた3段階のインプット講義
労働法速修テキスト講座のカリキュラムは、①短時間で労働法の全体像を把握するための導入編(約4時間)、②速修テキストを使って基礎固めをするための基礎編(約24時間)、及び③労働法速修テキストのうち細かいこと・難しいことまで学習するための応用編(約6時間)の3つからなります。
①導入編では、導入編用のレジュメ(PDF)を使い、労働法の全体像を把握して頂く。これにより、速修テキストを使った基礎編及び応用編における学習をスムーズに進めることが可能となります。
②基礎編では、速修テキストを使い、Aランク・Bランクの分野・論点に重点を置いて説明をするとともに、論点・判例についても重要部分や基礎的なことに絞った説明をするにとどめます。基礎編では、確実に合格水準の知識を身に付けて頂くために、分野ごとにこういった制度、条文、論点及び判例があり、この論点における判例・通説はこういた立場であり、当てはめではこういった事実関係が重視されている、といった合格水準として必要なことに重点を置いた説明をするにとどめ、難しいことや細かいことには言及しないようにします。
③応用編では、速修テキストを使い、②基礎編では言及しなかったマイナー分野・論点や、論点・判例に関する難しいこと・深いことについても説明いたします。マイナー分野まで隈なく勉強するとともに、論点・判例について完璧な理解を身に付けることにより、労働法で65点以上(上位5%以内)を目指すために必要とされる知識を身に付けて頂きます。②基礎編だけでも、60点以上を目指すために必要とされる知識は身につきますから、労働法で上位を目指さない場合、③応用編を飛ばすことも可能です。
〇ランク付けとマーク・アンダーライン指示による記憶の範囲及び優先度の明確化
労働法速修テキスト講座では、令和3年司法試験までの出題の実績及び傾向を踏まえ、徹底した出題分析に基づき、分野・判例・論点単位で、A~Cのランク付けをしております。ランク付けは、予めにテキスト右の余白に反映しております。
また、速修テキストには、理解のために読むべき記述と、記憶するべき記述とがあります。最終的には、記憶するべき記述だけを何度も読み込むことによりインプットをすることになりますから、記憶の範囲とその優先度を明確にするために、4色の色分けに基づくマーク・アンダーラインの指示もございます。
そして、マーク・アンダーラインの指示・反映の効率化を図るために、マーク・アンダーラインについては、講義中に口頭で逐一指示をするのではなく、テキストを映した専用動画により指示させて頂きます。従いまして、②基礎編を視聴する前に、マーク・アンダーラインの指示動画に従い、速修テキストにマーク・アンダーラインを引いて頂き、その後で基礎編を受講して頂くことになります。
このように、3段階のランク付けと4色のマーク・アンダーラインの指示により、記憶の範囲とその優先度が明確になるため、効率的なインプットが可能となります。
〇基本書・判例集は不要、労働法速修テキスト講座だけでトップレベルの実力を身に付けることができます
速修テキスト(423頁)には、司法試験対策として必要とされる制度・条文、論点の論証(約180個)及び判例が集約されております。
従いまして、速修テキストだけで、労働法の基礎固めを完成させるとともに、トップレベルの答案を書く実力を身につけることができますので、基本書・判例集は不要でございます。
仮に、辞書的に基本書・判例集を参照するにしても、1冊ずつに絞って頂くことをお薦めいたします。
〇メリハリ付けが徹底された無駄のないテキスト
速修テキストでは、徹底した出題分析に基づき、出題可能性が高く、かつ、判例の当てはめレベルのことまで問われる可能性が高い論点については、判例の当てはめのポイントまでテキストに反映した上で、Aランクに位置づけ、マーク指示もしております。
その一方で、出題可能性が低く、かつ、仮に出題されても深いことまでは問われないであろう論点については、B~Cランクに位置づけ、簡潔な説明・論証を掲載するにとどめています。
このように、情報の取捨選択をはじめとするメリハリ付けを徹底することにより、網羅性がある一方で無駄のない完成度の高いテキストになっております。
〇司法試験委員会の理解に適合した記述
司法試験・予備試験の論文試験では、基本書に書いてあるからといって、それが当然に正しいと評価されるわけではありません。
判例の理解、学説の選択及び要件整理等について、学者間で見解が相違していることがあり、その場合、なるべく司法試験委員会の理解に従うべきです。
司法試験・予備試験では、司法試験委員会の理解がルールです。
そこで、労働法速修テキスト講座では、判例の理解、学説の選択、要件整理、さらには答案の書き方についても、司法試験の出題趣旨・採点実感と現・元考査委員の著書・執筆箇所を優先的に参照することで、なるべく司法試験委員会の理解に適合した内容になるよう努めております。
従いまして、労働法速修テキスト講座では、司法試験委員会に理解に適合した知識、すなわち司法試験・予備試験でちゃんと評価される知識と書き方を習得することができます。
〇論証集の付属
労働法速修テキスト講座には、労働法速修テキストの内容を3分の1くらいに圧縮した労働法論証集(139頁)が無料で付属します。
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Step1:導入編の受講
導入編で労働法の全体像を把握し、速修テキストを使った基礎編に入る準備をして頂きます。これにより、基礎編における学習をスムーズに進めることが可能となります。
Step2:マーク・アンダーラインの反映
基礎編に入る前に、マーク・アンダーラインの指示動画を視聴しながら、速修テキストにマーク・アンダーラインを反映して頂きます。
Step3:基礎編の受講
速修テキストを使った基礎編の受講により、労働法の基礎固めを完成させます。この基礎編が最も重要であるため、基礎固めをして演習や応用編に入るための素地を作るために、基礎編を倍速で2~3周するのもありだと思います。
Step4:労働法重要問題100選講座の受講
労働法速修テキスト講座のほかに労働法重要問題100選講座を受講して頂いている方は、司法試験過去問に入る前に、労働法重要問題100選講座を使って、事案と条文・論点の対応関係、労働法全体・分野論点単位での答案の書き方を確認するとともに、速修テキストで学んだ知識を使うことに慣れることにより、司法試験過去問を使った演習に入るための基礎固めをして頂くことになります。
労働法重要問題100選講座には、事実関係等をシンプルにした上で司法試験過去問も反映していますから、予備試験対策として労働法を勉強する場合には、労働法速修テキスト講座と労働法重要問題100選講座を受講して頂けば十分であり、司法試験過去問までやる必要はありません。
Step5:労働法過去問講座
司法試験対策として労働法を勉強する場合、司法試験過去問までやる必要があります。
もっとも、労働法では、基本7科目と異なり、論点抽出が難しい出題は稀である上、アウトプット面で難しい受験技術的なことが要求される場面もほとんどありませんから、答案を書く必要性は高くありません。
知識さえあれば上位答案を書くことが可能である一方で、知識がない場合に受験技術によるごまかしが通用しにくいという科目特性を踏まえると、なるべくインプットと基礎的な演習(労働法重要問題100選講座レベルの演習)に時間を使うべきです。
そのため、出題分析と自己分析のために直近の出題の傾向・難易等が反映された令和2年・3年の司法試験過去問の答案を書いた後に、再度の出題可能性に備えるためにAランク過去問に絞って答案を書けば足ります。
人によっては、Aランク過去問の答案作成すら不要です。私自身、受験生時代に労働法の答案を書いた経験は、司法試験本試験、法科大学院の学内試験及び予備校全国模試しかなく、司法試験過去問の答案を書いたことは一度もありませんでした。
Step6:応用編
応用編では、速修テキストを使い、基礎編では言及しなかったマイナー分野・論点や、論点・判例についての難しいこと・深いことについても説明いたします。マイナー分野まで隈なく勉強するとともに、論点・判例について完璧な理解を身に付けることにより、労働法で65点以上(上位5%以内)以上を目指すために必要とされる知識を身に付けて頂きます。基礎編だけでも、60点以上を目指すために必要とされる知識は身につきますから、労働法で上位を目指さない場合、応用編を飛ばすことも可能です。受講する場合には、学習の一番最後に位置づけるべきです。
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教材の配送 | お申込みより1週間ほどで発送いたします。 |
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導入編の動画 | 全て公開済みでございます。 |
基礎編の動画 | 全て公開済みでございます。 |
応用編の動画 | 全て公開済みでございます。 |
マーク・アンダーライン指示動画 | 全て公開済みでございます。 |
[ガイダンス動画]
[導入編 第1回]
[基礎編 第1回]
〇論文対策として必要な知識が全て反映されている
速修テキストには、司法試験・予備試験で必要とされる制度・条文、論点の論証及び判例が過不足なく反映されています。
判例については、菅野和夫ほか「ケースブック労働法」(弘文堂)のように複雑な事実関係を全てに掲載するのではなく、事実関係のうち判旨の重要部分を理解するために必要なものだけをテキストに反映するとともに、判旨についても全文ではなく重要部分に絞って掲載しております。
〇論証を掲載
ほぼ全ての論点について、水町勇一郎「詳解労働法」(東京大学出版会)、土田道夫「労働契約法」(有斐閣)、土田道夫「労働法概説」(弘文堂)をはじめとする著名な基本書や解説書を参考にして、完成度の高い論証を掲載しております。
ごく一部、テキストのデザイン及び受講者様の学習の便宜のために、敢えて[論点]という形式で取り上げていない論点もありますが、当該論点について答案に書くべきことは全てテキストに反映されているとともに、マーク・アンダーラインの指示や口頭解説により論点として認識することができるようにしておりますので、ご安心頂ければと思います。
〇分野・論点・判例単位での3段階のランク付け
速修テキストの右余白には、予め、分野・判例・論点単位でのランク(A、B、C)が反映されております。
〇参考文献の表示
速修テキストは、著名な基本書・解説書等を逐一参照することにより、徹底したリサーチに基づいて作成しております。
速修テキストを作成する際に参照した文献の名称及び該当頁をテキスト右余白に逐一反映しております。
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労働法速修テキスト講座には、論証集(139頁)が付属します。
論証集には、速修テキストのうち、論文対策として必要なことが集約されているとともに、速修テキストに比べて論証が短くなっています。
以下では、論証集の使い方について紹介させて頂きます。
〇速修テキストと論証集のどちらを一元化教材として使用するべきか
労働法では、重要判例については、判例を踏まえた当てはめまで要求されます。
労働法速修テキストには、判例の事案の概要・要旨まで反映されており、当てはめのポイントとして記憶するべきことについてはマーク・アンダーラインの指示もございます。これに対し、論証集では、判例を踏まえた当てはめが合格水準として要求されるごく一部の論点を除き、判例の事案の概要・要旨までは反映しておりません。
従いまして、労働法の科目特性を踏まえると、労働法で1桁~2桁を目指すのであれば速修テキストを一元化教材として使い、必要最小限度の勉強量で50~60点を目指すのであれば論証集を一元化教材として使う、というのが一つの目安になると考えます。
〇速修テキストを一元化教材として使用する場合
速修テキストの論証には、理解するために必要な限度で論証集の論証よりも長くなっているものもあります。そこで、基礎編まで一通り受講した後に、論証集を参照しながら、速修テキストの論証をコンパクトなものに加工して頂くことをお薦めいたします。これにより、自分に合った長さ・表現の論証が完成するとともに、自力で論証を短くする過程で論証の記憶が自然と定着し、文章力も身につきます。
速修テキストの頁数は論証集の約3倍ちかくありますが、重要度の高いページにだけ付箋を貼る、重要度に応じて色分けした付箋を貼るといった工夫をすることで、試験直前に効率的にテキストの重要部分を確認できるようになります。今の段階から、試験直前の学習効率を最大化するための工夫をしておきましょう。
〇論証集を一元化教材として使用する場合
労働法速修テキスト講座の基礎編及びマーク・アンダーライン指示動画は、いずれも、速修テキストを対象としたものであるため、まずは、マーク・アンダーライン指示動画に従って速修テキストにマーク・アンダーラインを反映して頂くとともに、速修テキストを使って基礎編を受講して頂きくことになります。
速修テキストには、記憶するべき記述だけでなく、記憶するべき記述を理解するために読むべき記述も反映されている一方で、論証集には、原則として記憶するべき記述しか反映していませんから、いきなり論証集を使って勉強をしても、論証集の記述を理解することができません。そのため、速修テキストを使って基礎編まで受講して頂くという過程は、飛ばすことができません。
速修テキストを使って基礎編を受講し終えたら、あるいは、1個又は数コマごとの復習の過程で、速修テキストにおけるメモ書きや速修テキストにおける判例の当てはめのポイントなどを論証集の該当箇所にメモすることにより、速修テキスト講座の重要部分を論証集に集約します。
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司法試験・予備試験における選択科目としてどの科目を選ぶべきかについて検討している方もいらっしゃると思いますので、労働法の特徴について紹介いたします。
〇記憶の負担が大きい一方で、記憶したことが点数に直結しやすい
労働法は、学習範囲が広い上、判例の立場が明確である論点について判例に従った規範を定立する必要があるため現場思考による誤魔化しが通用しない、下位基準まで記憶する論点がいくつもあるといった意味で、記憶の負担が大きい科目です。
他方で、労働法は、記憶したことが点数に直結しやすいため、勉強量が点数にそのまま反映されやすい科目であるといえます(その分、番狂わせが起きる可能性は低いです)。
労働法では、典型論点が正面から出題される上、判例の事案に酷似した事案が出題されることも良くありますし、現場思考要素も少ないです。
しかも、請求や論点の抽出が比較的容易であるため、記憶するべきことをちゃんと記憶しておけば、請求や論点を落とす可能性がかなり低くなります。
私は、記憶が得意であり、試験当日には脳内で自作のまとめノートを開き、どこに何が書いてあるのかを画像として正確に呼び起せる状態になっていた上、平成26年司法試験の問題では典型論点からの出題ばかりだったため、非常に解きやすかったです。第2問については、1位を確信できるほどの手ごたえがありました。
このように、労働法は、記憶したことが、さらに言えば勉強量が点数に直結しやすい科目であるといえます。
〇基本7科目との共通性
これは、勉強のしやすさに関することです。選択科目の勉強のしやすさを考える上で、基本7科目との共通性の有無・程度は非常に受講な要素の一つです。
基本7科目との共通性が弱い科目であれば、その分だけ、知識面でも、思考面でも、書き方でも、学ぶことが多い上、慣れるまでに時間がかかります。これに対し、基本7科目との共通性が強い科目であれば、基本7科目の延長線上で勉強を進めすことができるため、その分だけ、条文・論点に関する知識が定着するのも、答案を書けるようになるのも早いです。
労働法は、民法の延長としての側面が強いです。労働法のうち、特に第1問(労働保護法)では、訴訟物(労働契約上の地位確認請求、賃金請求権、損害賠償請求権など)を出発点として、これに対応する法律要件を一つひとつ検討し、その検討過程で労働法固有の条文や論点にも言及するという流れで答案を書くことがほとんどです。
権利の発生要件、発生障害事由、取得事由、行使要件、行使阻止事由、消滅事由といった視点も民法と同様です。
民法の学習により民法的思考をしっかりと身につけておくと、労働法の学習をスムーズに進めることができます。
答案の型は民法と同様であり、肉付けに使う条文と論点が労働法関連のものになる、というイメージです。
例えば、労働法第1問の典型論点に関するものとして、以下の事例があります。
(事例)
Y社に雇用されるXは、11月分の給料(合計30万円)が支払われていないとして、Y社に対して賃金の支払いを求めた。。
Y社は、Xの業務上のミスにより生じた損害(30万円)についての損害賠償請求権を自働債権とする相殺により、11月分の賃金請求権は消滅したから、支払いに応じないと主張した。
Xの賃金支払請求は認められるか。解答に当たっては、Xの業務上のミスによりY社に30万円の損害が発生したことを前提にすること。
(答案)
1.Xは、Y社との間で労働契約(民法623条)を締結し、11月分の労働をしたのだから、XのY社に対する11月分の賃金請求権30万円が発生している(民法624条1項)。もっとも、Y社の相殺(民法505条1項本文)により賃金請求権が消滅するのではないか。ここで、Y社のXに対する損害賠償請求権の発生の有無及びその金額(民法415条1項)、並びに使用者による相殺の可否が問題となる。
2.まず、Xは業務上のミスという労働契約上の「債務の本旨に従った履行をしない」こと「によって」、Y社に30万円の「損害」を被らせている。労働契約上の手段債務の不履行と免責事由の存在とは表裏一体の関係にあるから、Xには免責事由(民法415条但書)は認められない。したがって、Y社のXに対する債務不履行を理由とする損害賠償請求権が発生する。
3.次に、損害賠償請求権の範囲が問題となる。報償責任に基づく損害の公平な分担という使用者責任(民法715条)の制度趣旨にかんがみ、使用者から労働者に対する損害賠償請求は、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において認められると解すべきである。したがって、Y社のXに対する損害賠償請求権は上記限度の額において認められる。
4.最後に、賃金全額払の原則(労働基準法24条1項本文)との関係で、使用者による賃金債権との相殺の可否が問題となる。同原則の趣旨は、使用者による一方的な賃金控除を禁止することで、労働者に賃金の全額を確実に受領させ、その経済生活の安定を図ることにある。そこで、使用者による賃金債権との相殺は、使用者による一方的な賃金控除に当たるため、同原則に反し無効であると解する。したがって、Y社による相殺は無効であるから、Xの賃金請求権はその一部においても消滅しない。
5.よって、Xによる30万円の賃金請求は全額において認められる。 以上
上記答案のうち、下線部だけが労働法固有の話であり、そこに至るまではずっと民法の話です。
労働法第2問(労働組合法)では、民法上の請求(裁判所に対する民事訴訟の提起)のほかに、労働委員会に対する救済命令の申し立て(労働委員会による行政処分を申し立てる特別な制度)も出題されますが、後者の場合であっても、救済命令の発動要件(行政処分の処分要件)である労働組合法7条各号所定の要件への該当性について論点も踏まえながら論じたり、救済命令の申立人適格(行政事件訴訟の原告適格みたいなもの)を確認するだけなので、行政法の延長(見方によっては、民法の延長)に位置づけることができます。
このように、労働法は、基本7科目との共通性が強い科目であるため、勉強を進めやすいです。
〇実務で使う可能性及び頻度が高い
人間は感情に大きく左右されるため、何かをやる上で、モチベーションは非常に重要です。
モチベーションの高低は、学習効果が影響します。上記2つの観点から自分にとって勉強がしやすい科目であったとして、どうしても関心を持つことができない科目であれば、モチベーションが上がらないということもあります。
したがって、その科目自体の興味を持つことができるか、合格後に実務家として使う可能性・頻度などから、自分が関心を持つことができる科目を選択するということは、モチベーションを上げることができ学習効果を高める上で非常に重要です。
労働法は、倒産法と並んで、実務家として使う可能性及び頻度が非常に高いですから、実務に出てから頻繁に使用する科目を勉強したいという方にとっても、労働法は非常にお薦めの科目です。
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〇労働法の概要
労働法は、労使間に契約自由の原則をそのままの形で適用した場合に労働者が使用者(≒雇主)との関係で不利な立場に置かれがちであるということに配慮して、労使間の実質的対等性を確保することを目的として特別な法的規律を定めている個々の法律の総称を意味します。
労働法は、対象領域の違いに応じて、雇用関係法(労働基準法など)、集団的労働法(労働組合法など)、雇用保障法(雇用保険法など)に分類されます。
雇用関係法は、個々の労働者と使用者との間の雇用関係を規律する法律の総称です。代表的なものとしては、労働基準法と労働契約法が挙げられます。これらは、労働条件の最低水準を定めています。1日・1週間の労働時間の上限、就業規則による労働契約の内容の規律(変更)の可否・限界、賃金の支払方法、懲戒処分・解雇、労働者間での差別など、労働者の労働条件その他の待遇について、様々な規律が設けられています。
集団的労働法は、司法試験・予備試験対策としては、主として、労働組合法を意味します。労働者は、労働条件の最低水準については労働基準法等で確保してもらえますが、最低水準を超える労働条件を実現するためには、使用者との交渉により合意を獲得する必要があります。もっとも、労働者個人で使用者との間で対等な交渉をすることは困難です。労働者としては、労働組合という労働者集団を組織し、集団的な交渉を行うことで、使用者と対等な交渉を実現し、ひいては最低水準を超える労働条件を内容とする合意を獲得しやすくなります。そこで、憲法28条は、団体交渉の助成を基本目的として、団体交渉と、そのための団結・団体行動について、労働基本権として保障しています。これを受けて、労働組合法が定められています。労働組合法では、労働組合の組合員であること等を理由とする解雇その他の不利益取扱い、労働組合からの団体交渉の申入れに対する使用者側の対応、使用者による労働組合の組織・運営に対する支配・干渉、使用者により団結・団体交渉・団体行動を妨害等された場合における行政救済、労働組合と使用者の間で締結される労働協約の効力といった、集団的労使関係について規律を設けています。
雇用保障法は、労働者の就職サポート、職業能力開発支援、失業者の生活保障といったことを目的とした個々の法律の総称です。職業安定法、職業能力開発促進法、雇用保険法などがあります。司法試験・予備試験対策としては、雇用関係法と労働組合法が重要であり、基本的には、司法試験の第1問では雇用関係法メインの出題がなされ、2問では労働組合法メインの出題がなされます。雇用保障法が司法試験・予備試験で出題される可能性は極めて低いです。
〇司法試験・予備試験における労働法の出題の範囲及び内容
司法試験の第1問は、主として、労働法保護法(労働基準法、労働契約法等)から出題されます。以下は、一例です。
司法試験の第2問は、主として、労働組合法からの出題です。以下は、一例です。
講座名 | 労働法速修テキスト講座2021 |
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使用教材 |
速修テキスト及び論証集は、製本したものを郵送いたします。これに対し、導入編レジュメは、PDFでのみの提供となり、受講ページ上にアップロードいたします。 ※教材は2種類のタイプ(製本テキストタイプ・26穴タイプ)からお選びいただけます。詳細はこちらよりご確認ください。 |
講義時間 |
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教材配送・動画配信 |
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販売価格 | 40,000円(税込み、製本・配送費込み)
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視聴期間 | 2022年12月31日まで |
支払方法 |
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